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「発生地と違う苦しみ」 処分対象外繁殖農家
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「発生地と違う苦しみ」 処分対象外繁殖農家
(2010年7月15日付)
「発生農家とは違う苦しみがある」。口蹄疫の非発生地域の肉用牛繁殖農家や、発生地域にあっても殺処分対象にならなかった繁殖農家が苦しんでいる。
発生以来、県内の競りはすべて中止。無収入となった繁殖農家には、増え続ける餌代などが重くのし掛かっている。競りが再開されても「大きくなり過ぎた子牛に、これまで通りの値がつくか分からない」と経営好転への光明を見いだせないでいる。
繁殖農家が収入を得る場は、生後10カ月程度まで育てた子牛を販売する競りだけ。県畜産課によると、昨年度は県内で約7万7千頭の子牛が約287億円で取引された。本年度は4月末から競りが中止されていることで、その影響は約79億円に上るという。
感染疑いやワクチン接種により牛を殺処分された農家と同様に、牛が生き残った農家は収入を断たれた状態に置かれている。さらに牛を飼育する経費が掛かり続け、日南市南郷町の河野秀一さん(59)は「発生農家とは違う苦しみがある」とつぶやく。
河野さんの場合、子牛が出荷できない上に、母牛が次々と出産し、餌代が月60万円も増えた。コスト増を貯蓄で賄いきれず、今月に入り県の緊急対策資金に融資を申し込んだ。
JAはまゆう生産牛部会の部会長でもある河野さんは「地域の農家や関係者が防疫を徹底し、感染を食い止めた。国や県は努力に報いてほしい」と、競りの中止期間に要する餌代などの十分な補償を訴える。
競りの再開を待ちわびる一方、不安の声もある。高千穂町畜産連絡協議会会長を務める同町三田井の繁殖農家戸高畩志さん(63)は「県外の顧客は戻ってくるだろうか。宮崎が汚染されているというイメージを払しょくできるだろうか」と懸念。同町を含む西臼杵地区は「高千穂牛」の生産拠点として県内外から注目されるが、「競りが再開されても、今までと同水準の値がつくか分からない」と不安は尽きない。
県内の肥育農家は「子牛を競りで購入する生後9〜10カ月の時期は、肥育する上で非常に大事」と話す。粗飼料をしっかり与え、丈夫な胃をつくることが肉付きに影響するためだという。その上で「出荷適齢期を過ぎた子牛に、適齢期と同じ価格をつけることはできない」と申し訳なさそうに語る。口蹄疫発生後、競りが開かれない状態が続く南那珂家畜市場。
【写真】発生地域外でも農家への打撃は深刻だ=14日午後、串間市大平