メイド・コスプレ系店舗に関する、管理人の呟きです(`・ω・´)

全部で 252 件の記事があります。

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#252 戦略 よくわかるめいどりーみん講座 2010/07/18
#251 冥土 ブログにコメントありがとうございました 2010/07/17
#250 戦略 12歳程度 2010/07/16
#249 戦略 魔性 2010/07/15
#248 戦略 僕は違います 2010/07/14
#247 戦略 爺やの可能性 2010/07/13
#246 心理 巡りの洗礼 2010/07/12
#245 常連 ロマン 2010/07/11
#244 冥土 NTR属性 2010/07/10
#243 戦略 回転率と客単価 2010/07/09
#242 経営 石田純一 2010/07/08
#241 常連 難民 2010/07/07
#240 経済 夜の秋葉原 2010/07/06
#239 常連 結婚=500円 2010/07/05
#238 常連 推し、準推し、推し3 2010/07/04
#237 心理 ハマる心理 2010/07/03
#236 一般 マイナス10万倍からの生還 2010/07/02
#235 分析 気配りの出来るカリスマ店員 2010/07/01
#234 分析 バーチャル・リアリティ 2010/06/30
#233 感動 5000円で9回 2010/06/29
#232 子供 私はバカです 2010/06/28
#231 心理 マジレス 2010/06/27
#230 経営 アキバのノリについていけない 2010/06/26
#229 経営 無計画ポイント 2010/06/25
#228 提起 やらずぶったくり 2010/06/24
#227 冥土 歩合の行き着くところ 2010/06/23
#226 冥土 大量離脱 2010/06/22
#225 常連 殺し文句 2010/06/21
#224 常連 5万円のバッグ 2010/06/20
#223 常連 爆音メールマガジン 2010/06/19
#222 提起 タダより怖いものはない 2010/06/18
#221 提起 マドンナと生ゴミ 2010/06/17
#220 分析 総選挙商法 2010/06/16
#219 心理 ポイントカードの魔力 2010/06/15
#218 感想 ちょっと吸血されてきた 2010/06/14
#217 業界 奇妙な符号 2010/06/13
#216 心理 恋愛禁止 2010/06/12
#215 冥土 偶然 2010/06/11
#214 店長 17000円 2010/06/10
#213 常連 手作りケーキ 2010/06/09
#212 裏側 精神異常者 2010/06/08
#211 戦略 フランチャイズのススメ 2010/06/07
#210 冥土 シビアな仕事人 2010/06/06
#209 冥土 新手の手口 2010/06/05
#208 感想 それゆけ!ニート大作戦を見た 2010/06/04
#207 心理 デジタルデータが爆発的には売れない理由 2010/06/03
#206 心理 サブリミナル・インプレッション 2010/06/02
#205 戦略 何故メイド喫茶は割高に感じるのか 2010/06/01
#204 心理 妄想の押し売り 2010/05/31
#203 戦略 みのもんた 2010/05/30
#202 裏側 情報弱者 2010/05/29
#201 戦略 システム>コンセプト 2010/05/28
#200 経営 違法性阻却への道 2010/05/27
#199 経営 ハイパーメイドクリエイター 2010/05/26
#198 経営 駄コンセプト 2010/05/25
#197 提起 ビラ 2010/05/24
#196 店長 乳首 2010/05/23
#195 心理 獄中結婚 2010/05/22
#194 分析 ホスト 2010/05/21
#193 心理 マッチポンプ 2010/05/20
#192 分析 シャッツキステ分析 2010/05/19
#191 心理 プレゼント 2010/05/18
#190 経済 アキバ名物 2010/05/17
#189 経済 秋葉原カジノ計画 2010/05/16
#188 提起 腐敗 2010/05/15
#187 業界 病的構造 2010/05/14
#186 経済 創作料理 2010/05/13
#185 常連 願い事 2010/05/12
#184 経済 メイド回転寿司 2010/05/11
#183 分析 戦犯 2010/05/10
#182 冥土 バイトと夢と現実と 2010/05/09
#181 常連 俺の嫁 2010/05/08
#180 提起 精神鑑定 2010/05/07
#179 提起 fuckな店にならないために 2010/05/06
#178 戦略 メイドカジノ 2010/05/05
#177 戦略 マージナル不良 2010/05/04
#176 戦略 実現不可能を可能に 2010/05/03
#175 戦略 メイドさんが欲しい 2010/05/02
#174 感想 ポリスに逮捕されてきた 2010/05/01
#173 心理 ハッピーエンド 2010/04/30
#172 経営 寄生虫 2010/04/29
#171 戦略 誰が望んだのか 2010/04/28
#170 心理 プレステのカセットと緑のガンダム 2010/04/27
#169 戦略 メイドビル戦争「潰させていただきます」 2010/04/26
#168 心理 メイド喫茶デビュー 2010/04/25
#167 提起 素直になれなくて、は何故ああなのか 2010/04/24
#166 提起 アイドルになりたい、に注意 2010/04/23
#165 戦略 不自由を選ぶ自由 2010/04/22
#164 心理 想定外 2010/04/21
#163 心理 恋愛は売り物です 2010/04/20
#162 戦略 ブロガーイベント 2010/04/19
#161 心理 スライム肉まん 2010/04/18
#160 心理 カメ 2010/04/17
#159 経営 エゴ 2010/04/16
#158 分析 メイド喫茶依存症チェックリスト 2010/04/15
#157 常連 メイド喫茶って何だろう? 2010/04/14
#156 分析 "思うこと"を捏造するヤツら 2010/04/13
#155 分析 繰り返されるスケープゴート工作 2010/04/12
#154 常連 完全粘着宣言 2010/04/11
#153 冥土 苦痛テスト 2010/04/10
#152 冥土 何かのゲーム 2010/04/09
#151 経営 アリとキリギリス 2010/04/08
#150 心理 ツイン・フェイス 2010/04/07
#149 経営 カリスマ的仕掛け人 2010/04/06
#148 経営 君、いくらで売れるの? 2010/04/05
#147 経営 己の市場価値 2010/04/04
#146 経営 これはオタクをカツアゲするゲームだぞ 2010/04/03
#145 感想 モノを売る時は、値段を言いましょう 2010/04/02
#144 経営 フリーコンテンツ故の無能ホイホイ 2010/04/01
#143 常連 教祖様気取り 2010/03/31
#142 戦略 100万円の使い道2 2010/03/30
#141 戦略 100万円の使い道1 2010/03/29
#140 感想 うさぎの森 L⇔Rへ行ってきた 2010/03/28
#139 心理 ブンブン丸オススメ 2010/03/27
#138 提起 勘違いピンドン 2010/03/26
#137 提起 チートゲーマー 2010/03/25
#136 提起 未来を作ろう 2010/03/24
#135 店長 自惚れ店長バー 2010/03/23
#134 心理 メイド喫茶は、リアルの世界で頑張ろう 2010/03/22
#133 心理 風評リスク 2010/03/21
#132 心理 最強宣言の虚しさよ 2010/03/20
#131 分析 次に来るコンセプト喫茶 2010/03/19
#130 提起 未来予想図 2010/03/18
#129 分析 時間を売るシャングリ・ラ 2010/03/17
#128 分析 時代遅れ 2010/03/16
#127 分析 狂気の沙汰ほど面白い 2010/03/15
#126 提起 ウソテク収集bot 2010/03/14
#125 分析 どんなものも、その94%はカスである 2010/03/13
#124 分析 くろすろ〜どが負けた理由 2010/03/12
#123 分析 リア充の街 2010/03/11
#122 提起 ※イケメンでも通らない 2010/03/10
#121 分析 情報の支配者 2010/03/09
#120 店長 脅迫なう 2010/03/08
#119 店長 出せるわけねーオムライス 2010/03/07
#118 経営 過ち 2010/03/06
#117 経営 適利多売 2010/03/05
#116 経営 ピンク色のプレステ2 2010/03/04
#115 業界 失脚 2010/03/03
#114 経営 最悪の次に悪い選択 2010/03/02
#113 経営 口だけ出すな、カネも出せ 2010/03/01
#112 常連 メイドさんの名前 2010/02/28
#111 経営 時給8000円の死角 2010/02/27
#110 経営 オリジナルメイド服のススメ 2010/02/26
#109 趣味 アートチェキ上等 2010/02/25
#108 経済 大義名分が欲しい 2010/02/24
#107 経済 カードダス理論 2010/02/23
#106 発明 メイド喫茶を作ろう 2010/02/22
#105 冥土 若さがそんなに大事ですか? 2010/02/21
#104 冥土 本当にあった笑える話 2010/02/20
#103 分析 マスコミを操る 2010/02/19
#102 分析 メイド喫茶はなぜ潰れるのか 2010/02/18
#101 分析 コーラ10個5000円お買い上げ 2010/02/17
#100 発明 おかえりなさいませ 2010/02/16
#099 心理 フェラーリ買いました 2010/02/15
#098 心理 恐怖政治 2010/02/14
#097 経済 2010/02/13
#096 心理 判定チャート(メイドさんと付き合いたい3) 2010/02/12
#095 経済 落とし穴 2010/02/11
#094 心理 お約束ビジネス(メイドさんと付き合いたい2) 2010/02/10
#093 心理 目指せトリプルA 2010/02/09
#092 心理 メイドさんと付き合いたい 2010/02/08
#091 経営 赤道直下で何を売る 2010/02/07
#090 業界 人民大移動 2010/02/06
#089 経営 アメを悪用する奴ら 2010/02/05
#088 経営 コストカットのススメ 2010/02/04
#087 経営 大理石の駄菓子屋 2010/02/03
#086 常連 2007年末、プリムヴェールが潰れた 2010/02/02
#085 常連 囚人 2010/02/01
#084 常連 電池買ってくる 2010/01/31
#083 心理 イメージアップ戦略 2010/01/30
#082 業界 衝撃の保険3 2010/01/29
#081 業界 衝撃の保険2 2010/01/28
#080 業界 衝撃の保険1 2010/01/27
#079 経営 判別法 2010/01/26
#078 心理 契約違反 2010/01/25
#077 心理 回数券制度 2010/01/24
#076 経営 プロはバレる嘘はつかない 2010/01/23
#075 経営 赤字経営 2010/01/22
#074 経済 メイドさんをやめること 2010/01/21
#073 経営 プライスレス 2010/01/20
#072 経営 空港利権 2010/01/19
#071 心理 武将の計略 2010/01/18
#070 心理 遊び人 2010/01/17
#069 業界 デコトラ伝説2 2010/01/16
#068 業界 デコトラ伝説1 2010/01/15
#067 提起 レポサイト利権に群がる虫ケラたち3 2010/01/14
#066 提起 レポサイト利権に群がる虫ケラたち2 2010/01/13
#065 提起 レポサイト利権に群がる虫ケラたち1 2010/01/12
#064 相談 シリーズ・癒着その3 2010/01/11
#063 相談 シリーズ・癒着その2 2010/01/10
#062 相談 シリーズ・癒着その1 2010/01/09
#061 提起 無駄 2010/01/08
#060 心理 お金が生み出す錯覚 2010/01/07
#059 提起 法律相談所 2010/01/06
#058 常連 異臭騒ぎ 2010/01/05
#057 経営 貴方とは違うんです 2010/01/04
#056 経済 人気商売の宿命 2010/01/03
#055 心理 マーメイドキッチン 2010/01/02
#054 常連 お疲れ様 2010/01/01
#053 経営 自己責任の暴走 2009/12/31
#052 経済 利益は出たけどいいサービスをしたのか 2009/12/30
#051 冥土 オタクの女の子 2009/12/29
#050 経済 砂の城の二重の構造 2009/12/28
#049 提起 ダブルスタンダードにはそろそろメガンテを 2009/12/27
#048 常連 ステータス自慢大会 2009/12/26
#047 経営 大いなる勘違い 2009/12/25
#046 冥土 それがメイド喫茶 2009/12/24
#045 提起 メイド喫茶で働きたい 2009/12/23
#044 経営 これからの淘汰 2009/12/22
#043 心理 覆面で全裸 2009/12/21
#042 経済 こころとからだのバランス 2009/12/20
#041 心理 スピリチュアル利権 2009/12/19
#040 経済 ギザ〓よろちくね 2009/12/18
#039 心理 神様の嘘 2009/12/17
#038 冥土 ガラパゴス化現象 2009/12/16
#037 提起 カリスマ 2009/12/15
#036 常連 柳原可奈子 2009/12/14
#035 経済 カレー1800円 2009/12/13
#034 経営 私の知らない誰かが騙されている 2009/12/12
#033 提起 あんたこの世をどう思う 2009/12/11
#032 常連 いいわけ 2009/12/10
#031 心理 土足で踏み込め 2009/12/09
#030 常連 せめて、人間らしく 2009/12/08
#029 経済 頭脳戦艦ドリーミン 2009/12/07
#028 経営 メイド喫茶不感症 2009/12/06
#027 心理 王道は2つ 2009/12/05
#026 経済 今の日本はまだ甘い 2009/12/04
#025 提起 「黒」「青」「赤学バ」 2009/12/03
#024 冥土 ディスクローズ 2009/12/02
#023 企画 @SWEET 2009/12/01
#022 経済 不満と企業努力 2009/11/30
#021 提起 コンプラチェック 2009/11/29
#020 心理 あなたは今、どこにいますか 2009/11/28
#019 常連 差し入れ古今東西 2009/11/27
#018 経営 メイド昼キャバに見る哲学 2009/11/26
#017 冥土 すべらない話「ネットラジオ」 2009/11/25
#016 提起 QRコードの罠 2009/11/24
#015 経営 アウフヘーベン 2009/11/23
#014 経済 求められる「モノ」 2009/11/22
#013 常連 ポイントカード特典「放置プレイ」 2009/11/21
#012 提起 発想の転換は大きなチャンス 2009/11/20
#011 経営 それは大きなミステイク 2009/11/19
#010 経済 スシローなのか築地なのか 2009/11/18
#009 提起 パンドラボックス 2009/11/17
#008 経営 マジコンのせい 2009/11/16
#007 経済 宝くじで3億当たったら 2009/11/15
#006 提起 レポサイトの功罪 2009/11/14
#005 経済 サイレントマジョリティ 2009/11/13
#004 常連 コレクター道、ここに極まる? 2009/11/12
#003 経営 ビックリマンシール論 2009/11/11
#002 経済 ボッタクリメイド喫茶とは何ぞや 2009/11/10
#001 経営 傷付け合うのはそろそろやめよう 2009/11/09


 

よくわかるめいどりーみん講座 (2010/07/18)
このサイトを開設してから約8カ月が経過した。ありがたいことに私のメールアドレスには、毎日たくさんの業界関係者からメールが来る。告発、情報提供、相談、質問、、その数は実に6000件を超えた。「あくみさん、毎日何通メールしてるんスか?」と知人からよく聞かれる。ホリエモンの「100億稼ぐ超メール術」を誰かプレゼントして下さい。
その中でも最も多いのは「メイドさん、元メイドさんからの、お店の待遇の悪さについて(告発)」である。私はバカだけど、一方的な話を鵜呑みにするほどのエクセレント・バカではない。しかし同じ店で働いていた子はどの子も口をそろえて同じことを訴えるんだ。これはどういうことなんだろうね。中には集団訴訟を起こしたいと元メイドさんたちがグループを結成して連絡をくれたこともある。
こういうお店の話も多い。「お店を辞める時、"2ちゃんねるでお店のことを絶対に書き込みません。禁を破ったら罰金30万円支払います。"と誓約書にサインさせられました。」って、ここは2ちゃんねるじゃないから、書いちゃってもいいんですよね。
で、次に多いのがオーナーさんからの「めいどりーみんさんはどうやって儲けているのか教えてくれ」である。
個人的な好き・嫌いを除いて、めいどりーみんはすごいなと思う。まさに「急成長」だ。どんなカラクリがあるのか、誰でも気になるところだろう。でもウチの人気店ランキング(アクセス解析)には全然入らないんだけどね。人気は全然無いんだけど、売り上げだけはあるってこと。このカラクリを皆知りたいんだ。
先日秋葉原の街を歩いていたら、目の前でめいどりーみんのメイドさんにビラを渡された男性が路上で軽くお店の説明を受けていた。「〜という感じですね〜。どうですか?」しかし男性は「う〜ん、ちょっと他も見て検討していいですかね?」と渋った。まぁ、ここまではビラ配りにつきものの光景だろう。説明するだけでお店にホイホイ来てくれる、そんなに簡単だったら誰も苦労はしない。普通はここで、「それじゃ、また機会があったらよろしくおねがいしますね」ってトコだろうね。
いいですか皆さん。こんなことをやっていては、短期間に5店舗も出店することは出来ないんですよ。めいどりーみんは、ココからが違うんだ。
煮え切らない男性に対し、メイドさんはにこやかな顔から突然般若のような顔に変貌し、罵声を浴びせた。
「え〜っ?お兄さん、今この瞬間から人生損してますよ〜!うわ〜可愛そ〜う!」

※速報 今日カフェマーメイドにて、1時間で8万円請求されて客が暴れて警察出動したらしいですね。
 

ブログにコメントありがとうございました (2010/07/17)
「スパムメール」という迷惑なメールがある。機械が無作為に送ってくる宣伝メールのことだ。私のメールアドレスにも毎日送られてくる。基本的には見ずに捨ててしまうが、たまに暇な時に読んでみたりすると、「これで誰が引っ掛かるんだ」と思わず苦笑いしてしまうようなふざけた文面ばかり。まともな神経をしていたら、こんなものに引っかかる人はいないと思うのだが・・でもやっぱり、どこかに引っかかっているウルトラバカがいるわけで、だからこそ出しているんだろうね。
私の知人のメイド喫茶マニアに、スパムメールに引っかかり、恋愛商法で高額なジュエリーをローンで買わされ、最後はフィリピンあたりで結婚詐欺に合うんじゃないかと見ていてヒヤヒヤさせられる男がいる。
彼はあるメイド喫茶のメイドさんがやっている商売用のブログ記事で、彼女がちょっと弱音を吐いていた日に「管理人しか読めないコメント」で"大丈夫?"みたいなことを書いて送ったのだそうだ。すると翌日お店で彼女から、「昨日はコメントありがとうございました。おかげで少し元気が出ました!」と書かれた小さな手紙を帰り際に手渡されたらしい。
ブログというツールの性格上、管理人にしか読めないコメントの返事をコメントの差出人にだけすることは基本的には不可能である。彼がコメントにメールアドレスなどを記載していなければ返事は出せない一方通行であると考えるのが普通だ。そこにたまたまメイド喫茶のメイドさんと客という関係があったから、返事は手紙にした、というだけのことだろう。
別に何もおかしいところは無いと思うんだけど、彼はその後私に満面の笑みでこう言ってきた。「俺、メイドさんと結婚するかもしれないんだ・・!」どーしてそうなる!?コメントにありがとうと答えるだけで結婚なら、世の中誰でも結婚できるよ。。彼曰く、「たくさんのメイド喫茶に通ってきたけど、こんなことは初めてだ!」らしい。
そしてある日、私にこんなメールをしてきた。「僕、マンションを買おうと思うんです。」
何故急にマンションが出てきたかと言うと、先日彼女にお店で、「ねぇねぇ、どんな男だったら結婚してもいいかなぁと思う?」って聞いてみたそうなのだが、その返答が「マンション持ってる人とかいいなぁ」と笑いながら言われたらしい。当然リップサービスだろう、でも彼は本気だ。
メールの続きにはこう書いてあった。「彼女、やっぱり僕と結婚する気ですよ。僕がマンションを買ったら、すぐにでも結婚してあげるって言うんです。あくみさんの間違いでしたねハハハ。」

12歳程度 (2010/07/16)
かのマッカーサーは、アメリカ本国へ「日本国民の知能は12歳程度である。」との報告を行ったという。
メイド喫茶を作るにあたって、事前にいくつか巡ってみましたという経営者がいる。それを聞いて、「ほほぅ、エンドユーザー目線ですねぇ」なんていう平和ボケした感想を出す人は例え客であってもいないだろう。ハッキリ言おう。「客ナメてんのか?」
ここ最近の彼らが「偵察」と題して参考にしている代表的な店が5つある。それが「@ほぉ〜むカフェ」、「めいどりーみん」、「声優のたまご」、「うさぎの森 L⇔R」、「アキバギルド」だ。偵察といっても所詮、各店舗で1万ずつ遊んできました、という程度のものだが、ぶっちゃけ「見るだけ」でマネ出来るなら、誰も苦労はしない。
例えば「マリオ」が売れているからといって、ゲームソフトを5本買ってきて一通りプレイするだけでプログラミング出来るのかというのと同じである。プログラムには技術が必要だ。それにもし仮に似たようなゲームが出来たとしても、同じように売れる保証はない。経営者が欲しかったのはマリオと同じような「ゲーム」ではなく、マリオと同じような「人気」であるはずだ。それを「ちょっと遊んできただけで自分にも出来そう」って、さすが12歳だなと思わざるを得ない。
メイド喫茶とそのお客はバカにされているふしがあるよね。そりゃあ、お客は私も含め「メイドボケ」している部分はあると思う。普通のレストランなら新品と交換すべきレベルのちょっと焦げた料理を運ばれたとしても、可愛いメイドさんが運んできたというだけで「これも萌えだ!」と喜んで食べるし、気のある素振りを見せれらればホイホイ喜んで通ってしまう人も大勢いるだろう。しかし、だ。それでも客の入らない店には入らないわけで、きちんと淘汰が働いていて、少なくともその点においてボケてはいないのだ。ダメな店を作っちゃうダメ経営者は、バカにしていたお客よりはバカだということは間違いない。
楽そうに見えるんだろうなぁ、それならそれで、どんどんやってどんどん潰れればいい。先日潰れた某店のオーナー曰く、その短い期間で1500万円が消えたと俯いていたが、それで何か学んだことはあった?と聞いたら、「とりあえず僕はメイド喫茶には向いていないということは分かりました」だって。そんなこと、「偵察」の段階で気付けよ!1500万もしないよ、そんな教訓。
メイド喫茶を作るにあたって、「見てマネしました」は本当、危険だ。それをマーケティングとは呼ばない。全盛期ならそれも上手く行ったかもしれないが、今は単なる自殺行為であることを多くの経営者は自覚すべきである。

魔性 (2010/07/15)
どんなメイド喫茶も、新規客も欲しいし常連客も欲しい、出来ることなら新規客を確実に常連客に育て上げることが出来ればと熱望していることだろう。
#237でご主人様をメイド喫茶に「ハマ」らせてしまう要因のひとつに「また来てくれたんですね」があるとした。しかしこれは当然、2度目以降の来店についてのみ有効であるわけだ。最初から言うわけにはいかない、問題はどうやって2度来店させるかなのだが、、
店側が積極的に関わっているかそうでないかはケースバイケースではあるが、新規のお客さんをまた通わせるために「ポイントカードのポイントをオマケする」というテクニックがある。お会計時に上目遣いで「他の皆には内緒ですよ?」とアイコンタクトを送りつつこれをするとご主人様はフラグを完全に誤解し、また会いたくなって通ってしまうという。レシートの裏に「内緒ですよ」とでも書かせれば200点満点だろう。ある店では、本来20ポイントで満タンだったポイントカードをこの為に30に水増しして印刷し直したという。プラスの10ポイントはオマケ分だそうで実質的には同じなのだが、この恩恵を受けられない常連客にとっては損(=店にとっては好都合)でしかない。
常連客、つまり黙っていても通ってくれる層にはこのサービスは一切必要ない。これは新規客を囲い込むための営業努力である。特に常連同士で友達がいるようなお客にやってしまえばいとも簡単に情報を共有されてしまい、やらせが露呈するだろう。とにかく彼らには向かないのである。故にコア層にはお目にかかることのできないサービスと言えるだろう。結構いろんな店へ足繁く通っているのに一度も見たこと無いぞそんな現場!という方はすでにコア層認定されているかもしれない。
ちなみにメイドさんが客を初帰宅でどう判断するのかだが、あるじゃないか、最適な方法が。「ご主人様は、よくメイド喫茶へ行かれるのですか?」というあのお決まりの質問である。私は基本、あの質問には「初めてです」と答えることにしている。初めてと答えた方が、良いサービスをしてもらえるからだ。
これを徹底していると思わぬ副作用に出会うことがある。秋葉原にあった某メイド喫茶では店ぐるみで全メイドさんにこの手法を取り入れさせていたのだが、毎度「初めてです」という私(しかも中途半端に帰宅と帰宅のスパンが長かった)に対し、毎度同じことを言うというやらせ感バリバリの仕事ぶりを見せてくれた。
ダメよそんなことでは。ウブなAボウイ(死語)だったら泣いちゃうぞ。

僕は違います (2010/07/14)
多くのメイド喫茶では「メイドさんにメールアドレスを聞くのは禁止」となっている。理由は言わずもがなであるが、となると扱いが難しいのがブログやツイッター、ミクシィなどに搭載されているミニメール(メッセージ)機能だ。というのも、これらを宣伝ツールとしてメイドさんに活用させている店は数多く、メアドは伏せることが出来てもこれらのIDやURLは公開されているので誰にでも簡単にアクセス出来てしまうわけだ。
以前どこぞの週刊誌でミクシィのメッセージ機能のことを、「日本中の女の子のメアドをゲットしたようなもの」と書いてあった。その表現はちょっと語弊があるとは思うが、言っていることは間違っていない。メイドさんに宣伝としてミクシィをやらせている→メールが出せる、という事実の前には「メアドを聞くの禁止」という張り紙なんぞ紙くずに過ぎないわけだ。ミクシィが全盛期を迎えた2007年あたりから「メイドさんとミクシィでの交流禁止」という張り紙が足された店は数多い。
もちろん、戦略としてメイドさんとお客さんを積極的にマイミクさせる店もある。メイド喫茶の常連さんのミクシィを覗いてみるとそのほとんどがこうした店のメイドさんとマイミク(営業)している人ばかり。あるメイドさんは「それで嬉しくなってまたお店に来てくれるなら、どんどんしますよ」と言う。それでマイミクになって嬉しいのかどうかは「ちょっと違う」ような気もするけどね。お客さんは他のお客さんに内緒で自分だけメール出来るようになりたかったはずなのに、「どうぞ、マイミクして欲しいなら誰とでもしまっせ!」とはいくらなんでも別物すぎるというか、客の心を理解出来ていないというか。。中には自分のミクシィIDを名刺に刷ってお客さんに渡すメイドさんもいるが・・キャバクラ嬢やホストが電話番号を名刺に印刷しない理由を知らないらしい。あれはその場で裏に書いて「あなただけに」感を演出するためだぞ。これが重要なんじゃないの?
何というか、「メイドさんがマイミクしてくれた!」という喜びは、「禁止されているから」こそアツいのではなかろうか?その背景が「燃え」させるのではないのだろうか?
そんなことを考えていたのだが、それであっさり喜んでいる常連さんを見ると、「結果さえ手に入ればそれでいいのかよ!」という少々残念な気分になる。私の知人O君(仮名)は、「マイミクですよ?そんなもん、フラグに決まってるじゃないですか!」と断じて譲らない。このメイドさんには他にもお客さんのマイミクがたくさんいるわけだが、「それは営業、僕は違います」と汗だくで言い張る。
いいのか、これで。

爺やの可能性 (2010/07/13)
メイド喫茶はその特性上、男性スタッフの影が見え隠れすることを極端に嫌うお客さんが多い。ほとんどが「妬いている」わけだが、まぁ分からないこともない。そこで「メイド長」などの名目で店長さんを女性(メイドさん)にしている店も少なくない。店長をメイドさんということにすれば「アイツに搾取されてるのか・・感」も出さずに済み、一挙両得であるように見える。
しかしながら「もしも」のことがあった時のために表向きだけはそう言ってもバックヤードには男性を置いているというパターンは当然ながらよくあること。私がこの話ですぐに思い浮かべるのは、某店のM田さん(仮名)という社員さんである。体格はどう見てもプロレスラー、幸いなことに数年間勤続していて一度も彼が「出動」しなければならない局面はなかったそうだが、もしも彼が「チラっ」とでもお客さんの目の前に現れたら、やっぱり駄目なんだろうなぁ。男性を置かないというお店の気持ちも失礼だが彼を見ているとよく分かるのだ。
ところが、女性ばかりの職場というのもこれまた維持が難しい。女同士になるとどうしても「店長はどっちの味方なんですか?」なんてことになる。
私は#199で「メイドさんを束ねるのは男性が適任」とした。M田さんの顔がチラついても、どうしてもメリットの方が大きい。しかしながら、「頼りになるんだけど、決してメイドさんとくっつくタイプじゃない男性」となると相当な聖人君子にも思える。では果たしてどのような人種が適任なのか?
そこで、白髪のご年輩なぞどうだろうか。世界観を保つためにも、フォーマルな執事服を着せて「爺や」とでも呼べばいい。こうなると今は亡き名店「アニー」を思い出すが、こういう目的ではないにせよ、よく考えればあの親和性は素晴らしかった。常連さんのほとんどが爺やさんとの会話を楽しみに来ていて、横からメイドさんがお茶を出す。普通逆だろ!つまり、メイドさん目当ての所に別の人間が介在してくるからジェラシーを感じるのであって、商品をメイドさん以外にすることが出来ればこのことは解決するのである。これが出来るのは他でもない男性だけなのだ。
もちろんアニー常連客の中には120%メイドさん目当てで来ていて、「爺や邪魔なんだよ」と思っている人もいただろう。しかしシステム上、「爺やさんと仲良くなると店内に長く滞在でき、結果メイドさんとも仲良くなれる」という暗黙の了解が成立していて、それがプラスに作用していたと思う。
何故他の店に「爺や」がいないのか、今でも不思議でならない。

巡りの洗礼 (2010/07/12)
所謂「メイド喫茶巡り」をされたことのある、若しくは現在進行形でされている方なら身に覚えがあると思うのだが、あれは1日に巡る店舗数が5を超えるあたりから、自分の体が「ドリンクの通り道」になった気分になるものである。
巡る店舗数が増えれば増えるほど1店舗あたりの滞在時間は短くなっていくわけだ。となるとほとんどがドリンク1杯や、せめてポイントカードをもらいたいということで最低限である1ポイントに該当する1000円分の注文をするだけになってくる。ドリンクを飲んでひととおり内装や雰囲気を見たらすぐ「行ってらっしゃいませ」して次へ行くわけで、どうしてもトイレが近くなる。飲んで出して、を繰り返し、5、6軒あたりから「ドリンクを体内に一時的に滞在させる権」を買っているような気分になってくる。10軒目を超えるともはや1000円札が「ポイントカード引換券」に見えてくるだろう。「1000円で直接ポイントカードを売ってくれればいいのに」などと考え出すようになったら病気である。
私はこれが肉体的に辛くて、実は1度だけしか1日に10軒を超えるような「メイド喫茶巡り」はしたことがない。それに「癒し」をウリにする店を10分で出るとなると、いいところを殺してしまうような気さえする。
ちなみに、メイド「喫茶」は店舗によるシステムの違いが大きいため、入る前から前知識で「明らかにここは自分には合わない」と分かりきっている場合がある。しかし「全部行くんだ!」と決めてしまった場合、どうしても入らざるを得ない。こういう時は、「1000円でポイントカードを買うんだ」と決めつけてしまえば気が楽になるとアドバイスしておこう。入ってみたら意外と楽しいなんてこともあるしね。
この気持ちが分かる人にオススメするのは「リフレ巡り」である。リフレなら最低限の滞在時間(一番お手軽なコース)でもキッチリとカードに捺印して貰えるし、何軒回っても身体が悪くなることはないどころが逆に良くなっていく。一番短いコースじゃコリが解れない!と思うなかれ、大丈夫、数分後にはもう一軒行くわけだしね。どこかでどうしても気に入ってしまったらその後の巡りの予定を破棄して延長したらいいじゃないか。リフレには店舗間の料金の高低差はほとんどないし、喫茶と異なり安値戦争が繰り広げられていて巡るにはもってこいだ。数も喫茶ほど無いから比較的短期間でコンプリート出来よう。
と、この話を「喫茶オンリー」のマニアの方にしたら、「そんなにたくさんのマッサージは必要ないよ」と半笑いで返されたが、それを言い出したらそんなにたくさんのドリンクだって必要ないっつーの。

ロマン (2010/07/11)
私の知人にどうしようもないご主人様がいるので是非とも記しておきたい。名前はキタさん(仮名)としておこう。
キタさんはメイド喫茶へ行く時、財布の中に小さな紙を何枚も入れている。レシートではない、そこには自筆で「キタ 090−○○○−△△△△」と書いてある。これを何に使うのかというと、まぁ読者の皆さんの予想通り、「メイドさんに渡す」わけだが・・
彼はこう力説する。「ただ渡せばいいってワケじゃないんスよ!まず、店の"死角"を探すんです。他のメイドさんに見られたり、他の客に気付かれたり、まさか店長の視野に入れば確実にマークされてしまいますからね。
で、メイドさんなら誰に渡してもいいってワケじゃないんスよ!出来る限り"入ったばかり"のメイドさんを狙います。経験豊富なメイドさんはこういう時"どうかわすか"をよく心得ていますからね。その点、新入りの子なら"どうしていいかわからなくて"つい受け取ってしまいがちです。これは僕の経験則、努力の賜物です!」
なるほど計画的なのか誰でも思いつくのかよく分からないが、彼なりの「ロマン」があるらしい。ここだけの話、いろんなお店の店長さんなんかに聞くとこういうお客さんは相当数いるらしい。彼は続ける。
「そうですねぇ、今まで・・300人くらいに渡してきましたかね。うん。全部、キッチリ入ったばかりの子だけを厳選して。」
300という具体的な数字を聞くとなかなかゴツいなと思ってしまいそうだが、いったいどれくらいの「リターン率」があるのだろうか?そここそ重要なのではないか?「入ったばかりの子が狙い目」と言うからには、それなりの"成果"があったんだろう。
「え?連絡ですか?それが一度も無いんですよね。。」それって何の意味が・・?
実は私、キタさんが最も贔屓にしている「E(仮名)」というメイド喫茶のオーナーとは毎月ご飯を食べに行く仲なのだが、そこで彼のことを聞いてみたことがある。すると本人が聞いたら泡を吹いて倒れてしまいそうな仰天の事実が飛び出した。
「ああ、キタさんですか。あの人がウチの子達に渡した紙は全部僕がとってありますよ。へぇ、彼的には作戦があったんですね〜。ウチの場合そんなことはとうに想定済みで、中堅の子には華麗にかわすように、新入りの子には「あたふたしながら受け取るように」と教育してありますからね。そうするとお客さんは俄然ヒートアップして通ってくれるんですよ。メイド喫茶には「イケるかも?」感の演出が大事ですからね〜」

NTR属性 (2010/07/10)
「NTR(ネトラレ)」という属性が一部オタクの間で人気を博している。これは「寝取られる」の隠語であるが、意中の女の子が他の男とデキてしまうことにマゾヒスティック的な快感を覚えるのだそうだ。彼氏がいるのに遊んでくれる女の子というのは、ある意味では男性にとって理想的な存在なのかもしれない。
彼氏彼女が出来たからといって友達付き合いが悪くなるというのはいささか残念なことである。新婚の旦那さんというのはこれが原因でどんどん太っていく人が多い。何故なら、外でご飯を済ませたのに、奥さんの前では「食べてないよ!」と見栄を張り、二重に食事を摂るからだそうだ。なんだか愛らしいよね。
メイドさんに彼氏がいるというのは、言わずと知れた「タブー」である。しかし見方を変えて、「彼氏がいるのにメイド喫茶でメイドさんをしている」というのはどうなのだろうか?もし私が男なら、その方が「燃える」のだが。。何か如何にも「落ちそう」じゃない?よりリアル思考な人にはこっちのほうがウケそうな気もするが、、メイド喫茶のご主人様にそんな人はいないか。
それに綿密にシミュレートしてみれば、彼氏に「今日もメイド喫茶でお給仕がんばってね!」なんて言われている子がいると思うか?もしいるとすればどんな彼氏だ?#094でも触れたが、そのほとんどが「内緒」と考えるのが妥当だ。だから「彼氏に内緒でお給仕してもらえる喜び」を噛み締める、そんな屈折した愉しみ方が出来ると、もっとメイド喫茶にハマるかもしれない。
というのも、以前某所にあるメイド喫茶でこんな衝撃的事実を目の当たりにしたのだ。
私がお会計を済ませてお店を出たところ、すぐ横にある階段(ここは雑居ビルです)で休憩中のメイドさんが誰かと電話していた。これがまた周りが静かで、エレベーターがなかなか来なかったので、その会話が一部聞こえてしまったのだ。
「うん、、うん、、だから今学校なの。うん、分かってるよ。愛してる。じゃあね。」
そしてお店に戻ろうとするメイドさん、目が合い、二人で苦笑いしながら会釈。
何このエ●ゲ。私が女だからよかったがもし。。いや、何でもない。
NTR属性の人ならこれを機にガンガン通うようになるのかもしれない。この後もう一回店に戻って彼女とハート作ってチェキとか撮りたいよね。オムライスにケチャップで「今学校なの」って書かせたり。
休憩場所は、離した方がいい。そう思った。

回転率と客単価 (2010/07/09)
メイド喫茶の「椅子」には、外見はこの上なくお洒落だが、実際に座ってみると妙に高かったり、すぐにお尻が痛くなったり、やたら滑って座りづらいものがある。もちろん、これら負の特徴は「居辛くさせ、回転率を上げる」ためにあるわけで飲食店には非常に適しているわけだ。
ノンチャージで座り心地のよい椅子を用意した店は、客単価が全く上がらず過去ことごとく潰れている。こうした店では途中から焦って、「1時間ごとにワンオーダー、必ずお願いします」などとやり出すのが定説だが、システムを変えてしまえばそれまでついていたお客さんは飛ぶと考えて間違いない。
反対に1時間いくらのチャージ制の店などであれば、あえて回転率の悪い店を作るというのも戦略のひとつである。このどちらを採るかは、自店の格付けと密接に関わってくる。格付けに失敗した店は、例外なく場違いな椅子を用意していたりするものだ。
#192でも書いたが、メイド喫茶はシステムから作るべきである。システムをまずしっかりと決め、そしてそれに合った店を作る。こうすることで間違いが起こる可能性が下がる。
客が長蛇の列を作っており、一人で何時間も粘られてはとてもじゃないが捌き切れないといううれしい悲鳴をあげるような人気店であれば、このお洒落で座りづらい椅子が効果を発揮することだろう。またキャパシティの小さい店でも恩恵を受けることが出来よう。しかしそのどちらでもない店でこの椅子を置けば、ただでさえ長いアイドルタイムがもっと長くなる。客数が少ないのだから単価を上げたいところだが、椅子が座りづらいので長期滞在、追加注文をさせられない。こんな矛盾を抱えている店も少なくない。こういう場合は、自分の店に行列が出来ると勘違いしたのだろう。ちなみに「安かったから何も考えずに」は論外。安いんだ、これがまた。
店側としてはどんな店でも行列が出来てほしいものと願っているに違いない。これは決しておかしいことではない。しかしお客さんとしては、喫茶店なのだから適度に空いている店がくつろぎやすくていい。「混んでいる店は無条件で避け、空いている店にとりあえず入る」という人だってたくさんいる。しかしそれは単に空いている店を探しているのではなく、「くつろげる店」を探しているのだ。だから例え空いていても「居心地の悪い店」には入らない。こんなことは当たり前の心理だ。
さすがに「空いているのがウリ」というのはおかしいが、座りにくい椅子は少なくともこうした層すら逃しているわけだ。客を増やすためにある道具が、客を減らしてはいないだろうか。

石田純一 (2010/07/08)
一部のメイド喫茶では「メイドさんとご主人様・お嬢様のお喋りがメイン(商品)」とうたっている。しかしメイド喫茶のメインユーザー層は30代〜40代の男性だが、メイドさんのメイン層は10代後半〜20代前半であることを考えると、この2者の価値観、流行りモノは当然異なるわけで、自然に話が合うと考える方が無理がある。これを埋める為にはかなりの営業努力を要するものと思われるが、それをあまり肌で感じたことがない。
私が以前接待で2丁目のオカマバーに連れて行ってもらった時の話だ。その時席についたオカマさんは政治の話も出来たし、「メタルギアソリッド」の限定版特典についても詳しかった。聞けば新聞は毎日欠かさず読んでいるし、移動中もネットでの情報収集に余念が無いという。どんな趣味を持ったお客さんが来るかわからないから、日々勉強なんだと。「お喋りがメイン」とのたまうなら、最低限こういうことはしているんですよね?と聞きたくなるが、、絶対やってないよね。時事的なこともあっていろんな店のメイドさんからやたらめったら「ボーカロイド」の話を振られるけども、「ボーカロイドが30代〜40代にヒットしている」というデータをきちんとリサーチした上で話しているのかと言ったらどう考えても「やってない」。ただ単に、メイドさんが個人的に昨晩「ニコ動」見てきただけでしょ。これで「ウチはお喋りメイン」などと言ったらオカマさんに「どんだけぇ〜」って言われるぞ。
例えば、「パチンコ」のメインユーザー層は50代以降である。故にタイアップモノは「氷川きよし」「アグネス・ラム」「仮面ライダー」など、年代にマッチしたものが売れる。それに対し「パチスロ」のメインユーザー層は30代〜40代であるから、「キン肉マン」「エヴァンゲリオン」「バイオハザード」などが売れた。ここに「氷川きよし」を持ってきても全く鳴かず飛ばずだったという過去がある。
現在の「お喋りメイン」のメイド喫茶のほとんどは、氷川きよしについてお客さんが、「よくわかんないんだけど、とりあえず頷いておこう」という状況にある。メイドさん側であれば仕事だから我慢するところだが、お客さん側に要求してしまうのはいかがなものか。お金をつかってストレスを貯めさせてどうする。
この状況を打破するために、メイドさんは「聞き上手」に徹するというのはどうだろう。かの石田純一は「へぇー」「そうなんだ」「すごいね」だけで3時間は話せるという。そもそもメイド喫茶に「話したくて」来ているのは100%お客さん側なのだから、話したい側に話させればいいのだ。それどころか、一見さんに全く興味のない話題をメイドさんが振ってしまえば、「つまらない会話を押しつけてくる店」と認知され、足が遠のいてしまうだろう。
「お喋り」とは何か、今一度考えなおしてみてはいかがだろうか。

難民 (2010/07/07)
平日の昼間からメイド喫茶に入り浸れるご主人様って、仕事は何をしているんだろう?というと、そのほとんどは営業回りや夜勤明けというものだったりする。
多くのメイド喫茶は「第2の家」という設定である。だから、メイド喫茶へ来ることは「おかえりなさいませ」、店を出ることは「行ってらっしゃいませ」なのだ。
当たり前だがこれはジョークで、実際に住むことはできない。そんなこと、連載241回目を迎えるこのコラムで言うことじゃないだろうが、今回の記事を書くにあたって再確認しなきゃいけないのである。
世の中には、ある特定のメイド喫茶にどっぷりハマってしまい、定期券を買ってしまう人がいる。それどころか、同ビルに部屋を借りてしまったという猛者もいる。そんなことは日常茶飯事、今更記事にしたところで誰も驚かないだろう。
今日はある店にいた、伝説の「押し掛けご主人様」の話を。
名前はK次さん(仮名)、彼の仕事は印刷工場の夜勤。いつも大体午前7時頃には仕事が終わり、7時半にはこのメイド喫茶に到着する。
7時半に到着するといっても、当然だが店は開いていない。到着する「だけ」だ。だがそれだけでは伝説にはならない。彼はそのまま、店の目の前(=道路)で寝てしまうのだ。この店は10時オープン(当時)なのだが、9時半ごろ出勤してきた店長が「ちょ、K次さん何やってるんですか!」と起こすまでそのまま。「いや、開くの待ってるんスよ」「いやいやいやいや!とりあえずここじゃマズイんで、中に・・」
このことを耳にした他の常連さん3名も続々早朝から集まり、お店オープンと同時に入ると、椅子を並べて毛布をかけて4人で寝ていた。入ってきたのが私でよかったものの、これが一見さんだったらどうするつもりだったのだろうか。話によればT樹さん(仮名)という常連さんはここ3ヶ月間一度も家に帰っておらず、この店から出勤し、朝この店に帰ってくるという生活をしているという。
ある日彼はこう言った。
「店長〜、住民票、移していい?」
そしてしばらくしてこんな張り紙がされた。おそらく、日本中でここのメイド喫茶だけのローカルルールだろう。
「店内で寝る、店外で寝る、住み付く等の行為は禁止です。」

夜の秋葉原 (2010/07/06)
池袋に昔、とあるパチンコ店があった。それがある日、店名はそのままでネットカフェに業態変更をしていた時は度肝を抜かれた。それにはちょっとした時代背景もあるのだが、「パチンコ店よりネットカフェの方が儲かる」という歴史的事実は揺るがない。繁華街におけるカフェ業務の深夜営業は儲かるのだ。
現在秋葉原には何軒のメイド喫茶があるのか、正確に把握したとしてもすぐに増減があるのであまり意味はない。また、一時期までは「ロクに飲食店がない」と言われていた街であるが、今では敷地面積における日本一の飲食店密集地帯であるとも言われている(もちろんメイド喫茶含む)。この状況をどう考えるか。
ある人気メイド喫茶の経営陣の一人が私にこう話す。
「今後昼の秋葉原に(飲食店が)参入するメリットはもうほとんど無いと思います。マーケットは完全な飽和状態で、客の取り合いになるのは必至。そんな未来の無いことに賭けるより、今は夜ですね。現状ではメイド喫茶でも夜開いているというだけでそこそこの客が入っています。昼のメイド喫茶は数えきれませんが、夜のメイド喫茶は片手で足りるという供給不足の状態です。今参入するなら夜で決まりでしょうね。」
この考えには全面的に賛成出来る。メイド喫茶を開くといっても、お客さんのいないところでやる意味はない。今までは昼のメイド喫茶を考えるというのが当たり前だったから、コンセプトはある意味で限られてきた部分がある。しかしそれが夜の営業ということになれば状況は変わるだろう。お昼に遊ぼうというのなら「萌え〜!」というハイテンションな営業も成り立ったかもしれないが、夜にそれは無いだろう。
以前栃木県は宇都宮に「ピュアガーデン(2008年3月2日閉店)」というメイド喫茶があった。この店、土曜の営業では朝5時までなどの「始発まで」という形態をとっていた。メイド喫茶の夜の営業と聞くと、どうしても二毛作なキャバクラ営業を連想しがち(すぐ近所にそういう店もある)だが、ここは喫茶営業を貫いた。店内には漫画本が並べられ、フリードリンク制なのでメイドさんがたまにグラスを換えに来る程度で、あとはフリーダム。感覚的にはネットカフェの深夜営業に近い。今でも鮮明に覚えているのは、午前3時、「メイドさん手づくりカレーが出来ました」とカレーの販売を始めたことだ。気分はまるで受験生の夜食である。
昼夜の営業で夜を収益構造の核としていく流れは現在のメイド喫茶において切っても切れない命題でもある。夜のメイド喫茶は何をするのか、是非切磋琢磨してほしい部分。まだまだこのマーケットには余地が残されているはずだ。

結婚=500円 (2010/07/05)
メイド喫茶では毎月の行事に応じたコスプレイベント等を開催して集客することがどの店でも大抵定番となっている。例えば一月はお正月で巫女さん、二月は節分で鬼の面といった具合に毎月何かしら考えられるし、特に何もないような月でもうまいことこじつければ大体なんとかなるだろう。またコスプレだけでなく、行事名にちなんだ限定メニューなどを出すパターンも多い。この辺は誰が決めたわけでもない通過儀礼と言えよう。
メイド喫茶はその名前の通り、通常営業は基本全てがメイド服での接客となるわけで、常連さんにはどうしても飽きが来るもの。毎日同じ面々(お客も、メイドさんも)が顔を突き合わせても新鮮味に欠けてくるのは間違いない。そこで定期的にこのようなものを投入することで巧いことチェキが捌けるなどのメリットがあり、特に売上が低迷している店ではつい乱発しがちになるという悪循環に陥ることもある。つまりこれは「完全常連向け」のムーヴメントであり、#118でも触れたのだが、期間中せめて元のメイド服のメイドさんも最低1人以上は残しておいてくれないと、一見さんには辛いというデメリットもある。有名どころでは10月の定番イベント「ハロウィン」。この時期に秋葉原のメイド喫茶を何軒か回ると、どの店にも一人残らずメイドさんがいないという不慮の事態が発生していたりする。
さて、先月6月といえばやはり「ジューンブライド」、多くのメイド喫茶でも「結婚」「結婚式」をモチーフにしたイベントデーが行われていた。コスプレイベントなのだから期間中はメイドさんにウェディングドレス風の衣装を着せるのは当然として、ウェディングドレスの女の子とチェキが撮れるという「結婚式もどき」を500円(=チェキの値段)でやってくれるお店もいくつかあった。
さて、#236他でメイド喫茶の常連にはジョークの通じない生真面目なヒトが多いと書いたが、そんな彼らにとってこの結婚式チェキはどう映ったのだろうか?
500円払って軽く結婚式を挙げて来たご主人様。チェキを受け取り限定フードを食べカルピスを飲み干しお会計へ。「2700円になりま〜す!」ドアまでメイドさんがお見送りしてくれるも、突然そわそわし始める彼。「ご主人様、どうかなさったんですか?もしかして忘れ物ですか?」その場では「ハッハッハ、6月だから結婚ね、よく考えるねぇ〜」なんて喜んでいたご主人様、ここでこの企画全てを揺るがす大爆弾発言をしたとあるメイドさんがら伺ったので是非ここに記しておきたい。
「いや、、あの子、僕と結婚したはずなのに、どうして僕の家についてきてくれないんですか!?(※注:真顔)」

推し、準推し、推し3 (2010/07/04)
キャバクラでは禁じ手とされている行為に「指名変え」というものがある。これは所謂「推し」の女の子を通っている最中に変更するということだ。キャバクラでは基本「疑似恋愛」ということになっているわけで、お客さんと嬢は設定上恋人同士なわけだ。だからこの行為はご法度、店によっては出入り禁止というところもあるくらい徹底していたりする。
ちなみにこれはお店側からすれば「女の子同士の喧嘩防止」の意味もある。「客を取った、取られた」で揉めて士気が落ちるのは店にとって死活問題。キャバクラが「売り上げ至上主義」ならば禁じ手だろうが何だろうが「ボトル入れてくれるならいいッスよ!」となるだろうが、それよりもお店の空気や女の子を取るわけだ。ある意味では妙なところで健全と言えなくもない。これが例外的に認められているのは、店側も認めた超VIPな「太客」だけというのが暗黙の了解だ。
メイド喫茶には当然だが指名も無ければ指名変えも無い。何より疑似恋愛ではないからご主人様とメイドさんは恋人同士ではない。これが何を意味するかというと、「無法地帯」である。
お気に入りのメイドさんが一身上の都合でお店を卒業してしまう、その子目当てにひと財産貢いできた常連にはとても辛い出来事だろう。しかし、あるメイド喫茶のオーナーはこれについてこう言う。
「推しのメイドさんが辞めちゃったからといって、自分も常連を卒業して店に来なくなったというお客さんははっきり言ってほとんどゼロですね。卒業式当日は涙を流す人までいますが、翌日以降、あっさり次に乗り換えます。彼らには、推し、準推し、推し3くらいまではいるものと思っていいでしょう。メイド喫茶の常連さんは結構平然とそういうことをします。「オタクは純愛じゃなきゃイヤ!」ってよく聞きますが、全然嘘ですね。チェキを見境なく無作為にどのメイドさんとも撮ったり、それで純愛って意味がわかりません。あんなこと、普通の感覚なら怖くて出来ませんよ。だからメイドさんが卒業しちゃっても、客数に特に大きな変化は無いし売り上げが下がることも無い、寧ろ卒業イベントで飛ぶようにチェキや限定フードが出るんで、定期的に一人二人と抜けてくれると丁度いいです。」
私はこう尋ねた。「それって、お客さんはメイドさんではなくお店そのものが好きなんじゃないですかね?」
しかし間髪入れずに半笑いでこう返された。
「いやいや、ウチの店に限っては、メイドさん以外の商品なんて無いですから。」

ハマる心理 (2010/07/03)
常連は何故、メイド喫茶にハマるのか。メイド喫茶の「何」が面白いのか。
かの宮本茂は「スーパーマリオ」を手がける前に当時大流行していた「スペースインベーダー」を徹底分析するも、その時「ゲーム」そのものではなく「プレイヤー」を観察したという。プレイヤーは何故、インベーダーにハマるのか。インベーダーは何故、100円玉をつぎ込ませてしまうのか。面白いゲームとは、人をどうハマらせるのか。。その積み重ねがマリオなのだと言われるとなるほど頷ける。商品というのは、それを使う「人」を見なければわからないものだ。
さてメイド喫茶にハマってしまった人にそのきっかけを尋ねると、かなりの高確率である「殺し文句」が出てくる。それが、「また来てくれたんですね」である。
日にちを空けて行ったのに、覚えていてくれたのが嬉しかった。客は多いから、普通忘れちゃいますよね?こんな人が「ハマ」る。自分だけ他の客と違って特別扱いされたような気がしたから、というもので、要するに「フラグ」を誤認識してしまったわけだ。
「自分に気があるのかと思いました」。これが彼らがメイド喫茶にハマる理由だ。
こういう人たちは、メイドさんはメイド喫茶で「仕事をしている」という認識が薄い。何度も顔を合わせるうちに徐々に仲良くなってきた錯覚に陥り、メイド喫茶をただの「ふれあいスペース」だと考える傾向にある。ふれあいスペースで女友達と駄弁りに来た、自分は決して「メイドさん代」なぞ店にはびた一文払っていない、ここはただの喫茶店で、そこの店員さんとお話しているだけだ、その為には喫茶メニューをとりあえず注文しなきゃいけないなんて当たり前じゃないか。こうなったら「一丁上がり」だね。
あるメイド喫茶にはこんなマニュアルがある。「メイド喫茶には、基本的にはお金を払ってでも女の子とお話ししたいという、淋しい方が来られるはずです。どうせ同じ接客をしてもらうなら、可愛い娘、綺麗な娘にしてもらいたいはずです。ですから、彼らの理想のメイドさんを演じられるように気を配ってください。 〜中略〜 男と言う生き物は単純です。長く居座ってお金をたくさん落としてもらうには、気がある素振りを見せれば一発です。売上の伸びが悪い時は、後ろを通るふりをしてわざと体を押し付けたり、手がぶつかってしまったふうに装って股間のあたりに触れたりすれば確実に伸びます。こういうことをお客さんは望んでいるのです。」
これを男性(店長)が書いたというのがリアルで面白い。

マイナス10万倍からの生還 (2010/07/02)
おっぱいプリン、という商品がある。文字通り、おっぱいの形をしたプリンのことだ。あれはどう考えてもプリンであっておっぱいではない。そんなことは「誰だって」分かっているはずだ。「これ、おっぱいじゃなくてプリンじゃないっすか!お金返してください!」なんていうナンセンスな客はいないだろう。「と、思いたい」。
メイド喫茶は「ジョーク」が商品である。そもそも、メイドさんとご主人様・お嬢様という設定すらジョークなのは当然だが、他にもたくさんの楽しませてくれるジョークが満載だ。「おかえりなさいませ」「行ってらっしゃいませ」はその代表格だろう。故にジョークが分からない人には若干辛い場所でもある。
例えば、東京は池袋にあるアフィリア魔法学院には「エメラルダルソーダ」というドリンクメニューがある。これは魔法使いの世界をイメージした名前なのだろう、緑色とエメラルドをかけただけで中身はもちろんただのメロンソーダなわけだが、これについて、出てきたメロンソーダを見て
「ちょ、これメロンソーダじゃないっすか!僕が頼んだのはエメラルダルソーダですよ!交換して下さい!」
とマジレスしているお客さんを見たことがある。それを言うなら、席に案内される際に「先輩」と呼ばれたことにまず突っ込んでくれ。可愛い女の子に「先輩」って呼ばれて、間髪要れず「俺、先輩じゃないっすよ!」と真顔で。あぁもう何の為に来てるんだ。
また、言わずと知れた「おいしくなぁ〜れ、萌え萌えきゅ〜ん!」というお約束のフレーズがある。にわか知識の人達にはメイド喫茶というとこれがワールドスタンダードかと思われているのだろう。と言うと通な人は怒るかもしれないけど、しょうがない、テレビの影響はやっぱり強いからね。
で、この間これについてストレートな意見を耳にした。秋葉原のメイド喫茶、ぽぽぷれでの話だ。
「おいしくなぁ〜れ、萌え萌えきゅ〜ん!はい、これで10万倍おいしくなりました!」
注文したアイスココアを飲み始めるご主人様。ごくごく・・そして一言。
「・・普通のアイスココアじゃないっスか。これで10万倍って、おまじない前はどんだけマズかったんスか?」
まぁ、言いたいことは分からなくもないが・・。
この調子だと、そのうち出てくるんじゃないか?「メイドさんっていうなら、ウチについてきて、部屋の掃除してくださいよ!え?何?出来ない?じゃあメイドさんを名乗る資格無いですよ!ジャロだ、ジャロに電話だ〜!」とマジギレする方が・・。と書いていて、「もうとっくにいましたよ」と言われそうで怖い。

気配りの出来るカリスマ店員 (2010/07/01)
乙女ロード。東京は池袋にある、言わずと知れた女性向けアニメグッズなどを扱う店舗の密集地帯だ。過去「出没!アド街ック天国(テレビ東京)」でも特集された、"女性版"ミニ秋葉原である。女性向けのメイド喫茶やコンセプトカフェもこの周辺に多く点在する。
女の子向けのメイド喫茶・コンセプトカフェと言われたら、"可愛い内装"とか"女性向けサービス"なんかが連想されるだろう。となると知名度と人気の点で言えば、大御所はやはり池袋の「ワンダーパーラーカフェ」ではなかろうか。
しかし、男性が可愛い女の子(メイドさん)に癒されるのがメイド喫茶なのだから、女性はイケメンの男の子に楽しませて貰いたい!という欲求もあるはず。それを具現化した店と言われればやはり、同じく池袋の「ラブオール」が抜きん出ていると感じる。ここのコンセプトは「メガネ&スーツ」。
日曜日の早朝から子供向けアニメにご執心な方ならお解かりかと思うが、「夢色パティシエール(読売テレビ・集英社)」などの所謂「少女マンガ」に登場する男の子キャラクターというのは、皆揃いも揃って端正な顔立ちのイケメンばかり。あれは「女の子の理想」を忠実に再現したわけだ。あれらのアニメを見ていて「こんなイケメンいるわけねーだろ!」と思っている人もいるだろうが、ラブオールではそれが現実となる。
私はこの店を単に女の子向け、男性は楽しめないと割り切るのは少し早計だと思うのだ。ラブオールは決して男性スタッフとの擬似恋愛をウリにした店ではない。どちらかと言えばその立ち位置は、「気配りの出来るカリスマ店員」といったところか。その証拠に、まだごく少数とはいえカップル客の姿を見ることがある。恐らく彼女が「行きたい店があるの」なんて誘ったんだろうが、「連れて行くことで女の子を喜ばせることが出来る雰囲気のいいお店」というのは飲食店の経営にとって重要な強みである。これなら単純計算でお客の数が倍になり、それでお店が潤えばまた別の楽しいサービスを考えてくれるかもしれない。露骨なホストクラブに彼氏を連れて行く女の子はいないだろう?彼氏はここで彼女の顔色ばかりでなく男性スタッフの働く姿を見て、「どういう男が彼女の理想か」を研究してみるのも面白いかもしれない。
現状にひとつだけ難点を挙げるとすれば、「予算が・・」というもの。当サイトのデータベースにも、レストラン検索の「ぐるなび東京版」にも"3000円〜"と記載されている通り、ちょっとお高いのでなかなか思うように通えていない。無論、それに見合ったサービスがあると分かっているのだが、、そこをいつか客数でカバーしてくれないかな、と。

バーチャル・リアリティ (2010/06/30)
昨今のテレビゲームは画質の向上が目覚しい。技術の進歩で、ファミコン時代では信じられなかったような、まるで現実かと見間違うようなハイクオリティの映像が楽しめるようになった。
しかし、どんなにリアルな体験が出来るゲームも、基本は「バーチャル・リアリティ(仮想現実)」の域を出ないことは誰でも知っていて、電源を切ればそれまでで、日常生活に支障を来たすことは無い。
また面白い映画を見ると、ついつい役になり切っちゃう人がいる。彼らは台詞を暗記してそのシーンを再現しながら解説してくれたり、あまり興味の無い人にははた迷惑な存在だったりもする。とはいえ、彼らも別に仮想の世界と現実の世界をごっちゃにしているわけじゃない。あくまでもあれは仮想の世界、仮想の世界のヒーローはかっこいいなぁ、というものだ。
仮想現実、仮想空間というものは、あくまでもひと時の楽しみである。レーシングゲームを極めたからと言って免許は不要にはならないように、どんなに突き詰めていったところで現実世界とは一切リンクしないということを忘れてはいけない。
それに対し、メイド喫茶という仮想空間のご主人様は、仮想の世界と現実の世界とが完全にごっちゃであるという人がもの凄く多い。それはきっとゲームや映画と違って、「生身の人間」が商品であるというのが最たる理由だろう。性善説に基づいた人間の本能なのかもしれない。
メイド喫茶のメイドさんとご主人様という設定は、RPGで言うところの勇者と姫様みたいなものだ。店内に入った瞬間から、可愛いメイドさんが「おかえりなさいませ、ご主人様」である。まるで女の子を一人、独占したような気分になれる。人間は、目を見て喋られると弱い。嘘をつく人は目を逸らす、なんて言われている。だから見つめられるとなんとなく真実のような気がしてくる。ところがこれは仮想の世界である。黄色いカッパを来た園児でも、ゲームの中ならドラゴンの炎を避けてエルフの力を借り、悪の巨大組織から機密情報の入ったチップを奪い取ることも出来るが、途中立ち寄った闘技場でゴールドをどんなに貯めたところで現実の預金が増えるようなことは無いように、メイド喫茶という仮想空間が最終的に現実とリンクすることはまず無いと考えねばならないはず。それが出来ない人がメイドさんとの恋愛への発展に期待して、キャバクラ的な店へと通うようになるのだろう。
歴史の中で「キャスト依存」の店が増えたということは、ほとんどの人が「区別がつかなかった」んだろうね。

5000円で9回 (2010/06/29)
1回の食事で5000円使うといったら、何を思い浮かべるだろうか?お寿司?ステーキ?それともメイド喫茶?・・えっ、メイド喫茶ってそんなにかかるのかって?いやいや、あくまでも「任意」でのお話ですよ、と。
メイド喫茶の中には、注文したフードメニューをオプション料金を支払うことで最初の一口だけメイドさんが「あ〜ん」してくれるというサービスがある店がある。ご主人様にあ〜んするってだいぶ倒錯しているような気もするが、「楽しければ何でもあり」なのだろう。中には「ご主人様がメイドさんに自分のフードメニューをあ〜んして食べさせ、そのままそのスプーンを使える」というセクハラオプションメニューを置いている店もあるが、これはちょっと別カテゴリ。こんなこと、女子高校生にやらせちゃイカンよ。
さて、ある店でこんな「漢」なご主人様を見たことがある。
カレーライスを注文したご主人様、例の「あ〜ん」オプションを付けた。カレーライス500円、オプション500円、総額1000円である。この金額を「うわぁ、阿漕だなぁ」と感じてしまったとしたら、この先の光景にきっと泡を吹くことになるだろう。
ご主人様は運ばれてきたカレーライスのライスの部分をスプーンでなにやら切り分け?している。見れば縦3、横3、綺麗に9等分だ。そしてメイドさんにこう尋ねた。
「あの、これって、最初の一口だけですか・・?」
「ハイ、基本的には、あとはご自分で、という・・」
「9口でちゃんと全部食べるんで、9回、"あ〜ん"して貰えませんか・・?」
「えッ?きゅ、9回ですか?」
「ご、5000円あるんで、カレーが500円だから、9回なら4500円で、丁度足りると思うんです・・!」
「・・ごせんえん・・!ちょっと店長に聞いてきますっ!」
その後驚くほど早くOKが出て、しばしメイドさんとご主人様の「全部あ〜ん」タイムが執り行われた。彼は終始ご満悦といった表情だった。
ただのカレーライスでもメイドさんが運んできてくれるというだけで500円になり、一口目をあ〜んすると1000円になり、全部あ〜んで5000円になる。つくづくメイドさんはカネを生むなぁ、と変なところで感心してしまった。そして全部あ〜んして貰えた彼が少し羨ましかった私は手遅れなのかもしれない。

私はバカです (2010/06/28)
秋葉原の街には小学校があるのもあって、時間帯によってはそこかしこにちびっ子達の姿を見ることが出来る。彼ら小学生達は、この百花繚乱のメイド喫茶郡を一体どう捉えているのだろうか?
繁華街というものはお金が無ければ全然楽しめないものだと思う。中にはウィンドウショッピングでも楽しいという人もいるかもしれないが、それだってお金があって気に入ったものを買える楽しみには勝てないだろう。特に秋葉原は「物欲の街」とも呼ばれている。
オタクな人は「あの小学校に通っていたら、毎日楽しかっただろうなぁ」とよく言う。私も無責任に何となくそう思っていた。しかし現役の小学生から見たら秋葉原は全然別の姿をした街なのかもしれない。
メイド喫茶というビジネスがどういうものか説明しろと言われたら、1:メイド喫茶とは、店員さんがコスプレしている喫茶店。2:客を突き動かすものはコスプレの店員さん>喫茶メニュー。3:客はメイドさんに会いたくてお店に入る。4:しかしただいるだけでは追い返されてしまう。そこで飲み物などをメイドさんとの面会料として「仕方なく」オーダーする。といったところか。
当然そこには、大の大人を何人も虜にする「中毒性」があるわけだ。中にはメイドさんに恋をしてひと財産貢いでしまった人もいれば、「もうメイド喫茶作っちゃった方が早いんじゃない?」という位ポイントカードを貯めている猛者もいる。子供ならどんなにトレーディングカードが好きだったりしても、お小遣いの範囲を超えることは出来ないから自然と歯止めがかかるとはいえ、大人はお金を持っているし、止める人もいないから暴走出来る。
これをちょっと利口な小学生に説明したら「バカだ」と言うかもしれないよね。でもそんなバカげた欲望を満たす商売を「娯楽」として許容・認知出来るのが大人の社会というものである。あと15年経てば確実に考えを改めることになるだろう。こうしたアナログ的な人間らしさが、新しい刺激を生み出すのだ。
平和な某月某日、私はあるメイド喫茶で紅茶をいただき、お会計を済ませてエレベーターのボタンを押した。エレベーターの入り口までメイドさんがお見送りをしてくれる。チ〜ン、とドアが開いた。中には、男子小学生3人組がお先に乗っていた。彼らの手を見ると、遊戯王カードをトランプマンのようにシャッフルしている。「行ってらっしゃいませ、お嬢様。」ドアが閉まって少年・Aが呟いた。
「おい、今の見たかよ?メイドってブスじゃね?ってかババァじゃね?こんなトコ行く大人って、バカじゃね?俺、大きくなってもメイド喫茶なんてぜってぇ行かねぇ!」

マジレス (2010/06/27)
AKB48のシングルCDを100枚、200枚と買う熱狂的なファンについて、「天才プロデューサーに踊らされていることは全て分かった上で買っているんだから、いいんじゃない?」と説明する人がいるが、私にはどうもそうとは思えない。
このことを某メイド喫茶のオーナーが力説する。「分かっているわけないじゃないですか。分かっていてお金を落とすなんて不自然です。かといって全く分かっていないんじゃなくって、"分かっているけど信じてない"んですよ」だそうだ。これぞ至言であろう。
メイド喫茶のメイドさんは可愛い。有料のチェキが飛ぶように売れるというのはよく考えれば凄いことだ。もちろん現実世界でもとてもモテるだろう。彼女達には実はプライベートでは彼氏がいるなんてことはごく当たり前のことだ。「彼氏いません」は"お約束"。全てのご主人様は、このことを潜在的に分かっているのだろうか?分かっていたら、通わないよ。かといって分かっていないわけじゃない。分かっていても、信じていないから通えるんじゃないか。信じていないから楽しめるんじゃないか。
彼女らは、「(とてもモテるなんて)そんなことはない」と言うかもしれない。しかし、彼女らの「そんなことはない」と彼らの「そんなことはない」にはかなりの開きがあるというのがミソであろう。
メイド喫茶に通うご主人様は、どうやって生きてきたらこんなに純な心を持てるのかと問い詰めたくなるくらい純な人が多い。純な男を見たけりゃメイド喫茶へ行け!と言いたくなる。元メイドさんの友達に、「ご主人様観察の為に定期的に通っている」という子がいるが、なるほど頷けてしまうほど、奥が深い。
卒業してしまったメイドさんの話題が出ると、「本当に好きだったんだ・・」と涙を流し始めるご主人様。メイドさんのブログのコメント欄に、「君に出会えたことは、神様がくれた奇跡だね」とスピードワゴンの小沢もビックリのコメントを残しちゃうご主人様。同じ子推しの常連に対して、「お前は俺のライバルだからな!」とポケモンのジムリーダーもビックリの宣言を店内でしちゃうご主人様。女の子と話したことがなく、恐怖感を緩和する為に腹話術人形を持参して、それを通してコーヒーをオーダーするご主人様。「メイドさんって難しいですよね、話す時に選択肢が出ない・・」と真顔でギャルゲーと混同するご主人様。。書き連ねていて、果たしてこれが"純"なのかどうかよく分からなくなってきたのでこの辺にしておくが、彼らのこれが「粋なジョーク」だと言うのだろうか?
ジョークだったらものすごく面白いんだけど、残念なことに大半は「マジ」だ。

アキバのノリについていけない (2010/06/26)
メイド喫茶をオタクの遊びだと思っている人も少なくないだろうが、これに私は異を唱えたい。メイド喫茶は発祥が秋葉原であるというのもあってか「アキバ=オタク=メイド喫茶」という図式が既存のマスコミによって作り上げられたわけだが、実際の客層は少し異なる。最も多いのは「メイドさんに会いに来る人」だ。これは仮にオタクであっても複合で共存できる属性であるから、客を分析する上で最重要項目となることは間違いない。漫画喫茶に喫茶目的で入る人はいないように、メイド喫茶と銘打つ以上、メイドさん目当てで入ると考えるのは当たり前である。
メイド喫茶を代表するフードメニュー「お絵描きオムライス」だって、数分間メイドさんをジャックする為のものであるとしか説明しようが無い。もしもメイド喫茶に集まるお客さんが皆オタクであるというなら、もっと「オタク受け」するメニューが出てきてもいいはずだ。しかしそんなものが名物になったという過去はない。人気があるのは全て「短い時間、メイドさんを独占できる権利付きメニュー」だ。
このところを勘違いした店は多い。どんな店かというと、アニメキャラクターのコスプレイベントデーなどを乱発したり、店内でアニメソングをかけたり、といった具合だ。そのせいで、メイドさんと仲良くなりたいが為に、これまで一切興味の無かったアニメを見始めるようになったという本末転倒なご主人様まで現れる始末だ。この人が「オタク」かと言ったら絶対違うと思うけどね。
しかし勘違いと言えどこうした店の数の方が圧倒的に増えてしまい、今や「メイド喫茶を楽しむには、ある程度オタク趣味に理解がないと厳しい」かのような様相すら漂っていると言えなくも無い。だがこれは間違いであるから結局おかしな方向へ進んだだけだ。中には「オタク向け」に嫌気が差してきたファンもいる。「オタクはこれで喜ぶんでしょ?」みたいな、鵜飼の鵜になったような気分になる店を避けるオタクも多い。東京都は大久保にある「ソーダポップ」ではメイドさんからこんなことを聞いた。「萌えとかはもう食傷気味、っていう人はウチの店は楽しんでもらえると思う」。また今月1日に渋谷にオープンしたばかりの「いちごみるく」でも、「アキバのノリについていけない人向け」と店長さんから伺った。
ブームというのは時代の流れの中でやがて何が正しくて何が間違いなのかわからなくなるものだ。そしてお客さんはそれぞれの心の中に真実を見つけることだろう。メイド喫茶はそろそろ原点回帰するべき頃合に差し掛かっているのではないか。

無計画ポイント (2010/06/25)
メイド喫茶に付き物の「ポイントカード」。そのポイントの計算の仕方は店によって異なるが、大きく2つに分かれる。1つは「1ポイントいくら」、もう1つは「来店1回1ポイント」。当然、どちらにもそれぞれ店舗に合った戦略があるものと考えられる。
と、言いたいところだが、「有名なあの店がそうだったからウチも」というだけで実は全く考えていない店も数多く見受けられる。何故そうなるのか。
経営者という人種の悩みは贅沢で、必要と思われる段階を経ずに結果だけを出したがる。彼らの信頼するものは「実績」である。これは商売としては正しいと思うが、「何故その店はそのシステムなのか」までは深くは考えていなかったなんてことは多い。だからメイド喫茶のコピー、模倣店は、「細部まで完全コピー」ばかりになるのだ。
だが重大なミスを犯している。店というのは、そういった面での諸条件が全て同じでも「立地」「時期」「宣伝」どれかひとつ異なるだけでも同じ結果を手に入れることは出来ない。ココの所を勘違いしている経営者は本当に多いが、結果は言わずもがなである。
よく考えてみて欲しい。「1ポイントいくら」方式は、一度の来店で出来るだけお金を遣わせる方向のシステムであり、客単価を上げるための口実として用いられるのが一般的だ。対して「来店1回1ポイント」方式は、毎日細く長く通わせるシステムであり、毎日通える距離、つまり地元のお客さんをリピーターとして囲い込むために用いられるということは、ちょっと考えれば誰に目にも明白である。どちらが自店に適切かは規模やケースによって異なるだろうが、「来店1回1ポイント」制を導入しておきながら「客単価が伸びない」と悩むのは少々オカシイということになるわけだ。(勿論それでも方法はあるにはあるが)
客単価を上げつつリピーターを獲得したいなら、この2つの混在が理想となるはずだ。となると、カードを2つに分けるとか、来店1回1ポイント、1000円ごとに+1ポイント、とすることで解決できるだろう。
絶頂期の「@ほぉ〜むカフェ」にはポイントカードが無かった。当時はあの客数であるから、回転率を上げることだけに注力していたはずだ。現在では階級制のカードが導入されているが、「来店1ポイント」方式のものであることを考えるとリピーター獲得に本腰を入れており、客単価は当時も今もそれほど高くないものであると推測できる。従って@ほぉ〜むをマネした店を作っておきながら「客単価が上がらない」と嘆くのは無茶だということがお解かりいただけるであろう。彼らが如何に無計画かということは、カード1枚で計れるのだ。

やらずぶったくり (2010/06/24)
メイド喫茶とは何か?メイド喫茶はキャバクラなのか?
この業界をそれなりに楽しんできて、唯一どうしても理解できないことがある。それが、一部のキャスト依存するメイド喫茶における、「メイドさんと付き合ってしまった人は出入り禁止」というルールについてである。
一言でこの現象を表すなら、「やらずぶったくり」。掛け捨ての生命保険もビックリだ。
これについて、こんなことを言う人がいる。「メイド喫茶は結局キャバクラと一緒で女の子が売り物、だから売り物を取られちゃうと困るんです。」こう言われると業界人であっても「なんとなく正しく聞こえる」からわかった気になるというシロモノだ。だが実際は違う。キャバクラ嬢は、お客さんと付き合うしお店の外でデートもする。キャバクラで禁止されているのは、従業員がお店の女の子に手を出すことだけだ。
メイド喫茶に幻想を抱く人にとっては、このことは衝撃になるらしい。「言われてみると、確かにそうですね」と。
例えば、パチンコ屋さんは折込チラシなんかで「今日もじゃんじゃんバリバリ出しまっせ!」というメッセージを出してくるわけだが、実際にお店で「出し」ちゃったお客さんは出入り禁止なんていうルールだったらどうだろう?そんなところに誰が行くんだ?
#216でも書いた通り、確かに建前としてはこれほど便利なものも無いだろう。しかしこれはあくまで「擬似恋愛が売り物」という前提の話だ。何度でも言うが、私はメイド喫茶はそろそろ「色恋」以外の売り物を見つけるべきだと思う。こんな矛盾を繰り返していたらどこかでお客さんは怒るだろう。そしてお客さんも、メイド喫茶に恋愛を見つけに行くという発想は捨てたほうがいい。
この様子を説明するなら、「店は(擬似恋愛を)売り過ぎ、店は(擬似恋愛を)ボリ過ぎ、客は(擬似恋愛を)買い過ぎ」といったところだろうか。一種のバランス崩壊状態にあると言えるだろう。マーケットが本来持っていたポテンシャル以上のものを店が追求し過ぎで、それに客も客で「上等」とばかりに追いかけたからこそ成立した(ように見えた)ビジネスモデルである。しかしそれが成功したかと言われれば、客が減っただけだ。ある人に言わせれば、「それすら無かったらとっくに(業界は)死んでいた」となるらしいが、ごもっとも。それで当たり前である。この業界は、決して手に入らない色恋を武器に、必要以上に拡大したというだけなんだ。そんなものが何年も続くと考える方がおかしい。
キャスト依存するメイド喫茶は、看板をメイド喫茶から「オタク集金システム」に変更してみてはいかが?

歩合の行き着くところ (2010/06/23)
チェキを撮ると代金のおよそ1割前後がメイドさん個人の給料にバックされるというのは暗黙の了解である。500円なら50円。たかが50円と思うなかれ、ヘビーな常連になると1回の来店で50枚撮って帰るなんていう人もざらにいるからバカに出来ない。
当然、このバックは確実な利益から出るものだから、店側にとっては痛くも痒くもない。アイドルタイム中にも勝手に発生する時給とはワケが違う。だから時給は低く抑えておいて、チェキを常連に撮らせることで自ら給料を上げてね、ということを暗に言い聞かせるような仕組みの店も少なからずある。
1枚50円とは言えどあると無いでは全然違う。時給だけに頼ることの出来ないような法定賃金ギリギリの店ではこの50円の積み重ねが生命線になるわけだ。
これはある店での戦慄の実話である。
当然のことであるが、このようなシステムが露骨な店では、メイドさん同士がチェキを撮ってくれるご主人様を取り合って争うようになるわけだ。こう言えば別にどうということはないが、言い方を変えれば「邪魔合戦」が始まるということである。Aちゃんとチェキを撮ろうかな、と言ったご主人様の目の前でBちゃんが
「えー、この子、彼氏と同棲してるんですよぉ?」
と言い出したところを見たことがある。その時の店内はジョジョ風に言えば正に「ザ・ワールド」だった。
また、「ねぇねぇご主人様ぁ、ジャンケンしようよ!」と振って、見事メイドさんが勝ったら、「罰ゲームでチェキね!」と勝手に伝票に付けてしまうメイドさんもいた。もはや犯罪だ。
そんなことになるなら、50円のバックなんか辞めればいいのに・・と思うかもしれない。私も何度か考えた。しかし、それがなければメイドさんは誰もチェキなど撮るはずがないのである。何で赤の他人と喜んで写真を撮らなきゃいけないのか?という話だ。
チェキはとても楽しいものである。思い出としても、コレクションとしても。しかし、チェキがメイドさんを狂わせ、店をおかしくしてしまうかもしれないという一面もあったりするのである。
このバランスを正すためには、バックの金額を下げ(勿論0にしてしまえば誰も撮りたくなくなるだろう)、時給を上げるしかない。時給を上げるということは、お客さんを増やそうよ、ということだ。経営者はリスクを分散させようとする前に、店を人気にすることからやり直そうよ。

大量離脱 (2010/06/22)
能力給、という制度がある。これは表向き「頑張れば頑張った分、給料が貰える」ということになっているが、実際は「ストライキやボイコットを防ぐ経営者視点の手法」である。
経営者というのは、労働者同士が仲良くなる必要は一切ないと考えている。何故なら、仲良くなれば不満も共有するようになり、いずれはそれが派閥に繋がり、そしてストライキや大量離脱に繋がるからだ。そこで個々の労働者の給料が違うという建前があれば、待遇やその差に不満が出ても、「それは自分の頑張りが足りなかったせいだ」と自己解決し易くなるから非常に都合がいい。
大雨が降ったのは「神の怒り」。こういう考えになってくれれば資本家は楽が出来るのだ。
メイド喫茶では、キャスト依存度の高い店ではメイドさんの一度の大量離脱が店の生命に関わるといっても過言ではない。通常、メイドさんが大量に離脱してしまう危機と考えられるのは進級、進学シーズンや夏休み終了前後など、若い女の子の短期アルバイトであると考えるなら納得のいくものばかりだ。
とはいえこれらはある程度事前に分かりきっているデメリットであるから、求人広告を増やしたりすることで対処出来よう。問題は、全く予期していなかった「派閥によるボイコット」などである。
今月、あるメイド喫茶でメイドさんが同時に5人も卒業した。とりあえず「卒業イベント」などは行ったのでお客さんは円満解決だと思い込んでいるかも知れないが、、6月って何かあったっけ?梅雨か?
そのうちの一人に裏を聞くと、やはり「オーナー派」と「オーナーにはこれ以上ついていけない派」に内部分裂した結果だという。ちなみにこの店は、チェキバックなどで個々のメイドさんの給料に差をつけていたわけだが、それでもこうなった。それは、メイドさんが「お金の為に」メイド喫茶で働いているわけじゃないからだろう。ところが経営者としては、メイドさんにお金の為にメイドさんをしていると思ってもらった方がやり易いわけだ。この温度差こそが、上手く行かない原因だろう。
しかし、、ボイコットされるような店を作るほうが問題ではなかろうか?そもそもボイコットされなければ、メイドさん達を給料で争わせる必要はないし、お客さんは当然ながら、メイドさん同士が戦っている店を喜ぶとは思えない。経営者は自分の無能さ加減をメイドさんと客のせいにしているだけ。上手く行っているならいいが、そうでもない。というか、これで上手く行くという考えの方が奇妙である。
メイド喫茶は、「メイドさんが頑張ろうと思える仕組み」をちゃんと模索するべきだ。

殺し文句 (2010/06/21)
人間は、「買え!」と言われると意地でも買いたくなくなるが、「買っちゃダメ」と言われるとつい買いたくなるというフシギな生き物である。
昼はメイド喫茶、夜はキャバクラ、という二毛作を行う店舗がある。こういう店では全部が全部というわけではないが、「昼のお客さんを、出来たら夜にも!」という考えがあったりする。その為、昼と夜、同じ女の子を出勤させることが多い。
これについては賛否両論あるだろうが、私は単に「イヤならキャバクラへは(若しくは両方とも)行かなければいいだけ」だと思っている。強制的に拉致されてしまうわけではないしね。行く人はあくまでも「自発的に」だ。
基本的にこの手の店では、積極的に「夜にも来い!」という営業はかけない。そんなことをしてしまえば昼の時間帯から嫌な空気になってしまい、お客さんが近寄らなくなる。しかしそれでは二毛作の旨味が失われるだろう。では、一体どうやってお客さんを夜に呼び込むのだろうか?
実はこれ、それなりに通った人にしか分からない「ある仕組み」のお陰で、「絶対夜のキャバクラへは行かないぞ!そんなものは邪道だ!」と断言していたお客さんも、お昼の時間帯に10回も通った頃になると「自発的に」夜の時間帯に行ってしまうように出来ていたりするのだ。今回はそのカラクリを説明しよう。
これはOさん(仮名)という常連さんの実話だ。Oさんは冒頭で説明した二毛作のメイド喫茶のお昼の時間帯のみ通っていた人である。彼の口癖も、最初は「夜は邪道」だった。
異変が起き始めたのは、彼がお昼の時間帯に使った金額が3万円を超えた頃である。メイドさんと軽く話していた時、こんなことを聞いたらしい。「夜はキャバクラですから、お客さんとメアドを交換しなきゃいけないんです・・」こうして運命は決まった。
後になってオーナーに聞いたことなのだが、この「殺し文句」のお陰で、男性のお昼の常連さんは全員、最低1回は夜の時間帯のお客さんにもなっていたそうだ。キャバクラへ1回行けば、およそ2〜3万は飛ぶだろう。しかしメイド喫茶で3万使ったお客さんにしてみれば、このまま昼にお金を使い続けてもメイドさんのメアドを聞けるとは限らない、ならば手っ取り早く「3万円で買ってしまう」方が簡単だ、という考えが生まれるのだろう。妙なところで上手くできているんだなぁと感心してしまった。
ある日Oさんに「他のメイド喫茶には行かないんですか?」と聞いたところ、こんな答えが返ってきた。「他のメイド喫茶って、夜はキャバクラじゃないんでしょ?じゃあメアド聞けないじゃん。そんなのつまらない、邪道だよ。」

5万円のバッグ (2010/06/20)
メイド喫茶でメイドさんとチェキ(ポラロイド写真)を撮ると、余白スペースにマジック等で「落書き」をして貰えるという一種の通過儀礼がある。大抵の場合、書く内容は・店名、・日付、・「また来てくださいね」など一言、の3要素で完成となる。
しかしこれだけでは複数枚撮られるお客さんの場合、すぐにバリエーションが尽きてしまう。常連になると、もはやギャグとしか言えない通称「ネタチェキ」を撮ることを楽しんだりと、なかなか奥が深い遊びだ。なおこのネタチェキは、お店によっては禁止されている場合もあるので注意されたい。
某メイド喫茶に足繁く通っていたS田さん(仮名)、しかしこのことは、実は奥さんにはナイショにしていたという。
女性で勘違いされている方も多いようだが、メイド喫茶というのは基本、"そういうこと"は「まず何もない」と考えていい。どちらかというとアトラクションやエンターテインメントの領域である。ただそれで「そうなんだ、じゃあメイド喫茶、楽しんできてね」などと笑顔で彼氏・旦那を送り出せる人はいないだろうけどね。それはこのS田さんとて、自分でよく分かっているのだろう。
彼はチェキの保管場所は完璧のつもり「だった」という。口を閉じられるジッパー付きのビニール袋に入れて、更にそれをクッキーが入っていた缶に入れてフタをし、庭に埋めていたのだそうだ。タイムカプセルかよ!
ある平和な日曜日、二度寝に突入しようとしていた彼の耳に、奥さんのこんな声が響いた。「コラ、写真にマジックでお絵描きしちゃダメでしょ!?」どうやら娘さんに注意をしているらしい。するとこう反論した。「えー、だってパパのお写真はマジックでお絵描きしてあったよー?」
パパのお絵描きお写真・・パパのお絵描きお写真・・
彼は飛び起きた。しかし時既に遅し、テーブルの上にはどこからともなく娘さんが入手していたメイド喫茶のチェキが並べられていたという。
「で、でも何も無いんだよ!信じてくれよ!」「へぇ、何も無いのに、どうして隠すの?」
そして翌日、奥さんに5万円のバッグをプレゼントすることになったそうだ。5万円と言えばチェキ100枚分である、だいぶ高く付いてしまったわけだ。と言っても、チェキが無くても時間の問題だったような気もするけど。。
そしてそして本当の問題は、この一部始終を、私は問題のメイド喫茶で直接本人から聞いたということである。まだ通ってるのかよ!

爆音メールマガジン (2010/06/19)
ビジネスはどれも得意客を掴んで離さまいと努力するものなので、基本的には客に対し寛容だ。仮に間違っていても、それがお金を落とすことに繋がるのであれば、積極的にやらせたりするおかしな面もある。
携帯電話の着信の音量を爆音設定にしている人がいる。電車の中ではこれほど迷惑なことも無い。それがご老人であれば、設定の仕方が分からないのかもしれないし、耳が遠い方もいるかも知れない。しかし、若い人であればただのKY(死語)と考えるほか無いだろう。彼らの目的は一体何なのか?
メイド喫茶の痛常連にはこの「携帯爆音君」が非常に多い。人が紅茶を飲んでゆったり癒されようとしているところに「じゃーじゃーじゃーんじゃーじゃじゃーんじゃーじゃじゃーん!」などと始まる。彼らの目的その1は「着メロ自慢」である。だから、目の前に携帯が置いてあるのにわざとなかなか出ない(止めない)から性質が悪い。
しかしこれ、メイドさんや他のスタッフさん、店長さんなんかがやんわりと、「他のお客様のご迷惑になりますので・・」などと注意してあげればいいことだが、「何故か」注意されないことが多い。
あるメイドさん曰く、「あれは"かまって欲しい"アピールなんですよ」とのこと。着メロがアニメソングだった場合、「あっ、そのアニメお好きなんですか?私も見てるんですよー」などと会話を広げるのが仕事だそうだ。なら最初から「このアニメ、○○ちゃん見てたりしない?」と聞いてみたらいいのに、、と思うのはナンセンスなのだろう。
一体、この着信は誰から掛かって来たのか?当然、電話が鳴るということは誰か相手がいるのだろう。彼らのアピール行為に忠実に付き合ってくれる相手とは?
このメイドさん、実は禁断の「画面」をチラ見してしまったことがあるという。そこに映っていたものは・・「ほっともっと」のメールマガジンだったという。企業の担当者も、メルマガがこんなところでこんな風に利用されているとは想像すら出来まい。彼女の推測によれば、メルマガはこのためだけに登録してきたんじゃないかという。逆説的に捉えれば、そんなところだろう。
また、「友達いるんだぞ!」というアピールでもあるという。メルマガに仕事させすぎだろ・・というのは野暮か、これがメルマガであることは彼らにとってはトップシークレットだそうだ。
彼女は好奇心から、「そんなにたくさんメールや着信があるなんて、ご主人様はモテモテなんですね!」と笑顔で言ってみたそうだ。すると「そうかなぁ?困っちゃうナァ」とニヤニヤされたというから完璧である。
「何この介護」、そんな言葉が浮かんだ。

タダより怖いものはない (2010/06/18)
昔から、「タダより怖いものはない」と言われている。これは現代社会において、私達が再確認しなければならない標語ではなかろうか。タダということは、それ以外のどこかで収益を得ている(若しくは得る為の布石)わけだ。問題なのは「それが隠されていて、軽度であれ重度であれ、早い話が私達は騙されている」ということである。ここが「怖い」とされる所以だろう。
利用料が無料のサイトというのはエンドユーザーに優しいという面もありながら、重大な問題点を抱えている。それは、「ではどのように収益を得るか」ということだ。最近では大手SNSサイトなどで「有料追加アイテム」の問題なんかが多発している。
メイド喫茶のレポサイトが軒並み信憑性のない不透明な癒着情報ばかりを垂れ流す理由のひとつがこれだ。利用料が無料だから、広告収入でサーバー代などを維持するしかない。広告代を取ってしまうと、広告主に有利な捏造情報を載せざるを得ない。
私達エンドユーザーが欲しいのは、「紐のついていないクリアな情報」のはずだ。スポンサーの意思が、善悪を超えて内容に反映されることは誰も望んでいないのである。
私がこのサイトを作るにあたり、ヤフーの無料サーバーを選んだのはこういう理由があるのだ。維持費が無料なら広告費をとる必要がない。だからバナーの掲載も全てタダ、掲載する情報もクリア、こういう運営が出来るようになるのである。もう一つ方法があるとすれば、利用料を有料にすれば広告費以外から維持費を捻出することが出来るので、こうした問題は起こらないと思う。まぁそれだと誰も見ないだろうけどね。
無料サーバーだから信憑性がないということはないだろう。世界中であれだけ売れた「ポケモン」だって、最初は白黒画面のゲームボーイで出たじゃないか。白黒だからつまらないということはない、モノの良さというのは「何をするか」で決まるからだ。もしも有料サーバーを使っているサイトは無条件で信憑性があるというのなら、オタクはカネをかけて全身トータルコーディネートさえすれば今日からモテモテということだよね。
こうして積み重ねていくと、サイト・ブログはまだ方法があるとはいえ、現物の「フリーペーパー」はもうどうにもならないということがよく分かる。少し前、某フリーペーパーのメイド喫茶に関する記事が一気に減った。これは決して不人気コーナーだからではなく、カネを積んだ一部店舗に対する恣意的な扱いが問題視され、多数のメイド・コスプレ系店舗が派閥を組んで情報提供を拒絶し一斉離脱したのだが、、離脱の音頭をとったのが「アノ人」だったことが業界にとってはせめてもの明るいニュースだったのではないだろうか。

マドンナと生ゴミ (2010/06/17)
メイド喫茶のメイドさんは、店の中ではさながら「マドンナ」みたいな存在だ。お客さんは老若男女関係なくそのほとんとがメイドさんを求めてメイド喫茶へやってくるわけだから、比較的ポジティブな評価を受けることが前提となっている。ちょっとした失敗も「萌え」で済むし、妙ちくりんなキャラクターも「個性」と喜ばれる。常にちやほやされ、それに快感を見出してしまう女の子も少なくない。
ところが、ビラ配りに立たされるメイドさんはまるで生ゴミを見るような目で見られ、通行人からは常に邪魔者扱いをされる。中にはつきまとわれたと警察に通報する人もいるなど、犯罪者と紙一重の存在だ。両方の業務を兼任させられているメイドさんは、「外はイヤだ、出来る限り中に居たい」と願っていることだろう。
どう考えても、店内での業務と外でのビラ配り業務は、店内の方が楽だし気分もいい。それなのに給料はビラの方が安く、バランス感覚に欠けると言わざるを得ない。ハイリスクローリターンの典型だ。辞めてしまうメイドさんのほとんどが、ビラをやらせた時に辞めるというのも頷ける。
また、店内でメイドさんとして人気が出る技術と、ビラを路上で受け取ってもらえる技術は全く別と考えるべきだろう。例えて言うなら、プログラマーに営業へ行かせるようなものだ。兼任させるのもおかしいし、接触させることもおかしい。結論を言えば、両方をメイドさんと呼ぶのがそもそもおかしい。ビラをやらされたメイドさんはこう思っていることだろう、「これのどこがメイドさんなんだ?」全くその通りである。営業をプログラマーとは呼ばないからね。
秋葉原の路上でビラを配っているメイドさん達は、他店同士であっても毎日同じスペースで配るわけだから、個人的には仲がいいというパターンも多い。しかし彼女らの会話はほとんどが「いつ辞める?」、「そっちは給料いくら?」、「そっちは店内でメイドさんをやらせて貰えるの?」などと現状に後ろ向きなものである。彼女らが店のために身を粉にして客を呼ぼうなんていう素振りは一切ない。人間というのは、例え集団に属していてもまずは自分ひとりの利益を優先して考えるものであるから、これは当たり前のことだろう。もう少し、努力が店の為になり、客の為になり、そして自分の為になるようなシステムには出来ないものか?今のビラ配りのほとんどが、店の為にはなれど客の為にも自分の為にもならないようなものばかりじゃないか。
こういう店はそろそろ、メイドさんにとって「頑張ろう!」と思えるような環境の構築をしてみてはいかがだろう。このままじゃ若い女の子を使ってオタク相手に焼畑農業していると揶揄されても仕方ないよ。

総選挙商法 (2010/06/16)
ある人は宗教的だと言い、ある人は詐欺的だとも言う。「AKB48」の商法は何故、批判されるのか?
#175でも書いたが、キャラクタービジネスとは、"本当に欲しい「主商品」を買うためには、欲しくもない「従商品」を買わなければいけない、というものだ"と定義することが出来よう。AKBは欲しくもないシングルCD(従商品)を、オマケの握手券(主商品)目当ての客に不当に売りつけていることが批判されているわけだが、ならば握手券だけを売ればいいのか?そんなことをしたら、どう考えてももっと批判されるぞ?
これを「主と従のバランスが崩壊しているから」「露骨すぎるから」等と説明する人がいるが、私はどれもズレていると思う。正しくはこうだ、「彼ら(ファン)は騙されているから」。あれは総選挙でも何でもなくただの「集金システム」であるわけだが、問題なのは「彼らがその事実を知らされていない」というただ一点に尽きるのである。
握手券を主商品にCDを売っていること(つまりキャラクタービジネス)が悪いのではない。おばさんたちを虜にしている「韓流ブーム」も、オタク達を虜にしている「アニメグッズ」も、根は全て同じようなものだ。バランスが崩壊していると言われても、どのバランスが普通なのかという決まりごとなど何処にも無い。そこでAKBだけ批判されるのは、この「総選挙商法」がマズかったとしか考えられないのである。
メイド喫茶では、女の子と話したい、会いたいが為に、別に食べたくも無い冷凍食品を注文する人は数多い。しかしこれといって特に批判されないのは何故か。それは「嘘はついていないから」だ。それどころか、このシステムが無いと店はガタガタになる。
エアー萌えっと(2007年12月28日閉店)」という店が在った。ここはお金を払って「座るだけ」。水もおしぼりもメニューもなく、メイドさんと会話するだけという横紙破りな店だった。キャラクタービジネスにおいて「いらないものを売りつけるのが無条件で非」であるなら、この店こそがユートピアということになるわけだが・・そんなわけなかろう。ネット上では「擬似風俗」などとバッシングを受け、潰れた。
ミフレ(2007年9月21日閉店)」という店では軽食類一切なし、ジュースしか置いていなかった。先ほどの店と比べるとだいぶマシな気もするが、やはりなんというか、「これでいいんでしょ?」みたいな「やっつけ感」を味わうのである。他にも理由はあっただろうがやはりお客さんの支持を得ることは出来ず、結局メイドさんのメイド服代すら縫製店に払うことなく夜逃げした。
こう考えると、「モーニング娘。」はだいぶマトモだったと感じるね。何せちゃんとCDが売れていたからね。

ポイントカードの魔力 (2010/06/15)
メイド喫茶の常連には、やたらと偉そうにする奴が多い。通称「痛」常連、彼らには共通するある特徴がある。それは#143でも書いた通り、「通い具合」を自慢してくる、ということだ。そしてそれは#157でも触れたが、「ポイントカードの進行具合」で計られるというのが定番である。
このコラムの#001からずっと私のメイド喫茶観の根底にあり続けていることなのだが、実はこの「ポイントカード」、非常に秀逸な「メイド喫茶がガタガタにならない為のシステム」だったりするのだ。
人は、混沌の中に秩序を作りたがる生き物である。誰だって枠組みの中で自分に有利な流れが出来れば面白いと思うものだ。ではメイド喫茶というローカル・スペースに於いて一体誰が一番偉いのか?それを推し量るための最良のツールが「ポイントカード」なのだ。
人間は集団を形成する時、階層を作りたがる。その時、誰の目にもはっきりと分かる「差」が必要だ。それがポイントである。ポイントカード無き場合のメイド喫茶で誰が偉いのかは結局、ただの「人気投票」になってしまうだろう。これほど「彼ら」にとって恐ろしいものは無い。人気投票は実力主義だ、それじゃ例えプレオープンから一日も休まず通っていたスーパー・常連でも、昨日初めて来たばかりの話の面白い一見さんに負ける可能性があるじゃないか。そして問題なのは、「この層がやたら多い」ということ。だからポイントカードが無いメイド喫茶は何となく「メイド喫茶イズム」を水で薄められたような印象を受けるという逆転現象すら起きている。これはミクシィにおいてマイミクを、ツイッターにおいてフォロワーを、数字として集める行為に快感を覚えるのと同じだ。
人の「快感」とは一体何か?そのトップに君臨するのは、他人と比べることで沸々と湧き上がってくる「優越感」という感情であろう。それが目に見えて分かるポイントカードは、メイド喫茶に通うことを気持ちよくさせる魔法のアイテムなのである。これが無いと安心して通えないのだ。
痛常連は誰も頼んでいないのに、テーブルの上に満タンになった過去のポイントカードを一枚ずつ並べ出し、他のお客さんがチラチラ見るたびに目を瞑ったまま頷いたりしてその快感を貪っているような奴が多い。あれはもはや「儀式」だ。簡単に言えばこの発想は「年功序列」であるわけだが、ところが彼らは「体よくカネを集められるシステム」にハマったに過ぎない。「偉くなりたきゃ、カネ使え」というメッセージにホイホイ飛びついたのだ。私はこの光景を見るたびに、所謂「メイドブーム」の仕掛け人はホント、罪作りだなぁと感じる。
このように、薬局やスーパーのポイントカード導入は「値引き戦争」かもしれないが、メイド喫茶のポイントカードは一味も二味も違うのだ。恐らく彼らは、ポイントで何が貰えるかなんてどうでもいいのだろうね。

ちょっと吸血されてきた (2010/06/14)
コスプレ飲食店の「コンセプト」もそろそろ出尽くしてきた感がある。いや、アイディアそのものは無限大だとは思うのだが、「それを飲食店にした時、面白いかどうか」はまた別の話であるからだ。
先日、先月28日秋葉原にオープンした「夜宴迷宮」へ少し遅れて行って来た。コンセプトは「ヴァンパイア」である。無論、何をモチーフにしようとも「それがシステムにどう組み込まれているか(=それでどう楽しませてくれるのか)」こそが重要になって来るわけだが、その点においてもこの業界が今後どのような道を辿るべきかを示唆しているような、きちんと練り込まれたものであったことに明るい希望を抱いた。
店員さんが扮するのは4種類、「ヴァンパイアメイド(女性)」、「伯爵(男装の女性)」、「男爵(男性)」、「美モンスター(女装の男性=男の娘)」となっており、様々な属性の人を迎え入れてくれる。私は2時間ほど滞在したが、その間に出入りしたお客さんの割合が男性のみ、女性のみ、男女混合でほぼ1:1:1であった。これは秋葉原のコスプレ飲食店でも類を見ない成功例ではないか。また深夜営業にも力を入れており、「お昼の時間帯より夜の時間帯の方が値段が安い」というのも特徴のひとつだ。割安なボトルキープやポイントに応じた「かなりマトモな」割引サービスなどもあるので、アキバで朝までゆっくり呑みたい人は選択肢に加えてみては如何だろうか。数年前までは「夜7時を過ぎたら誰もいない」とまで言われていた秋葉原の街だが、こういったお店の増加によって「アキバならでは」の有意義な過ごし方が出来るようになるのは大歓迎だ。
勿論、全てが良かったとは思わない。オープンから日が浅いのもありまだまだ店内は手作り感満載で、それを接客で補っていた部分は否めない。またメニューも文字だけで少々分かり辛く、誤字なども見られた。とはいえ、母体は同ビル内「ピンキーカフェ」の運営会社である。お昼のメイド喫茶の営業でお客さんのニーズを分析し蓄積してきたノウハウを生かした営業形態は、無駄がほとんど無く文字通り「さすが」の一言だった。当然今後更なる改善が期待できるだろう。中でも偉いなと思ったのは、「単にピンキーカフェと同じような店を増やしただけではなかったところ」だ。それならサルでも出来るからね。こういった「考える葦」のような店がこれからどんどん増えてくれることを私は願っている。
余談だが、カウンター席に座ると目と鼻の先で料理しているところを見られるのも楽しかった。フードメニューには「気まぐれ」系が多くあり飲み会などにはピッタリなのだが、一体何を入れるのかをその目で確かめてみてはいかがだろうか。厨房には「わさび」と「練乳」が並んで置いてあったのが目に入ったのはナイショにしておこう。ってもう遅いけど。。

奇妙な符号 (2010/06/13)
2008年の無差別殺傷事件以来中止されていた秋葉原の歩行者天国が7月中旬あたりに再開する見込みらしい。しかし現状では、一部の悪質なメイド喫茶の違法な客引き行為に関するクレームが相当数出ている。こんなことじゃまさかこのまま何もなしに復活なんてことは到底夢物語だろう。#155でも触れたが、国民の不満はどのように噴出したとしても、最終的には「アキバの警察は何してんの?」という結論に行き着くのだから。
こんな時は「アリバイ」が欲しい。「いやいや、我々はこのように日夜努力している。ホラ、ちゃんと成果も出ているじゃないか」と主張出来るアリバイが。だがアリバイを作るだけならちゃっちゃとどこか一軒取り締まればイイだけのこと。ところがそれでは完璧とは言えない。実はもっとずっと前から用意していたのではないか?粛清しつつ、「みすみす見逃していたワケじゃないのよ」とシッカリ認知してもらえるような確固たるアリバイをね。
ある業界人はこのことをこう例える。「これは言ってみれば毒入りまんじゅうの配給ですね。そろそろ消化して毒が回り始める時間。しかしその中には毒の配分が悪くて、特に何もなく腹を満たし、おいしい思いを出来た奴もいれば、ピンポイントで毒が入っているところにあたって倒れた奴もいる。」至言であろう。
最近の秋葉原の街は毎日のようにパトカーが徘徊し、時には警察官が複数立って、路上での犯罪行為に目を光らせており、通行人への職務質問などもそこかしこで見られる。素行不良のメイド喫茶はこのお陰でかなり身動きが取り辛くなってきて、外見上はとりあえずだいぶ大人しくなったと見る向きもあるほどだ。そして「強引な客引き行為で売上を出していたメイド喫茶は、売上が落ちた」という事実が浮上した。そこで彼らのとったのは、「店に入って来た客から今まで以上に強引に、ガッツリ取る」という手である。すると、そのうち今度は店内でモメ事が起きるだろうね。
私が多くを語らなくとも、何を言いたいか分かるだろう。「それ」は今月2つも起きた奇妙な事件だ。それも外と、中で。警察はやはり全てお見通しだったわけだ。相当「データ」を集めていたというからね。私は常々思っていたんだ、どうして何も動きがないのだろうか、それなのにどうしてデータだけは集めているんだろうか、そして何もなしに歩行者天国が復活するとはどういうことか、って。これでようやくこの全ての符号が合致したような気がする。彼らは、昨今の事情にだいぶ精通していたんだ。
勿論これに焦るのは「問題のある店」であろう。さっさと「業態変更」でもしたら?もう無理だよ、そのやり方は。そして秋葉原の街は一刻も早くあの傷ましい事件の爪痕を癒し、安心して遊べる楽しい街に、あるべき姿に、戻ってもらいたい。

恋愛禁止 (2010/06/12)
インターネットは可能性の新次元である。そしてそれは、「言い訳」の概念をも覆した。
例えば、歌手を目指して現在くすぶっている女の子は、「でも発表する場がないし・・」という言い訳も、インターネットさえ無ければ出来たわけだ。しかし今そんなことを言えば、「じゃあまずニコ動から行ってみようか!」と言われるだろう。そこでアクセス数が稼げなければ、やはり「負け組」の烙印を押されることは避けられない。このように、本来なら技術革新により「発表の場が与えられた」というのは素晴らしいことのような気もするが、当人たちにとっては「残酷」でもあったりする。この1+1が2にならないファジーさこそが「人」というものなのではないだろうか。だから、「"iPad"があるから本屋はいらない」というのはまだ極論の域を出ないわけだ。
この社会において、真の「平等」とは何だろうか?「発表する場がある」のが望ましいのだろうか、それとも「発表する場がないし」と言い訳出来る曖昧な状況が望ましいのだろうか。ここで前者を選ぶ人は、ここから先の問題でも前者を選べるだろうか?
メイド喫茶はほとんどの店で、メイドさんとご主人様の間での「恋愛禁止」というお約束がある。このことについて異を唱える人もいるだろうが、実はこれほど便利な「建前」もない。じゃあ逆に想像してみて欲しい、もしも全てのメイド喫茶が、「恋愛、どうぞご自由に!」となっていたらどうだろうか?付き合えない人は負け組じゃないか。きっとギスギスして"癒し"どころじゃないぞ。この「恋愛禁止」というルールは、メイド喫茶というビジネスがガタガタにならない為の「秘密兵器」なのではないだろうか。
残念な話かもしれないが、もし仮に「どうぞご自由に!」になったとしても、メイドさんと恋愛出来るご主人様の全体的な数はきっと変わらないだろう。ある程度は変化があるかもしれないが、劇的な変化は何ひとつ起こらないはずだ。それは、「禁止されていたとしても、フラグが立てばそれを乗り越えてしまうのが恋愛だから」だ。つまり、禁止されている時点で成立していないものは、禁が解かれても成立しないと断言できる。私は様々なメイドさんに、「もしお店が恋愛禁止じゃなかったら、付き合っちゃったかもしれないご主人様はいた?」と聞いたことがあるが、「いた」と答えたメイドさんはゼロだった。この辺の詳しいことは#054を読んでもらいたい。
人はアリバイを欲しがる。ダメだった時、「でもこんなに頑張ったんですけどね」と言える"逃げ道"が欲しい。アインシュタインが相対性理論を提唱した頃から、科学的根拠一切なしのオカルトを信じる人も爆発的に増えたという。メイド喫茶にとって、こういった気持ちこそがメシの種なのではないか。

偶然 (2010/06/11)
メイドさんの会話には明確なマニュアルなどは無い(店による)とはいえ、ある程度の「ルール」はあるものだろう。「本名は?」と聞かれたら「これが本名です」、「年は?」と聞かれたら「10万歳です」、「何処に住んでるの?」と聞かれたら「ナントカ星に住んでます」などとジョークで返すテクニックはもはや「お約束」である。これは当然、ストーカー防止の為だ。不用意な発言は本当に危ないのだ。その昔、「このお店まで片道2時間かかるんですけど、メイドさんになりたくて頑張って通ってるんです」で通していた某メイドさんは、徒歩5分のところに住んでいたりした。世の中そんなものである。
これを読んでいるご主人様の中には、「別に危なくないよ、一部のストーカーが危ないだけで、全部をそう見られたら困っちゃうな」という方もいるだろう。しかし、だ。ストーカーするのでないのなら、「プライベートを聞く」ということそのものがナンセンスなのだ。そもそも、「別に危なくない、寧ろプライベートでも積極的に関わりたい魅力的な」ご主人様なら、聞かなくても自発的に教えてくれるんじゃないか?
恋というのは、「好き」と言ってしまってはお終いで、向こうから「好き」と言いたくなるような自分になることが大事なのである。
これはあるメイド喫茶のメイドさんが、出勤初日に逢ってしまった憂き目の話。
彼女はご主人様との軽い会話といってもまだ何を話していいか要領を得ておらず、大きなミスをしてしまった。一体どこがミスか、文面を読んで当ててほしい。
「えっと、今日が初日なんですけど、17時に終わるんで、帰りに○○駅の駅ビルにあるサーティーワンでアイスを食べようって決めてるんです。どうしても食べたいのがあって。。」
さて仕事も終わり、帰りに宣言通り駅ビルに向かった彼女を待っていたのは、偶然を装った常連のBさんだった。「よぉ!偶然だね!」どこがじゃ。
この発言の何がミスだったかって、それは「真実」を話したことにあるだろう。具体的な駅名を出したこともアレだが、「本当のことを喋った」というのが最大の失敗だ。メイドさんはあくまでも、プライベートについて聞かれた時は、「さも本当のことのように聞こえる上手な嘘」を用意しておかなければならない。その点では冒頭で触れた「2時間」が秀逸なのである。
もしも喋ってしまった場合は、すんなり帰って今度行こう。

17000円 (2010/06/10)
ポイントカードを貯めるとメイドさんとチェキが撮れる店、というのがある。これは「チェキ=とりあえずのゴール」であり、通っているお客さんの大半にも「チェキの為に通っている」という共通認識がある。
このタイプの店での「ポイントでチェキが撮れるまでの金額」は「2万円(分のポイント)」が相場となっている。即ち、お客さんからしてみれば「2万円でチェキを買う」ようなものである。そう、チェキは「サービス」ではなく「2万円の商品」なんだ。
ここで3年前、「これがメイド喫茶だ!」と言わんばかりの出来事があったので記しておきたい。
ある日馴染みのメイド喫茶へ遊びに行った私。ドアを開けるとメイドさんが一人だけ。店長が出てきてこう言う。「ごめんねー、今日3人だったはずなんだけど、風邪とかなんとかで2人も休んじゃって、1人しかいないの。だから、エミちゃん(メイドさん、仮名)がトイレに行く時とか休憩の時とかは、俺が接客するからよろしくね!」
そこで私は特に何も考えず、反射的にこんなことを口走った。これが全ての引き金になるとは・・。「オカマさん(仮名)、来たらいいのにね。」 オカマさんとは、このエミちゃんの大ファンのご主人様である。店に入ってエミちゃんがいなければ、コーヒー飲んで5分で帰るという徹底ぶり。メイドさんにも常連にも店長にも、「俺はエミちゃん親衛隊だから」と公言する人である。
この何気ない発言を店長は聞き漏らさなかったらしい、また後ろから出てきてこう言った。「あくみさんさぁ、オカマさんのメアド知らない?」そういや先日、「メイド喫茶について語り合おうよ!」と半ば強制的に赤外線通信させられた記憶がある。「ああ、知ってますけど。」「あくみさん、チェキ集めてたよね?」「ええ」「エミとツーショットしない?」「え?ポイント貯まってないですけど・・」「いいよタダで!」「なぜ」「その代わりさ、撮ったチェキを写メに撮って、オカマさんに送ってよ。」
実はこのお店、ポイントをどんなに貯めてもツーショットは撮れない。「その場にいるメイドさん全員と」がチェキの決まりとなっていた。しかし今日なら「全員=1人」だから必然的にエミちゃんとツーショットになる。オカマさんには垂涎のチェキだろう。店長は続けた。「あの人、確か満タンのカードを先週使ったから、今3点くらいなんだよね。だから今日来てもらえれば、17000円遣うんじゃないかなって。」
まさか、と思ったけど、メールしてから30分後、汗だくで到着した彼は眉一つ動かさず18000円分(実は2点だった)のオーダーをしていた。
さすがと言うか、何と言うか。でも楽しそうだった。

手作りケーキ (2010/06/09)
メイド喫茶でご主人様がメイドさんに振る話題で最も多いものは、アニメの話でもゲームの話でもミリタリーの話でもなく、「小難しいうんちく」だそうだ。これは要するに「俺はこんなに賢いんだぞ」というセックス・アピールだろう。中には「メイドさんを落とすとか、一切興味がない(キリッ」という人もいるが、話している内容がうんちくの時点で「興味ある」わけだ。いい年こいて自分の欲望すらよく分からないなんて、「ウケない」よ。
しかしうんちくは、扱いが難しい。メイドさんも人間である、全く興味のない話を延々とされても、仕事とはいえ面白いわけがない。ではメイド喫茶で話すのに向いている話題とは一体何か?
若い女の子にウケる話と言えば、「食事」、「美容・ダイエット」、「旅行」、「占い」と相場は決まっている。美味しいレストランの話や旅行の話は「遊び人アピール」にもなるだろうし、女性向け雑誌では占いや心理テストに必ずページを割いているといってもいいほどの人気コーナーだ。また、メイドさんがオタクであれば、オタ話に花を咲かせてもいいかもしれない。しかしメイド喫茶で「ダイエット」の話はオススメ出来ない。女の子の体型をとやかく言うのは失礼だとか、そんな次元の話じゃない。メイド喫茶のご主人様がどんなに語っても、「説得力がない」からだ。
前にこんなことがあった。ダイエットについてメイドさん2人が少し喋ったところ、あるご主人様が食い付いた。「俺、生活習慣病、詳しいよ?」そしてそこから、水を得た魚かの如く彼のマシンガントークが始まった。食生活がうんたらかんたら、俺は栄養士の資格も持ってるetcetc..。メイドさんも飽きてきて、後半は「ほぅ、ほぅ」と眠いフクロウのような相槌である。
言っちゃ悪いが、メイド喫茶に来るご主人様は、「会話がつまらない時のメイドさん」を見抜く力に乏しいと言わざるを得ない。目が死んでいる「へぇーすごいですねぇ!」、顔も見ないで「あー、あるあるぅ!」、とりあえずアウェーな空気をもっと読んで、自分が今ウケているのかどうか考えてみた方がいいだろう。
10分ちょっとして満足したのか、彼が「行ってらっしゃいませ」したので、メイドさんに聞いてみた。「今のどう?」するとこんな答えが返ってきた。
「メイドさんの手作りケーキ1000円を、4人いるからって4種類全部注文して、ポイントカードがあと1ポイントで満タンだとか言い出してさらにもう1個追加しちゃって、1時間で5個もケーキを完食していくようなご主人様に、食生活と病気の関係を語られても・・ねぇ」。

精神異常者 (2010/06/08)
混乱の真っ只中にある「めいどりーみん池袋店」、社長は相当慌てているようだ。
ご存知ない方に説明をすると、今月5日、めいどりーみん池袋店店内に於いてトラブルが起こり、お客さんがメイドさんに暴力を振るったという。で、それについてめいどりーみんを運営する株式会社ネオディライトインターナショナルの鈴木社長は6日、自身のブログでこの事件のことについて触れた。
視点を変えるとこの判断は評価できる。というのも、このようなマイナスイメージが付いて回るような事件をわざわざ社長自ら公式リリースするメイド喫茶というのは他に見当たらないからだ。この行為は業界の透明性を確保する追い風になるのではないか。意外と思う人もいるかもしれないが、これもめいどりーみんの一つの「姿」なのだろう。
しかし一方で、書いてあることはムチャクチャだ。現在はさすがに表現がマズいと思ったのか記事が修正・削除されてしまったが、アップロード当初はこのような内容だった。「犯人は精神異常者だったようで、警察に逮捕された後病院に連行された」。これはおかしい。被疑者の身柄をどうするかは裁判所が決めるものである。カレンダーを見ると5日は土曜日、6日は日曜日であるから、裁判所から命令が出るはずがない。被疑者が怪我をしているなら治療に連れて行くことはあっても、文面から察するに「精神異常者だったので収容先は監獄ではなく病院」といった内容である。しかし「警察が」「独断で」病院に移送すると決定することは出来ないのだ。
となるとこのブログが意味することは唯一つ。社長はとにかく、「客が暴れたのは、そいつの頭がおかしかったから。店は何も悪くない。」ということを一刻も早く発表したかったのである。#180の通りじゃないか。しかも慌てすぎて削除する箇所を間違えてしまい、今残っている記事を読んでも「何があったのかさっぱり分からない」という有様だ。言いたいことが全部削られてしまったのだから仕方ない。
つまり、だ。このお客さんは異常者ではなかったのではないか。となるとさすがにどんな局面であれ暴力が許される行為だとは思わないが、メイドさんとの間で余程「何か」揉めたと考えるのが妥当だ。消された社長のブログ記事によれば「来店2回目」だったとのこと。それなら直の事「急に暴れだしたわけではない」ことは明白である。再発防止に努めるとのことだが、相手のせいにするのではなく、めいどりーみんが「どう」するのかが重要になってくるだろう。それなのに何より先に、メイドさんや他のお客さんを心配しているように見せかけて店のイメージアップを図ろうという魂胆が明け透けなのは、その場にいた客や警察に対して失礼じゃないか?
それからもう一つ。この社長はそろそろプロのライターを雇うべきだ。

フランチャイズのススメ (2010/06/07)
マーケット論争において重要になるのは、成功した前例をデータとして算出することではなく、「それが何故成功したのか」を分析することにある。
例えば、コンビニ最大手「セブンイレブン」のフランチャイズになったところで潰れる店は続出しているわけだ。最大手の名を冠したとしても、潰れる店は潰れる。それはつまり、「客はセブンイレブンだから遠くからでも来る」という状況には無いということの証左であろう。新規参入を目論んでいる事業主には「成功したセブンイレブン」と「失敗したセブンイレブン」の違いを分析する必要性があるわけだ。となると同じセブンイレブンが別々の場所にあって差がついたとしか説明が出来ないわけだから、コンビニの勝敗を分けるのはやはり「立地」が全てになる。これはどういうことを指しているのかというと、コンビニの客というのは店名や商品で店を選んでおらず、「便利な場所にあるかどうか」だけが全てなのだ。それは一体何故か?
よく考えてみて欲しい。セブンイレブンの「のり弁」が新しくなった!というCMを見たとする。丁度小腹が空いていたところだ。そこで家から徒歩1分のところに「スリーエフ」があって、徒歩20分のところに「セブンイレブン」があったら、貴方はどうするだろうか?どう考えても「スリーエフ」で似たようなお弁当を買って誤魔化すんじゃないか?何故ならコンビニというのは明確な目的を持って行っても、絶対に在庫があるという確実性がない。そんなものに期待して「待つ」ことは出来ない。空腹は本能であるから、どうしても近い店を選んでしまう。
このことを、フランチャイジー(加盟者、加盟店)は一切考えていないわけだ。客の気持ちになったことがない奴に、商売が上手く行くはずがない。
ではメイド喫茶ではどうだろうか?メイド喫茶を立地で選ぶ人はまずいない。何故ならメイド喫茶は商品の在庫に関して「不確実性」がほとんど無い。たとえ遠くても行けば確実に商品が手に入るわけだ。人というのは、そういう時は「待てる」ものなのである。また、メイド喫茶というものは空腹だから入るわけではない。「外食産業」のようでそうではないのだ。その証拠に、「ランチ」サービスのあるメイド喫茶で、ランチで黒字を叩きだせるほどの集客が出来ているというデータはどこにも無い。寧ろランチを食べるのに割高につく「メイド」ほど邪魔な記号もない。だから、満腹でも明確に「欲しい!」と思わせなければ客は来ない。「指名して貰える圧倒的な価値の創造」が重要になってくるのだ。つまり、強いのはコンビニとは対極で「ブランド」である。ある意味で、メイド喫茶はフランチャイズ化に向いているビジネスモデルなのかもしれない。

シビアな仕事人 (2010/06/06)
まだ利用したことの無い方もいるかとは思うが、「メイドガイド(観光案内)」という業態はこの業界における「台風の目」と言ってもいいだろう。現在秋葉原だけでも10店舗以上が軒を連ねており、何といっても喫茶・リフレと比較して人件費や家賃などが圧倒的にかからない点が強い為、「廃業」数が極端に低い。
最近は秋葉原の街を歩いていても、そこかしこでメイドさんと歩くご主人様を見かけるようになった。また#123でも触れたが、「私服オプション」を選ぶお客さんが多いので、単純計算でも見た目よりもっとたくさんの利用客がいることだろう。
これらは基本的には、何かのお店にメイドさんと一緒に入るなどする場合の出費は、お客さんの負担となる。最も多い利用先はやはり「食事」らしい。仕事帰りにメイドさんと1対1でお話しながらご飯、こういうニーズは思いのほか高い。
これは某喫茶店(非メイド喫茶)での出来事である。
色々買い物を済ませ、ちょっとコーヒー飲んで一息ついたら秋葉原を出ようと思い、あるお店に入った私。ふと見ると、対面の席にはメイドさんをゴージャスに2人もはべらせたご主人様が楽しそうに着席していた。スグに頭の中で電卓を叩く。今日はビシっと遊ぶつもりなんだな、と。
コーヒーと一緒においしいパンを頂く。余談だがここはパンのテイクアウトも出来る。それなりにくつろげたので満足してお店を出ようかと思ったのだが、「彼ら」の席で面白そうなムーヴメントが巻き起こったのでしばし観察してしまった。
「ご主人様ぁ、ここのパン、ほんっと美味しいですよねぇ〜!」
「美味しいよね!○○ちゃん、ここのパン好きなの?」
「うん、大好きです!お店の子もよくここ来るんで、たまにテイクアウトで買って来て貰うんですよ〜」
「へぇ、じゃあ今日いるお店のみんなに買ってく?何個か好きなの、選んできなよ。奢ってあげるよ。」
「えっホントですか?じゃあ、お言葉に甘えて、選んできますっ!△△ちゃん、行こ!」「ウン!」
・・数分後・・
「あのぉ、、お店の子とぉ、それからぁ、店長さんとぉ、あっ、店長さんホントにいい人なんですよ!それから、おうちのおばあちゃんと、それからそれから、学校の友達の分も、オーダーしちゃいましたっ!全部で1万3千円」
仕事人、という言葉が浮かんだ。仕事にシビアなメイドさん、やるじゃないか。

新手の手口 (2010/06/05)
メイド喫茶のメイドさんといっても、キャバ嬢に比べたら遥かに「ヌルい」。いや問題はそこじゃない。メイド喫茶のご主人様は、キャバクラのお客さんに比べたらトンでもなく「ヌルい」のは間違いない。即ち、キャバ嬢がメイド喫茶のご主人様を客にすることが出来れば「鬼に金棒」なのは言うまでもないだろう。私がナニを言いたいか、分かるだろうか?この記事を最後まで読めば、「分からない」とは言わせない。
これは私が、先日秋葉原の某メイド喫茶で見た戦慄の実話である。
友達と3人で軽くランチを食べに来た私。この店のフードは値段も内容も納得の範囲内で「良店」だと認識している。だがそこで「事件」は起きた。
メイドさんが隣に座っているご主人様に話し掛けた。手には、紙?を持っている。
「ご主人様っ、これ私が描いたんですけど、、何の絵だか分かりますか?」
「え?○○ちゃんが描いたの?うーん、、そうだなぁ、、ライオン?」
まぁ、他愛もない「よくある会話」に過ぎない。しかし、ここからが本題である。
また来た。「今度は、これですっ!何を描いたか分かりますかぁ?」「うんとねぇ・・」
その時、「チラっ」とその紙が見えた。何やらカドが丸いトランプのようなカードのようである。
そしてまた。「これはなぁ〜んだ?」「これ?えーっとねぇ・・」
すると3度目にして「何か」に気付いたご主人様がこう尋ねた。「ねぇ、ところで、このカードに書いてある「コスプレキャバクラ・モエモエキング(仮名)」って何?」そう、紙はカードではなく、キャバクラの名刺の裏だったのだ。それからメイドさんは急に饒舌になって、こんなことを言い出した。
「あっ、気が付いちゃいましたか!これは皆にはナイショなんですが、実は私が夜働いているお店なんです。学費が足りなくて・・あ、でもコスプレキャバクラっていっても、メイド喫茶と全然変わらないですし、働いてる女の子もコスプレ好きなオタクの女の子ばっかりですごく楽しいですよ!」
「へぇ、キャバクラかー。でも高いんでしょ?」
「全然!キャバクラより高くつくメイド喫茶なんてたくさんありますしね!夜だったら私も普通にメールアドレスとか電話番号とか交換出来ますし、気になったら1セットだけ冷やかしに来てみてくださいよ〜。3千円もあればなんとかなりますからっ」
ナイショの割には隣の席の私に筒抜けの大きな声だったんだけど。

それゆけ!ニート大作戦を見た (2010/06/04)
先日注文していた「それゆけ!ニート大作戦」が手元に届いた。
メイド喫茶がこれまで発売してきたDVDなどの映像作品といえば、「メイドカフェ発表会」なんかが有名だろうか。一応全て持っているが、ぶっちゃけると中身は素人丸出し、「オキニのメイドさんが出ているから買う」という常連さん向けのキャラクターグッズに過ぎなかった。映像としても、何というか、「テレビ通販で型遅れのDVカメラを買っちゃったお父さんが、日曜日に自宅のベランダで適当に回したわが子の成長記録」の域。あれを定価で買うのは、ポイントカードを貯めたいとか、メイドさんを喜ばせたいとか、そういった理由しか思いつかない。
今回「それゆけ!〜」を買ったのは、先日「あきばふみもみポリス」で気になった女の子が出ていたから、というのが正直な理由だった。メイドカフェ発表会のこともあり、あまり中身には期待していなかったのだが、今回は見事に裏切られたと言っていい。「社会派」と銘打つだけあって、これは間違いなく「問題作」だ。動画と名のつくものなら何でも集まる「ユーチューブ」「ニコニコ動画」でも見たことのない斬新な衝撃を受けた。
作品のテーマは「この国のおかしな制度にメスを入れる」といった本格モノ。お堅い内容なので笑いが無かったかといえばそんなことはない。特に「受付のお姉さん」の合成は必見モノだ。それから「爪」。私はこのDVDのほとんどの時間を、この爪の凝視に費やしてしまったかもしれない。
当初は純粋にお店の宣伝を兼ねた販促グッズなのだろうと思っていたのだが、全編通して一切そのようなシーンが無かったのも好印象だ。お金を払ってまで宣伝など見たくないからね。
残念なところも無かったわけじゃない。ひとつは「オチ」。これから買おうという人の為にネタバレしたくないのであまり触れられないが、もう少し何かあったら面白かった。もうひとつは「もっといい方法がある」。けど、これら2つは「わざと明確に見せなかった」のかもしれない。映像作品というのは、何でも見せればいいというもんじゃないから。松本人志の「しんぼる(松竹)」のラストシーンにネット上では文句が噴出しているようだが、私はあのラストシーンには「やられた!」と思ったものだ。あそこで「見せる」のは簡単だが、見せてしまえばそれはそれで「違う!」と言われるだろうしね。あえて見せないことで、「考える余地」を残すというのは、作品の締めくくりにおいてとても大事なエッセンスにもなるのである。
何はともあれ、メイド・コスプレ産業の歴史において、この「それゆけ!〜」は異形のアプローチになったのではないだろうか。金額以上の価値があるかどうかは人によるだろうけど、正真正銘「初めて見た」。

デジタルデータが爆発的には売れない理由 (2010/06/03)
アナログとデジタルの転換期はある時を境に劇的に訪れる。例えばVHSとDVD、インスタントカメラとデジタルカメラなどがある。これらは「成功例」であろう。
反対に、「失敗」もある。ダウンロード販売が音楽CDに取って代わる脅威かといえばまだまだ全然そうなっていない。音楽CDは確かに死んでいるが、かといってダウンロード販売だけで売上が上がるかというと「まだ完全には立ち上がっていない」としか言いようが無い。
書籍も一緒だ。ケータイで読めるマンガが人気を博しているとはいえ、紙の「本」の需要はなかなかしぶとい。確実に「逝き」つつはあるが、電子書籍が一気に逆転するということは今後もないだろう。それは何故か。
DVDは「モノ」である。デジタルカメラも「モノ」だ。それに対して音楽のダウンロード販売もケータイ書籍も「データ」だ。私達は、「モノ」→「モノ」の世代交代にはすんなり納得出来るのだが、「モノ」→「データ」には強烈な違和感を覚えるのだ。DVDだって中身はデータだが、データを入れる「モノ」があった方が俄然手を出しやすい。また、モノは売却することも可能だがデータはほぼ不可能。リセールバリューを考えると損なのである。
メイド喫茶では基本的にメイドさんの写真を撮ることは禁止となっており、有料オプションの「チェキ」を買うのが定説というか「通過儀礼」になっている。この「チェキ」、メーカーのフジフィルムではポラロイドフィルムが2008年に生産終了しており、チェキもまた将来性のない商品であって、これがメイド喫茶オーナーの悩みの種のひとつであることは間違いない。「データに移行すればいい」という単純なものではないからだ。現に、「メイドさんとチェキ・・1枚500円、貴方のケータイでメイドさんとツーショット撮影権・・500円」というサービスを実験的に展開しているお店でも、売上はチェキの方が断然良いという。写真という「モノ」を買うのは納得が行くのだが、撮影「権」と「データ」を買うのは納得がいかないのだ。だってチェキはその「権」も含めての値段であるし、自分のケータイを使う以上、お店の備品が減るわけでもないのに同じ値段というのはおかしいんじゃないの?と思われるわけだ。また、チェキなら大抵の場合メイドさんの落書きも付いてくるが、ケータイ撮影ならそれもない。つまり、データというのは大義名分としての「モノ」に入れない限り、今までのアナログ商品と全く同じ利益は出せないということである。
チェキの代わりになる商品を探せとなれば、メイド喫茶では「チェキと同サイズのカードサイズの光沢紙に、デジカメで撮影した画像をプリントして落書きして渡す」などの措置を迫られるであろう。それくらい、モノからデータへの移行の「溝」はまだまだ深いのだ。

サブリミナル・インプレッション (2010/06/02)
「ホームページビルダー(IBM)」という、ホームページを作成する為のアプリケーションがある。このソフトがどうしてシェアナンバーワンになれたのだろうか?私は、「名前」にひとつの秘密が隠されていると考えている。
ホームページを作るソフトで「ホームページ○○」というネーミングは些か単純に見えるかもしれない。しかし、初心者からすればこれほどありがたい名前はない。一目で「ホームページを作るソフトだ」と分かる。そもそも、ホームページを作るソフトというのは初心者向けなわけだから、このネーミングは神懸っているといえよう。また、略して「ビルダー」であるところも素晴らしい。ダサかった「ホームページ」の部分がすっ飛んでしまい、二つの濁音が重厚感を与え、何か「凄いソフトなんじゃないか」ということをアピールしてくれるのだ。
商品のネーミングというのは商売においてとても重要なものである。ネーミング次第では同じ商品でも全く伸びない可能性だってある。世の中には名前をつけるだけで大金を取る仕事もあるんだ。「フレッツひかり(NTT)」と聞くとなんとなく「通信速度が速そう」な印象を受ける。これは、音に濁音が無くクリアな感じがするからだ。これもプロの仕事だろう。
貴方がもしメイド喫茶を立ち上げるとしたら、店名は何にするだろうか?「シャッツキステ」は公式ホームページによればドイツ語で「宝箱」を指すそうだが、公式ページを見ずにいきなり意味を知っていたという人はほぼ皆無であろう。しかも「宝箱」と聞いてもメイド喫茶なのかどうかすら分からない。こんなに分かりにくい名前なのに何故、店はマニア達にウケているのか?
これはSEO対策も含めた話なのだが、メイド喫茶ないしそれに順ずるお店のネーミングとして最適なのは、「メイド○○」という名前であろう。「単純すぎるだろ」と思うなかれ、まず検索サイトでメイド喫茶を探す人は「メイド・・」と入力するわけだ。その際「メイド○○」にしておけば、即引っかかる可能性があるので美味しい。またメイド○○と聞けば、初心者であっても「メイドさんのお店なんだな」とすぐ理解できるという利点がある。手広く客を獲りたいならこれで決まりだ。逆に、マニア層に向けた店であることを発信したいなら、隠れ家的な意味でメイド○○とは付けず、わざと覚えにくい名前にして「知ってる奴は通」くらいが丁度いい。
「アット」「シャッツ」「ハニハニ」「エルアール」「キュア」「メイリ」「アフィリア」「てんすた」etc、、メイド喫茶業界では濁音の無いクリアな音が出る店名がヒット店の条件のようである。これは可愛いメイドさんがいるお店というイメージからだろう。勿論それだけじゃないが、こんなことを、少し考えてみてはいかがだろうか?

何故メイド喫茶は割高に感じるのか (2010/06/01)
カラオケ店でフード類を注文すれば、所詮「チンもの」が雑に出されるだけだが、それについて文句を言う人はあまり見ない。同じように、マンガ喫茶やインターネットカフェでもフード類を注文できるところは増えているが、出てくるモノは更にランクの落ちる「チン」ばかりだが、それについて文句を言う人は同じくあまり見ない。それなのに、メイド喫茶が冷凍モノを出すと文句が出る。それは「形態(システム)」に問題があると言わざるを得ない。
カラオケはカラオケこそがメイン商品であり、ネットカフェも同じくマンガ本やネット環境がメイン商品であり、扱っているフードで店を選ぶようなお客さんはほぼ皆無である。「それじゃあメイド喫茶だって、メイドさんがメイン商品だろう?」と思うかもしれない。その通りだ。だが、決定的に違うところが一つだけある。それは「カラオケもネットカフェも、メイン商品のお金は時間制で先に取っておいてフードは二束三文の値段で叩き売っているが、多くのメイド喫茶はメイン商品であるメイドさんを無料と位置付けて、オマケ商品であるフード類を高値にすることを収益構造の核としている」という点である。このせいで、「いらないものを割高で買わされている感」が強まり、結果として「あんな高くて不味いものを食べに行くなんて理解できない」と言われてしまうのだ。
もしもカラオケが、「歌うのはタダだけど、1皿1000円の冷凍エビピラフを1時間に一回は頼まないといけない」なんていうルールだったらどうだろうか?少し考えただけでおかしいし、積極的に行きたいとは思えない。やはりこのような商売は、時間制にしてエビピラフは280円程度に抑えておくのがベストなのだ。
メイド喫茶がこの状況を脱するには、これらと同じようにやはり「時間制」を積極的に用いていくことがキーとなるのではないか。時間制にすれば金額次第ではお客さんに割安感を抱かせることが出来るし、店側からすればドリンク一杯で粘られることも無い、粘ろうとすればするほどお金もかかるのでそれなら問題ないだろうし、何より計算がしやすい。マンガ喫茶と同じくフリードリンクならばメイドさんがバタバタする必要もないのでお客さんの満足度は上がるし、メイドさんの頭数がいらない。そして何よりもキャバクラ形式でなくなれば風営法の許可がいらないし、それなら大手を振って18歳未満が雇えるではないか。メイド喫茶の時間制化は、現在業界が抱えている様々な問題を自然な形でクリアしてくれるのではなかろうか。
高い値段を取るならいいものを出す、そうでないなら安くても回るシステムを。お客さんは何が欲しいのか?「納得したい」のである。納得できるもの=いいものなのだ。こんなことは私が言わなくても当たり前のことなのだが、どうもそうでもないらしいので。

妄想の押し売り (2010/05/31)
秋葉原に「BL(ボーイズラブ)バー」というのがオープンしたそうだ。どうやらホモっぽいイケメン店員がイチャイチャするところを見せ付けるバーらしい。これが「腐女子」的にどれだけ滅茶苦茶なものかお解かりいただけるだろうか?怖いもの見たさで一回は冷やかしに行く人もいるかもしれないけど、最終的にこんな店は絶対に腐女子達には受け入れられない。
昨今における「腐」ブームはさておき、彼女らがどうして「BL」、「受け、攻め」といった思考にハマるのかを考えた時、考えれば考えるほどこういった形態の「BLバー」という発想は出てこないはずである。
私はメイド喫茶において「萌え萌えキューン」ほど意味の分からないものはないと感じている。「萌え」というのはメイドさんのちょっとした仕草などから客が「勝手に感じ取る」もののはずである。だから、大声を出して「萌え萌え〜・・キューン!はい、萌えましたね!」なんていうのは全く見当違いなのだ。「萌え」が売っている?という珍妙な現象は、商売人たちが全く萌えというものを理解する気がないことの表れであろう。
この「BLバー」も同様、腐女子たちがハァハァしているのは「勝手に脳内設定で萌える」というものが根底にあるのだ。あのコンビ芸人はあんな話があったんだ、実はもしかしてデキてるんじゃないの?あのキャラとあのキャラはおかしな素振りをたまに見せる!絶対怪しい!などと勝手に妄想するのが楽しいのだ。つまりBLは先ほどの萌えと一緒で、「これでお前たちは萌えるんだろ?ホラ!さあどんどん萌えろ!」とやられればやられるほど萎えるのである。
「萌え」とも「腐」とも全く関係のない話なのだが、以前とある月刊誌で新宿2丁目のオカマバーの「ゲイ」の方を取材させていただいたことがある。その時、こんなことを言っていた。「ゲイにモテる男の子っていうのは、ノーマルな子。ゲイに「あなた、男が好きなの?」と耳元で囁かれて、「い、いえ、違いますよぉ・・!」などともじもじしちゃうタイプがウケるの。決して「そうなんです」じゃダメ」だそうだ。
恋愛感情において、最も楽しいのは「追いかけている時」でファイナル・アンサーだろう。その中で暖簾に腕押しかと思っていたところに「あれ?もしかして向こうもこっちに気があるんじゃないだろうか?これってフラグ?」なんてことを感じ取った瞬間こそが感情の起伏のピークなのではなかろうか。
腐女子に人気があるのは決して「BLですよー!」というメッセージを積極的に出しているものではない。あの「アンパンマン」ですらBL同人誌が作られるのだ。アンパンマンの何処にそんなメッセージがあったのか?だからこそ妄想する楽しさがあるんじゃないか。

みのもんた (2010/05/30)
男性の中には、「小銭払うだけで女の子に"カッコイイ"って思われるなら、安いモンだ」と考えている人も少なくない。雰囲気のいいバーなどでは「奢るよ」などというナンパもそこかしこで見られるだろうが、似たような現象はメイド喫茶でも見られる。といっても、お嬢様(女性客)に奢るわけではない。「メイドさんにカッコイイと思ってもらう為に、お客さんに奢る」のである。私は過去、両手では足りないほどこういうご主人様を見てきた。その中でも最も記憶に残っているトンデモご主人様の話を書こうと思う。
某メイド喫茶に、「メシア(救世主)さん」と呼ばれている常連のご主人様がいた(彼の名誉の為に少し仮名)のだが、この人が凄い。もし今後メイド喫茶に関する本を書くことがあれば、少なくとも彼の為に4pは割きたいと考えている「伝説の人物」だ。
彼は所謂「オタク」である。しかもどちらかというとキモいオタク、「キモオタ」だ。メイドさんに振る話題は専ら「エロゲー」の話ばかり。しかし出入り禁止なんかには絶対にならない。その理由はこの先を読めば分かるはず。
毎週土曜日、定時になると必ずご帰宅するのだが、店内に入ってくるや否や、その時いるお客さん全員に「どうぞ、飲み物1杯ずつ注文してください。お会計は僕につけてくださって構いませんから」と言って回る。これだけでも十分「奇行」だが、まだまだこんなもんじゃない。「えっと、フライドポテトを、、そうだな、5セット。これを小皿に分けてお客さん全員に均等に配ってよ。」「チェキを10枚、これもお客さん全員と一人ずつツーショットしてあげて。」「ポイントカードのポイントも、僕はいらないから、全員に分配してあげてよ。」
彼は一度の帰宅で1時間も店に滞在しないのに、それでいて必ず2〜3万は店に落としていく。メシアというニックネームはオーナーがつけたそうだ。「お店の救世主」という意味らしい。彼は一体何の為にこんなことをしているのか。そこでSちゃんというメイドさんに彼がトイレに行っている隙にコッソリ話を聞いてみると、「あの人、オーナーに「メイドさんにモテるには、どうしたらいいでしょうかねぇ?」って聞いたらしくて、「男のかっこいい"遊び方"っていうのは、パーッとカネをばら撒いて、サッと帰ることだね。"みのもんた"知ってるでしょ?アレだよ。アレで女の子はイチコロだよ!」みたいなことを吹き込んだら、翌週からああなんですよ」と半笑いで説明してくれた。みのもんたも罪な男である。まさかメイド喫茶で名前が出るとは、本人も「想定外」だろう。
途中から彼が気の毒になって来たのだが、「大丈夫、さっきジュース頼んだんで」と笑顔で断っても「それじゃ男が下がります!」とか言って一歩も譲らないから止めようがない。彼のお陰でこの店のチェキ18枚をタダで手に入れポイントカード2枚が満タンになったのは私のせいじゃない。はず。

情報弱者 (2010/05/29)
テレビには全部でどれくらいの「やらせ」があるのか?製作側は他番組を見ているだけで、これが「やらせ」かどうか大体判るものだそうだ。だって「やらせを作っている側」だもの、河豚が自分の毒で死ぬわけがない。
例えば、「着メロ」。以前手品の番組で、某有名ストリートマジシャンが一般人のケータイを借り(た風に装って仕込みの役者から借り)てゲレンデの氷の上に置き、そしてその上から手をかざしケータイを一瞬にして分厚い氷の中に埋める、、というものを披露していた。「さあ、この埋まっているケータイが本当に彼(一般人)のモノか!?彼女(彼の連れ)、電話をかけてみて下さい!」と煽り、彼のケータイを鳴らすと「着メロ」が流れるわけだ。しかしそれを聞いただけで、「彼」がやらせの役者であることが判るのである。
着メロには音楽の著作権が発生する。もしもこれが本当に素人を捕まえて出させたケータイだったら、予想だにしない着メロが鳴ってしまい、見知らぬアーティストの権利を侵害してしまう可能性がある。そこで権利問題をクリアしている無難な着メロに「予め」設定しておく必要がある。つまり、「同機種のケータイが番組側によって予め用意され、既にそこに埋められていた(=彼も彼女も役者)」と考えるのが妥当だ。
そもそも、そんなことが出来るならケータイなぞ瞬間移動させずに日銀の金庫から現金を自宅に転送すればいいじゃないか。テレビの仕事を請けなくて済むぞ。というより、そんなおちゃらけたバラエティ番組ではなく、定時のニュースのトップで流せ。今日の科学を全否定する大事件だ。新聞も一面に載せろ。それをしないでバラエティでやるということは、作っている側も「これは嘘だ」とハッキリ理解しているのだ。
以前、某メイド喫茶がある深夜番組の取材を受けた、と「していた」が、あれもやらせだ。正しくは、カネを払って取材「させた」。「させた」と「受けた」には公園の砂場とサハラ砂漠くらいの違いがあるので決してごっちゃにしないように。
それがハッキリするのがこのシーン。常連らしき男性(番組内では「建設業の男性」と表記)に「普段どれくらい(ここでお金を)遣いますか?」と取材班が尋ね、男性が証拠としてレシートを財布から出すのだが、、よく見ると、彼は二つ折りの財布を使っているにも関わらず、映っていたレシートはついさっきロール紙から切り取ったばかりで丸まっていた。彼(レシート)は、撮影用についさっき店側が用意した「やらせ」だったのだ。そして「人気があるから取材した」のではなく、「人気があるように見せかけるためにお金を払って取材させた」のである。
確かにテレビは面白いし暇つぶしになる。だが「映像のマジック」は思っているより根が深い。「テレビが言ってるから」をソースにすると思わぬ所で恥をかくだろう。

システム>コンセプト (2010/05/28)
お客さんは新しいメイド喫茶が出来て、それを一通り体験した後、どのような感想を持ち、どのように心の中で格付けするのだろうか。「今ウケているもの」を追いかける在り来たりなマーケティング活動では、この「意識」の部分に足を踏み入れるのは難しいだろう。
私が#192で「まずシステムに凝るべきだ」としたのには、深い理由がある。
新しい店が出来た、誰かがその店へ行ってきた、さあ、感想は?「あの店に似ていました」。こんな風に説明されて興味を持つ人がいるだろうか?このように説明が付く店というのは、その時点で泡沫として消え行く運命にあると考えて差し支えない。
お客さんに「コンセプトとシステム、どちらでお店を選びますか?」などとアンケートを取れば、恐らくコンセプトに票が集まるだろう。しかしこの答えを単眼的に判断しては決して優れた店と評価されることはないはずだ。
コンセプトの違いというのは確かにあれど、そもそもどんなコンセプトであれ「どれもメイド喫茶の仲間だ」ということは既に知れ渡っている。そしてどんな衣装を着ても、接客にこだわっても、「ただ着ただけなのか、そうでないのか」は、「コンセプトがシステムにどう反映されているのか」から推し量られるのである。そして反映なき場合は「ただ着てるだけ」「世界観がちぐはぐ」などといった低い評価を受けることとなる。つまり、「システム上不都合の出てくるコンセプトは良くない」=「システムから考えるべき」なのだ。
となると、例えば純粋に「メイド喫茶」であれば、お客さんは「主」、メイドさんは「従」の関係にあるわけだから、「1時間ワンオーダー制、1時間経つごとにメイドさんが各テーブルを回ってオーダーを聞きに行きます」というシステムはちょっとおかしいわけだ。「従」のメイドさんが「主」のお客さんに対してオーダーを強制するような状況というのは、「これのどこがメイドなの?」という疑問を抱かせてしまう。結果としてシステムがコンセプトを破綻させてしまい、お客さんはガッカリする。その意味では、「ご主人様・お嬢様が帰って来る第2の家」という位置付けであるメイド喫茶に帰宅して、「席料」を取られるというのもスタートから躓いているような気がしてならない。別に客単価を上げるのは一向に構わない(イヤなら行かなければいいだけ)のだが、それは#161のように「システム内に組み込んで上手く処理」すれば何の問題もない。
せっかくの「メイド喫茶」である。優雅な気分を味わうためにも、また癒しを堪能するためにも、「居心地のいい空間」を作り上げて欲しい。

違法性阻却への道 (2010/05/27)
この社会、「美味しそうな市場なのに、何故かまだほとんど手付かず」な商材には、必ずといっていいほど「裏」があるものだ。
よくよく考えれば、何故そんなに美味しい市場が放置されているのだろうか。そんなに凄いなら、大手企業が潤沢なカネとコネをもって席巻してこないのが不自然じゃないか。
メイド喫茶はどうして個人営業がメインで大手に荒らされることがほとんどなかったのだろうか?これにはメイド喫茶の業態を考えた時、違法性の阻却が極めて難しいという側面があるのだ。それは風営法でいうところの「2号営業」、つまり「接待」についてである。
法律で定められている「接待」行為とは、次の5つだ。1・談笑、お酌。2・踊り。3・歌唱。4・遊戯。5・客の口許まで飲食物を差出す。この5つのうちどれにも該当しない店(健全営業)もあるが、全てに該当するような店(灰色営業)もある。そこで問題は「該当しているのに何故平然と営業している店があるのか」ということだ。
あるメイド喫茶のオーナーが私にこう言ったことがある。「ここの所轄はその点緩いから」。これほど理解不能な理論は無い。同じ日本国内において地域によって法律が違うなんてことはあるはずが無いのだ。では「あそこではセーフ、でもここではアウト」という明文化された条例でもあるのか?無いだろう?しかし「地域性」が存在する「ように見える」のも事実。この不可思議な現象は一体どういうことなのだろうか?
結論から言えば、「運がいいだけ」である。警察というのは、「違法行為を迅速に取り締まらなければならない組織」ではない。つまり、違法行為を見つけても、摘発する「ことができる」という立場なのだ。従って、大きな問題に発展してお客さんから被害届がバンバン出ているわけではないからまだ「見て見ぬフリ」をしているだけに過ぎない。逆に、警察が「やる」と言えば終わり、それがこれらの「危うい」サービスなのである。
重要なことなので口語的に補足しておくと、これらは「違法」であり、「この地域ではセーフ」というのは「無い」。警察の指導の入っていない地域では、「たまたま(所轄の)担当が指導する気になっていないだけ」か、「担当が業界に対して物分かりがいい」か、「そもそも担当が無知で違法性を認識していない」のいずれかであり、この現状というのは担当の「異動」で急激に変化することもあり得るのだ。だから「あそこはセーフ」という担保に営業を依存するのは本当に危険なのである。ここをきちんとクリアしておく(該当しない形態を追求するか、風俗営業の許可を取る)というのは、遵法営業において要となるはずだ。


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