タイ:占拠地域への突入開始 軍が強制排除

2010年5月19日 10時37分 更新:5月19日 11時26分

19日、軍用車両で占拠地域への突入を試みるタイ軍=AP
19日、軍用車両で占拠地域への突入を試みるタイ軍=AP

 【バンコク西尾英之】タイ政府は19日朝、タクシン元首相派「反独裁民主戦線」(UDD)が占拠を続ける首都バンコク都心部に多数の兵士と装甲車を投入し、UDDの強制排除に乗り出した。占拠地域内では軍とUDDの間で銃撃戦となり負傷者が出ている模様で、情勢は一気に緊迫化している。

 タイ政府は19日未明、占拠地域南側のビジネス街シーロム通りなどに機関銃を装備した十数台の装甲車や軍用トラックなどを配置。軍は拡声機で占拠地域から直ちに撤去するよう警告し、威嚇発砲を繰り返した。同日午前、兵士らがバリケードの撤去を開始し、装甲車とともに占拠地域内に突入した。UDD側は発砲やタイヤを燃やすなどして応戦している。

 ロイター通信によると、銃撃戦でこれまでに2人が被弾した。占拠地域内には女性や子供を含め数千人がとどまっており、多大な犠牲者が出る恐れもある。

 UDDとの交渉にあたってきたコブサック首相秘書官は19日朝放送されたテレビのインタビューで、「政府はこれ以上、UDDと交渉せず、強制排除する。UDDは降伏しなければならない」と語った。

 軍がUDDの強制排除に乗り出すのは4月10日以来。前回は双方の衝突で日本人カメラマンを含む25人が死亡、800人以上が負傷した。

 UDDは5月18日、タイ上院議長の仲介を受け入れ「占拠地域周辺での暴力行為を停止する」と表明。しかし、政府は、UDDが占拠を解除しない限り対話には応じないとの強硬姿勢を示し、上院議長の仲介も拒否した。

 UDDは5月10日にいったん占拠を解除することで政府と合意したが、強硬派幹部の反対で占拠を解除できず、政府は軍による占拠地域の封鎖を続けてきた。

 バンコクでは13日以降、軍の封鎖線の外側で軍とUDDの激しい衝突が起き、18日までに計39人が死亡、307人が負傷した。

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