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【国際】

『北朝鮮が制裁逃れ』 対象外企業に不正移管

2010年7月17日 夕刊

 【ニューヨーク=共同】国連安全保障理事会の北朝鮮制裁に関する専門家パネルが五月、安保理に提出した最終報告書で、北朝鮮が制裁対象企業の業務を他企業に移したり、武器を細かく分解して密輸しようとするなど、さまざまな制裁逃れを図っていたと指摘していることが十六日、分かった。

 最終報告書は制裁対象となっている北朝鮮の十三企業・個人以外に、多くの組織や個人が不正行為に関与しているとして制裁対象の拡大を提言、国連加盟国に情報提供を求めている。

 共同通信が入手した報告書は、本文四十七ページ、付属文書二十八ページで構成。安保理の制裁決議に基づき設置された北朝鮮制裁委員会が昨年、核・弾道ミサイル開発などに関与しているとして八企業、五個人を資産凍結などの対象に指定直後、北朝鮮は制裁逃れのため「制裁対象企業の活動を急いでほかの企業に引き継がせた」と指摘した。

 具体的には、制裁対象八企業の一つである「朝鮮鉱業貿易開発会社」の業務は「グリーン・パイン・アソシエーティッド」社に移された。グリーン社は人民武力省偵察総局の統制下にあり、現在、武器輸出の半分を担っているという。

 最終報告書は同社以外に業務を受け継いだ企業名を明示していない。

 同報告書によると、コンゴ共和国に旧ソ連製戦車T54、T55を密輸しようとしたケースでは、戦車を細かい部品に分解した上で、中国・大連港でフランス企業所有の英国籍船に積み替えた。

 これをさらにマレーシアでリベリア籍船に積み替え、積み荷目録を「ブルドーザー修理部品」と申告。部品から戦車に組み立て直すため、技術者を北朝鮮からコンゴ共和国に派遣していた。

 

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