九州北部・山口県は14日未明から、活発化した梅雨前線の影響で非常に激しい雨となり、福岡県朝倉市で24時間降水量が224ミリに達するなど各地で観測史上最大を記録した。河川のはんらんや家屋の浸水被害、がけ崩れなども相次ぎ、交通機関が大幅に乱れた。同日午後まで激しい雨が続くとみられ、気象庁は警戒を呼び掛けている。
福岡管区気象台によると、九州北部に停滞している梅雨前線に、南西から暖かく湿った空気が流れ込んで活発化した。13日からの24時間降水量は、長崎県対馬市282ミリ▽同県松浦市190ミリ--が7月の観測史上、最大となった。
北九州市災害対策本部によると、同市小倉南区高津尾の紫川と東谷川の合流点付近で増水した水がはんらんし275世帯が孤立。市は避難指示を出すとともに福岡県知事を通じて陸上自衛隊に災害派遣を要請した。
福岡市では早良区次郎丸などで住宅が床上浸水する被害が出たほか、同区梅林などでがけ崩れが発生。市内約3万4000世帯に避難勧告が出た。
山口県では14日午前、土砂崩れのおそれなどで下関市、防府市など7市町計1万9416世帯に避難勧告が出ている。佐賀県神埼市でも城原川がはんらん危険水位を超え、32地区3350世帯1万500人に避難勧告が出された。
JR西日本によると、山陽新幹線が山口県内で雨量が規制値に達したため午前8時35分から約2時間、小倉-広島間で運転を見合わせていた。またJR九州によると午前9時現在、福岡県内で筑豊線と後藤寺線が全区間で運転を見合わせたほか山陽線、鹿児島線、長崎線でも運転見合わせ区間が相次いだ。
高速道路も同9時50分現在、九州道の門司-太宰府間や長崎道の鳥栖-武雄北方間などが通行止め。西鉄高速バスも10路線で運行を見合わせた。
毎日新聞 2010年7月14日 11時32分(最終更新 7月14日 12時40分)