国、県融資制度 申請の6割非発生地域

(2010年7月15日付)

 口蹄疫が発生した4月下旬以降、被害農家を対象にした国、県の融資制度に173件(12日現在)の申し込みがあり、口蹄疫が発生していない串間、小林市などの農家が6割を占めていることが13日、県のまとめで分かった。

 申込総額は約33億円。家畜がいなくなった児湯地域を中心とする発生地域は運転資金の需要が少なく、非発生地域では肉用牛繁殖農家が競り中止により無収入となる上に飼育コストが増加していることなどが背景とみられる。

 申し込み状況は、金利の一部を県や市町村などが負担し生活費にも使える口蹄疫緊急対策資金が149件(約5億3千万円)。家畜の購入資金や飼料代など経営再開・継続の費用を無利子で融資する家畜疾病経営維持資金が7件(約23億3千万円)。運転資金などの借入金返済に役立てる無利子の大家畜、養豚特別支援資金が13件(約4億9千万円)。少額ながら無利子で生活費に充てられる畜産経営体等生活支援資金が4件(約300万円)。

 市町村別では、これまでに家畜の移動・搬出制限区域に含まれたことがない串間市27件、高千穂町5件など。そのほか小林市34件、高原町14件など、非発生地域の合計は102件に上る。

 肉用牛繁殖農家が利用する傾向が強く、県営農支援課は「県内の競りが中止されているため、繁殖農家の収入が絶たれている。殺処分対象外の畜産農家は、家畜の飼料代などの経費で経営が圧迫されている」と分析。「発生地域でも経営再建に伴い、申し込みが増えることが予想される」としている。