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[20360] 【習作】学園黙示録HOTD 狂人狂想曲(学園黙示録HOTD  オリ主)
Name: 沢口 悠◆38b2c2e1 ID:48092c7b
Date: 2010/07/17 01:13
プロローグ



僕が『彼女』と出逢ったのは10歳の夏。
母の実家、祖母がいる田舎へと遊びに行った時のことだ。
山や川に囲まれた田舎は都会暮らしだった僕にとってはとても新鮮で、日が暮れるまで、いや日が暮れても遊び続けた。

ある日、僕はいつものように山で現地の友達と遊んでいた、そして迷子になった。
どうしてそうなったのかはもう覚えていない。
かくれんぼでもしていたのか、道に迷ったのか、とにかく僕は迷子になった。
時間は夕暮れ時であり、カラスの鳴き声が不安を駆り立て、僕は泣きながら友達や両親を呼び続けた。

しかし、どれだけ呼び続けても誰の姿も無く、誰も現れない。
周囲が薄闇に包まれかけたとき、僕は『彼女』に出逢った。
僕を魅了し、狂わせた『彼女』に。




「起きたまえ、石川君」
「んぁ?」

心地良い微睡みの中にいた俺を、さらに心地良い声が現実に引き上げる。
顔を上げると、そこにはクラスメイト兼俺の嫁(予定)の毒島冴子の姿があった。
彼女とは一年の頃からの付き合いで、それなりに長い付き合いである。
中々どうして気が合うというか波長が合うというか同類というか、とにかく女子の中では一番仲の良い友人。

容姿端麗、文武両道、大和撫子。
彼女を表現するならそんな言葉が相応しい。
一言で美人。二言で超美人。三言で超銀河美人。四言で天元突破美人。
もう言うこと無しの完璧な存在。

「冴ちゃん、結婚して」
「起き抜けに唐突だな」
「恋はいつだって唐突で突然だよ、だから結婚しよう」
「ふふ、悪いがまだ身を固めるつもりはないよ。学生らしい交際なら一考しよう」

普通に考えたら引かれてもおかしくない俺の発言にも冴子は微苦笑で答える。
良い。マジで良い。そのお姉さんっぽいとこが凄い好きだ。同い年だけど。
欠伸をしつつ、体を起こす。周囲を見れば他のクラスメイト達は次の授業の準備をしている。

「そろそろ休み時間も終わる。君も、起きていた方が良いと思うが」
「ん、そだね。ありがと、冴ちゃん」
「いや、随分と幸せそうな寝顔をしていたからね。少々起こすのが躊躇われた」

どんな夢を?と訪ねてくる冴子に俺は夢の内容を思い出す。
一言で言えばそう……。

「初恋の夢……かな」
「ほう、それは、余計な事をしてしまったかな?」
「いやいや、昔の恋より今の恋。冴ちゃんの方が大事ですよ」
「ふふ、石川君は本当に面白い子だな」

そう言って微笑む冴子と言葉を交わしていると、ちょうど予鈴が鳴った。
軽く手を振って冴子は自席へと戻っていく。
席を立っていたクラスメイト達も緩慢な動きで自分の席へと戻っていった。
俺は教室に入ってきた教師の声に耳を傾けつつ、視線は外へと移した。

季節は春真っ盛り。校庭には盛大に桜が咲き誇っている。
うららかな春の日差しが再び俺を微睡みに誘う。
欠伸を噛み締めつつ、俺は『初恋の彼女』を思い出す。
初めて出逢った日から今日まで、一時も忘れたことは無い。

俺の心は未だ『彼女』に捕らわれている。
『彼女』に出逢った時以上の高揚感を、俺は知らない。
『彼女』以上に心を掻き立てる存在を、俺は知らない。

だが、俺の『彼女』への思いは報われないモノだ。
『彼女』の心は決して俺に向けられない。
『彼女』の瞳は決して俺を映さない。

俺――石川賢治の初恋は出逢った瞬間に終わった恋であり、しかし、始まった恋でもある。


そして、今日から始まる俺の『新しい日常』は俺に『新しい恋』を齎すものであるということを、この時は知らなかった。






あとがき
夜中に勢いだけで書いてみた。
おかしい部分があったら随時修正していきたいと思います。
とりあえず、冴子ヒロインのオリ主モノです。
生暖かい目でどうかよろしく。


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