貴乃花親方、暴力団関係者と会食疑惑　１７日にも異例の場所中聴取

記者の質問を遮りながら愛知県体育館を後にする貴乃花親方

　貴乃花親方（３７）が暴力団関係者と接触していた疑惑が１６日、浮上した。愛媛県警によると６月に新弟子の勧誘のため愛媛県愛南町を訪れ、保護者らと会食した際に暴力団関係者が同席していたという。これを受け日本相撲協会の村山弘義理事長代行（７３）はこの日で解散予定だった特別調査委員会の継続を決め、この問題を調査する方針を明言。場所中に現役理事が黒い疑惑で事情を聞かれるという異例の事態となる。

　貴乃花親方が黒い疑惑で事情聴取を受ける。野球賭博問題で角界に激震が走っていた６月、新弟子の勧誘で訪れた愛媛県での会食の席に暴力団関係者が同席していたというのだ。

　同親方は「あくまでも暴力団と言われる方との付き合いは一切、ありません」と疑惑を全面否定した。これを受け、都内で協会の会合に出席した村山理事長代行は「特別調査委員会を直ちに設置して調査をお願いする」と明言した。当初、調査委はこの日から会合がスタートした「ガバナンスの整備に関する独立委員会」の発足と同時に解散する予定だった。しかし、貴乃花親方の疑惑が浮上したため委員会が急きょ、継続することになった。

独立委員会に出席した村山理事長代行（左）

　今年２月の理事選で理事に初当選した貴乃花親方。現役理事が自らの疑惑で場所中に事情を聞かれることは異例だ。今後、調査委は名古屋場所７日目の１７日にも貴乃花親方から事情を聞き、１８日に愛知県体育館で開く協会の理事会で中間報告を行う。外部理事で同委員会の伊藤滋座長（７７）は「本当だったら大事だよ」と警告する。

　問題となった会食は６月１１日夜。愛媛県愛南町でスカウトした中学生の両親ら１４、１５人と貴乃花親方が食事した席に暴力団関係者が含まれていたという。同親方は相撲を指導するため小学生から高校生までの青少年にけいこを付けたが、その場所でも暴力団関係者が見ていたという。貴乃花親方は「そういう風に見える方はいませんでしたし、暴力団関係者との面識は一切ありません」と重ねて否定した。

　維持員席での暴力団幹部の観戦、野球賭博問題など一連の問題を受け、協会は今、反社会勢力との断絶に努力している途上にある。その中で浮上した現役理事の疑惑。名古屋場所担当の二所ノ関部長（元関脇・金剛）は「こんな時に反社会勢力の人間がいる会合に自分から行く者はいない。今回のは気の毒」と同情した。確かに貴乃花親方が関知していない所で暴力団関係者がまぎれていた可能性もある。すべては継続される調査委の判断に委ねられた。

　◆過去の主な力士の黒い交際
  ▽北の富士　１９７１年１月に暴力団構成員、政治結社らと福岡の警察署にあいさつ回り。政治結社からは懸賞金が出された。処分はなし。これを機に協会は翌年に生活指導部を設けた。７３年にも暴力団と会食している。
  ▽高砂親方（元横綱・３代朝潮）、小錦　８５年に小錦が巡業先で暴力団員と会食。外国人であり事情を知らなかったということで処分なし。師匠・高砂親方に減俸が言い渡された。
  ▽木瀬、清見潟親方　２００９年名古屋場所で木瀬親方が入手した維持員席が暴力団に行き渡っていたことが判明。木瀬親方は「委員」から「年寄」へ降格。売買に関与していた清見潟親方はけん責処分。