菅内閣は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題で、同県名護市辺野古に造る代替施設の工法を2006年の日米合意と同じ「埋め立て」に絞る方針を決めた。鳩山前内閣で検討した「くい打ち桟橋」方式は費用などの面から断念した。埋め立てた場所に造る滑走路は、従来のV字形の2本から1本に減らす案などが浮上している。
複数の日本政府関係者が明らかにした。埋め立てによる建設の方針はすでに米政府に伝えられており、米側も了承している。日米両政府は5月末の共同声明に明記した「8月末までの検討完了」に向け、今月15、16日にワシントンで課長級の専門家協議を再開する予定だ。
ただ、現場の沖縄県側では、辺野古への移設そのものに反対する声が強い。埋め立てであれば、地元企業が参入でき、地元の理解が得やすくなるとの期待感も政府内にはあるが、地元に受け入れられる見通しは立っていない。滑走路の本数などは日米間でもまだ完全に固まっていない。
代替施設をめぐっては、鳩山由紀夫前首相が在任中、くい打ち桟橋方式での建設を検討していた。しかし、防衛省が試算したところ、工費が1兆円以上かかり、従来計画の約4千億円を大きく上回ることが判明。工期が長期化し、14年の完成期限から大幅に遅れることも分かった。米政府も「攻撃に脆弱(ぜいじゃく)」と反対しており、現実的ではないと判断した。
日米共同声明はこうした工法のほか、代替施設の位置や滑走路などの配置についても8月末までに検討を終えるとしており、滑走路を1本とする案が出ている。