陣痛がきた妊婦さんの送迎はお任せを--。草加市青柳3のタクシー会社「草加ダイヤモンド交通」(三上秀樹社長)が6月中旬から、「出産QQタクシー」のサービスを始めた。タクシー車内に破水用のシートやバスタオルを用意し、同社に事前に登録した妊婦から連絡を受けると、優先的に送迎を手配する。同社運行管理担当の見米嘉さん(46)は、「少子化時代のいま、地域に少しでも貢献できれば」と話す。
同社によると、これまでも陣痛を訴えた妊婦の手配は月平均で5~10件で、1日に3件あったことも。夫が出張や夜勤、留守中の深夜に陣痛がきて、あわててタクシーを呼ぶケースが大半という。
今年2月の同社の管理職会議で導入を決定。6月12日から本格的にスタートさせた。
タクシー全車両80台に「救急セット」を搭載。中身は、バスタオルやフェルトのシート、手袋、ハンドソープなど。さらに、市内の医療機関やベビー用品店などに、かかりつけの産婦人科医や出産予定日を記入する事前登録用紙を配布すると、7月16日までに20~30代の妊婦計20人が「出産QQタクシー」の事前登録を済ませた。
一方、タクシー乗務員147人を対象に妊婦への心遣いや対応、車内のシートの敷き方などを伝授する講習会も3日間、開いた。
「出産QQタクシー」の営業エリアは、草加、八潮市と越谷市の一部(JR武蔵野線よりも南側)のみ。ドライバー歴9年の橋本時次さん(57)は過去3回、陣痛の妊婦さんを産婦人科医へと搬送した。「いずれも深夜や早朝。正直なところ破水したらどうしようと不安だった。しかし、『出産QQタクシー』だと、座席にシートを敷いてから妊婦さんをお迎えに行くので安心」と話す。
問い合わせは、電話048・931・2255草加ダイヤモンド交通。【飯嶋英好】
毎日新聞 2010年7月17日 地方版