把瑠都が次第に調子を上げてきたようだ。明らかな両差しで、体の大きさには似合わない器用さを見せた一番で、勝ち星を4つにふやし、4勝2敗、この先を楽しみにできる展開になってきた。
把瑠都はファンたちの期待をとび越す形で大関の座を手に入れたものだが、これまでの出世ぶりにもうひとつふっきれないところがあって、もうひとつ支援する側にも乗りきれないところがある。
これまでにも何度か書いたが、取り口に妙な欲の深さがあって、これ一途、それこそ把瑠都というところに徹しきれないでいる。変な言い方になるが、相撲を取る方も肩を入れる方も、どうも、どこか散漫なものを感じてしまうところがある。
多分、あるきっかけをつかめば、人が変わったようになって、あれが把瑠都かと感心するような相撲を取ってくれるのだろうが、なかなかそこまで昇華しきれないところがあってやきもきさせられる。以前にも数度書いたが、つる、突く、全身で前に出る。そのどれでも良いから、一度凝り固まったところを見せてくれると、把瑠都の時代も遠いものではないと考えるのだが。
琴欧洲6戦無敗で、先陣をきる白鵬にぴったりつけている。遠慮ないいい方だが、一皮むけたかという気がする。ただ、この形になったら万全だといういわゆる十八番を作り上げられないのは、無念だ。
そこはそこで、やはり大相撲の微妙なところで、意外なまでに出世が早かったことや、無理に無理を重ねて、そこから抜け出るのに時間がかかったりすることが、意外な影響を残しているのだろうか。
そういったことを、つくりそのまま返上する上からも、この辺で、琴欧洲の新しい顔を見せて欲しいと思う。
鶴竜の好調さがさえ渡ってきている。昨日書いた好調子何人かの中、先頭を切っているといっても良さそうだ。豊真将6戦無敗、1敗しただけの魁皇、稀勢の里ともども、どこまでこの勢いが続くか、それが楽しみだ。(作家)
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