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木村前会長、検査中に振興銀株手放す 高値で大量売却か

2010年7月15日15時1分

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 銀行法違反(検査忌避)容疑で逮捕された日本振興銀行前会長の木村剛(たけし)容疑者(48)が、金融庁の検査期間中に、自ら保有していた大量の振興銀株を手放していたことが分かった。このうち今年3月には、950株、約3億円分を、同行から融資を受けている取引先に売却していた。検査後、同行は赤字に転落しており、前会長は高値の状態で売却したとみられる。

 振興銀の開示資料などによると、木村前会長は金融庁の検査が続いている2009年10月から今年3月末までの間に、3249株以上を手放していた。木村前会長は09年9月末時点で、発行済み株式の6.2%に当たる1万1千株を保有する筆頭株主だったが、今年3月末時点では開示対象となる10位以内から外れており、10位の保有株数から算定すると、半年で保有株式の3割以上を手放したことになる。

 同行の内部資料などによると、木村前会長は今年3月、同行の融資先で大株主でもある信用保証会社「中小企業保証機構」(本社・大阪市)に、同行株950株を売却した。関係者によると、1株あたりの価格は33万5千円だったといい、総額は約3億円になる。この株価は、同じ時期に実施した第三者割当増資のために決められた金額と同額で、中間決算では黒字だった09年9月末時点の純資産額などから割り出された。

 しかし、同行は金融庁検査で貸し倒れ引当金不足を指摘され、積み増ししたために10年3月期には純損益が51億円の赤字に転落した。純資産から割り出す方法で株価を算定すると、純資産の目減り分だけ安くなり、前会長は高値で売り抜けたことになる。だが、同行は非上場で、インサイダー取引を禁止する金融商品取引法には抵触しない。

 振興銀の株式を売買するには取締役会の議決が必要だが、木村前会長の取引について日本振興銀行は「個人情報保護の観点から、株式の取引の詳細については答えられない」(経営管理室)とし、売却額や売却先を公表していない。中小企業保証機構は「取材対応はできない」としている。(大津智義、大平要)

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