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ふじながたかみの日本御臨終宣言

「Trad-Fairy Web」

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2006/11/5 第53回 表現規制反対派は賛成派を笑う資格なし

表現規制問題にしか視点がないエゴイズムぶりを露呈 表現規制問題にしか視点がないエゴイズムぶりを露呈 - ふじながたかみの日本御臨終宣言 を含むブックマーク

私は今、仲正昌樹さんのバカ左翼批判の書「ラディカリズムの果てに」を読んでいる。読んでみて、「そこは私も覚えがある」と思わされる部分が多い。

私はこれまで表現規制反対派を見てきたが、彼らの意見を見て思ったのは「こいつらバカだ。視野が狭すぎる」ということである。それが顕著だったのは教育改革問題である。私は以前から内藤朝雄さんや宮台真司さんの唱える教育改革には賛成の立場を示し、「ゆとり教育」には賛同してきた(真意がわからぬバカが最終的には潰してしまったが)。宮台さんが言うように勉強よりも遊びや人間関係に時間を割いたほうがいい。内藤さんが言うようにイヤな人間と長時間拘束される必要はない。そうでなければ人間関係もマトモにならず、いじめが減らない。そこを見据えずにバカ右翼やバカ左翼はそれに反対してきた。教育を変えることは、「いじめ放置して子どもストレスを強要し、人間関係破壊させてきた」連中には都合が悪い。バカ左翼に限定して言うなら、表現規制賛成派のみならず表現規制反対派にもそういう心性がある。先述の統一教会批判も含めて。

その他にも、有識者会議に表現規制賛成派の名前があるというだけで反対派の人も一緒にされてしまったり、「表現規制を行うための会議だ!」と簡単に決め付けることもある。そう言えば、「利権が絡んだ」というのもあったな。しかし、「利権」は表現規制賛成派の動機としては全面的に否定しづらいところがあるけど小さなこと。何しろ「利権」は引き金に過ぎず、それだけで人が動くことはないからだ。「利権」だけなら、タマの入っていない銃を撃つようなもので話にならない。「タマが入っていなければ引き金を引いても危険はない」というのは表現規制反対派がよく持ち出す限定効果論のようなものであるが、「利権で人が動く」=利権が表現規制の動機の全てである」かのように持っていくのは、表現規制賛成派の依拠する強力効果論と同じ理屈ではないか。「引き金だけでも危険」。表現規制賛成派の論理をそのまま流用しているのに気づいていない(「タマそのもの」を論じようとない)。これではヴァルネラブルになっても仕方がない。表現規制賛成派が持っている「他者への恐怖感」と「一方向で無邪気な善意」。そこを突かない限りは新たな表現規制賛成派はまた現れる。森達也さんが「サブカル「真」論」で述べたことを流用すれば、「権益や利益だけを目的に、表現規制賛成派は動かない」

前回私は「2ちゃんねる*1でのひと悶着」と書いた。私が別の視点から考えを書くと、「お前は宮台のような危険なヤツが言い出したどうでもいい問題に焦点を当てようとしている。それによって表現規制賛成派に対する追求が曖昧になり、問題の本質からずらされる。そのことを何とも思わないのか」といった感じで責められて、「今問題にすべきはこうだ」と強引に向こうに有利な設定に戻す。2ちゃんねらーにとっては自分たちにとってどうでもいいことを言うヤツは「味方」ではないのだ。私自身にとって「これは彼らの頭に入れて欲しいことだ」と思って書いても、彼らにとっては「頭に入れるに値しない」ほど重要ではないのだ。たとえそれが私自身に跳ね返ってくる問題であろうとも、それに対して「それはわかる。しかしそれはお前にも当てはまる問題ではないのか」とか書いてくるならともかく、最初から突き放すから話にならない。普通のヤツなら自動的にその考えは閉ざしてしまうのだが、私は「こんなバカなヤツが集まるところには書き込みするに値しない」となるので、それ以降政治的なことに関しては2ちゃんねるに書き込みをするのは一切やめた。自分にとって都合のいいヌルい話しかできない(それでいて妙に居丈高な)連中に何を話しても無駄だ。*2

表現規制賛成派が何か言ってきたら、パブロフの犬のように反論を返せばいいという方法はもはや有効ではない。何も見据えずに、反論を返したって今や無効である。表現規制賛成派は、反対派が何を見ていないかは全てお見通しである。それを前提にして考えなければならない…のだが、日本人というものはハッキリとした敵(仮想敵じゃないよ)がいないと何もできず、自分のケツも拭けないアホばかりだからどうしようもない。腹を切るしかないのか。

*12ちゃんねる、と言っても外部扱いの「BBSPINK」というアダルト系の掲示板である。2ちゃんねるヘタレ右翼系が多いのに対し、ここの住人はヘタレ左翼系が多い。ちなみに2ちゃんねるでは実際に政治的な話をしたことは、電気用品安全法を除いては一切ない。

*2:この段落は「ラディカリズムの果てに」に書かれていた、仲正さんと北田暁大さんとのトークセッションの顛末を参考にした。私が経験したのとほとんど同じである