●挨拶
こんにちは、こんばんは、はじめまして、火乱と言います。ここでssを読んでいたらあまり
のも素晴らしい物が多かったので堪え切れずまず序章からって言うことで作ってみました。まずこれ
を読みにあたっての注意です。
・武ちゃんは現実的な範囲で無双する。
・絶望的に救いのない変態がいる
・現実は厳しい、常に思い通りにはならない
・3週目の世界
・ご都合主義
・夕呼の科学は世界一ぃぃぃぃぃぃぃ!!!
・とんでも性能な機体
・内容が他所と似る場所があるかも
・オリジナル人物
・新しいイベント
・トータルエクリプスっぽい何かが出る
・誤字とか許容できる心がある
・なんか注意点が多い。
これらが許容できる懐の広い勇者たちはおすすみください。続きはきっと作りますがそんな早くは
更新速度はないと思う。たぶん。あと色々勉強中なのであしからず。あと今回は第三者
視点っぽいものからナレーションやってますがソレはあくまで序章のみです。あと説明とか
状況説明が色々抜けてるのは今回序章だからです。決して、手抜きじゃないぞ?!
次回からはちゃんと武ちゃんの視点でやりますよぅ?
では、前置きが長くなってしまいましたが、存分にご堪能ください・・・。
白銀武のもたらした情報と戦果は人類とBETAの戦いにおいて大変貴重なものであった。
香月夕呼の言葉通り、その情報のお蔭で人類は10年戦えた。
そして何より白銀は帰らなかった。
否、帰れなかったと言うのが正しいだろう。
白銀と社霞は桜花作戦の生き残りである。しかしこの結果が最善であり十全たる結果であろうか?
白銀武からすれば一番守りたい人まで失い、これは最悪の未来であった。
そう、白銀武が苦悩し、掴み取った未来は人類にとって最善であっても彼にとっては苦痛であった。
だから、白銀は帰らなかった。
白銀は残って戦うことを決めた。一人の衛士として、死んでいった者の為にも、
白銀は帰らないことを決意した。
衛士一人で戦場は変わらない。それは戦の常である。しかし彼の存在は違った。
白銀武は桜花作戦の中枢であり、そして生存者である。極秘とは言え、その腕前と過去は広まり、
兵士の士気を高めるものであった。
そして時は進む。
無くした物を置いて行き、
希望を追い、
過去を忘れず、
未来を憂い、
――――人類はBETAに勝利した。
奇しくも、それは桜花作戦の決行日と同日であった。
人はその大地をBETAから取り戻すことが出来た。
BETAがまたこの大地を降り立つ可能性は否定できない、
だが今の人類軍であれば、この星だけであれば守れるであろう。
だから白銀武は決めた。自分はあのときの後悔を否定しないと。
今の自分は違う。
英雄と呼ばれ、
香月博士を動かす力もあれば、
発言力もある。
何より、泣くことだけしかできなかったあの頃とは違う!
否、今の自分は泣きはしない!確固たる意思の元、あの時の自分が為し得なかったことを、
今こそ、行うべきだと!
「――――――で、あたしを頼ってきたわけね?」
そこは夕呼の研究室、横浜基地の時と比べさらに広く大きく、そしてごちゃごちゃとしていた。
どんなに時が経ち、待遇が変わろうとも、根本的なものは変わらなかった。
「まぁ、こういうことは先生にしか頼めないしな。」
そうやって未だに彼女を先生と呼び、慕うのは今では英雄と呼ばれる男、白銀武。
体はさらに鍛えられ、背は伸び、威厳を示すためにも髭も生えたもはや中年の男である。
しかし、その腕前は劣ることを知らない。
「ったく相変わらず私に頼るの止めてくれない?」
そう言う彼女は嫌そうな顔をしていた。
「そんな、嫌そうな顔をしないでくださいよ。どうせ、もう完成しているんでしょう?」
「あら?やっぱり分かる?」
そう言って香月夕呼は笑った。
「先生は変わらないね。全く変わらないね。あの頃から。」
武は昔のことを考えながら小さく笑った、昔を懐かしむように。
「アンタはかなり変わったけどね。国連軍の英雄、白銀武って言ったら皆の憧れじゃない。」
「それは俺一人のお蔭じゃないですよ。先生が考えて、作って、仲間の身を犠牲にして
作った未来です。」
「・・・やっぱりアンタはまだ諦め切れてないのね。」
「昔は知恵もなく、力もなく、ただ闇雲に道を探してただけだ。」
「今のアンタなら違うと?」
「今の俺には力がある。何より未来の情報がある。」
そう言う武の眼光は強いものであった。その眼から強い意志を感じることができ、
そしてその意思が強固であることも感じれた。
「そう。私が止めても勝手に行きそうね。」
「なら、」
「条件をつけてあげる。」
「条件ですか?」
もとより香月夕呼はこの男を止められるとは思っていないし、止めようとも思ってなかった。
逆に実験に利用さえできると考えてた。だから実際夕呼自身は逆に手伝おうと、自分の教え子がそう望むのであれば叶えようと、思っていた。
「そう。条件。アンタは自分の身一つで私に過去へ飛ばしてもらうつもりだったの?」
「今までのループは必ず寝巻き姿で登場でしたけど?」
「はっはーん私を世紀の天才だって忘れてるわね?」
「ってことは・・・」
「そう、アンタ以外にも人間を一人、戦術機を二機ほど持ち込めるわよ。」
「マジっすか?!」
「マジよマジ。これで使い方はあってるんだっけ。」
「そうですよ。」
「ってまあ、そういうこと。分かった?」
「でもこんな個人的な事に付き合ってくれるやつなんて・・・」
「あら、アンタにはいるじゃない。‘兄弟’が。」
「でもアイツを頼るのは・・・。」
「避けたいってか?オイオイ英雄サマが情けなぇじゃねぇか。」
突如男の声がした。
「なっ?!」
研究室の中央の大きな機械、その横、影の中をよく目を凝らしてみると、
そこには確かに人影があった。
「そういう訳よ。仲間はずれは嫌らしいわよ?」
「そういうこった兄弟。諦めて連れて行きな?」
そう言って男は陰から出てきた。長身ではあるがどこか細身の男。服装は国連軍兵士の服装の上から
黒いロングコートを着るという奇抜な着こなしをする男であった。
「なんでお前がここにいるんだ・・・ジン。」
「あん?んなこと聞くか普通?兄弟いる所に我ありってやつだ。」
「私の提示する条件って言うのは彼を連れて行くことよ。」
「先生!」
「正直アンタ一人じゃ歴史は動かせないわよ?いいわね、聞きなさい。
アンタももうすでに一人の将校よ。アンタは知ってるはず、
戦況を変えるのは個人の戦闘能力ではなくて軍としての
能力だって。」
「それは俺だって嫌ってほど知ってるよ先生。そのために階級上げて、戦場で嫌って言うほどの死を
見て、衛士を育て、そして軍を変えようとしたんだ。」
「そう。ぶっちゃけるとね、白銀。今のこの未来だって奇跡なのよ?
そう、私たちはBETAに勝利した。アンタの登場で途方もない
絶望的だったシナリオに終止符を打てたのよ。
アンタが今しようとしてるのは自分で掴み取った最善の未来を
投げ捨てる事なのよ?あの子達が命を使って勝ち取った未来よ。
それをアンタは‘気に入らない’って理由で捨てるのよ?
その意味を分かって言ってるのよね?」
「先生。これは人類がBETAに勝利してからずっと考えてたこと
なんだ。俺は、俺はあの時
の後悔を忘れない。あの時流した涙の味を忘れない。あの時皆で
笑ったときの笑顔を忘れない。
先生、俺の時間は動いちゃいなかったんだ。あの時、皆が死んで、
俺と霞だけが生き残って、
俺の時間は止まったんだ。だから俺は取り戻すんだ。
あの時の後悔を、
あの時置いて行った俺の時間の全てを。」
「そう。覚悟は硬いようね。うんじゃ準備しましょうか。」
「へ?」
「やらないの?」
「え、いや、やりますけど・・・。」
「男ならぐずぐずしない!」
「言われてんなぁ兄弟。」
「いや、兄弟とか言ってないでなんでお前来るんだよ?!」
「いや、だって白銀武の相棒だぜ?俺は。いつでもどこでも
テメェの味方だよ。」
「たったそれだけの理由で?」
「おいおい、俺を馬鹿にすんなよ?
お前が泣いてるなら手を差し出そう。
お前が血を流したらその傷をふさごう。
お前が助けを求めたら助けよう。
お前が人類を裏切りBETAについたら
お前を一発殴って正気に戻そう。
――だってよ、俺はお前の家族だぜ?」
「家族ってのはお前が勝手に言ってることだろ?」
「だけど否定しないだろ?」
「本気か?俺は元因果導体って言うもんだから行けたが、
お前の場合保障できないぞ?」
「ジンちゃんは不可能を可能にしちゃうマジカルボーイなんだよ。」
「んな年になってマジカルボーイかよ?」
「ハートはいつでも少年さ。悪くないだろ?」
「・・・ああ、悪くないな。」
「だろ?だから諦めな。地獄まで付いて行ってやるぜ?あ、
さすがに本当に地獄には行かねぇけど。」
「はぁ・・・。」
ここで武は諦めたようなため息を吐いた。目の前にいるこの男の名前は如月刃。今では数少ない
トップクラスの衛士であり、その中でもさらに希少な白銀武の動きに付いて行け、匹敵する
クラスの衛士である。
衛士と言えでも、この男は正規の国連軍兵士ではない。元は傭兵であった。
地球がBETAに襲われようがまだ傭兵はいた。ただ獲物は銃から戦術機へ変わっただけである。
戦場から戦場へ移り、金で雇われ、時にはBETAを、時には人間を相手に戦うものではある。その
ポリシーの無さから多くの軍人からは嫌われていた。
だが、この過酷な環境の中、戦い続ける傭兵はまさに超一流と呼べる腕前を持つ者がいた。
その一人がこの男、如月刃である。
本名は本人にも不明なため偽名、体術、銃器の技術、操作技術。どれを取っても優秀な男、
唯一弱点をつけるとすれば・・・
「ああ、世界は今日も興味に尽きない!兄弟と一緒にタイムワープが
出来る日が来るとはな!はははは!まだ見ぬ妹を目指して!」
絶望的に変態だったことである。
「いやさ、お前そのすぐに家族にするとか、どうにかならないのか?」
「なんだよ兄弟人類皆兄弟ってよく言うだろ?」
絶対そういう意味ではないと武は確信していた。
「男の密談は終わった?色々言いたいことがあるのよ。」
「あ、悪い先生言ってくれ。」
「まずね、持っていけるものはさっき言ったとおりごく僅か。
戦術機二機とアンタたち二人だけ。」
「ぶっちゃけ少なくないか?」
と刃が顔をいぶしかめて言う。
「俺が毎回起きるときは寝巻き姿で後は制服しか持ってなかったぞ。」
「そりゃあまたすごいことで。」
「あと注意点はもう一つ、アンタたちは過去へ行くんじゃなくて、
過去に混ざるのよ。まあ、感覚が違うだけでやってること
は前回と一緒よ。」
「そうか・・。」
「そしてジンアンタの場合過去に存在する人間なんだから過去に
飛んだ瞬間昔のアンタが死ぬわ。」
「それで俺に問題は?」
「特にないわよ。最悪アンタの存在が消し飛ぶだけよ。」
「そっか。」
「軽いな!」
「え、ここショックを受ける部分?しまったなぁ・・・。」
と頭を抱え込み悩む刃。コイツ馬鹿だろ。
「違うだろ。いいのか本当に?死ぬかもしれないんだぞ?!」
「同じことを何回も言わすなよ。」
まるで何てこともないように言い放った。
「俺は元々死んでるんだ。この命兄弟とともにあり、ってな。」
「・・・悪いな。」
「んじゃ決定したらぱっぱと始めちゃおうか。」
と夕呼が手を叩きこっちの注意を促す。
「用意できてたんですか?!」
武は驚いた、まさかもうすでに準備が出来ていたのか、と。
「なにを驚いてるのよ?教え子の考えなんか看破してるわよ。
よゆーよ。よゆー。」
とおちゃらけて言うが、実際武は夕呼に対して頭が上がらない。
なぜなら武、刃の機体は共に夕呼自身が指揮し、仕上げたものであり、国連軍の旗機であると同時にトップシークレットである。
「それを気づかせずにやってくれるから夕呼先生はすごいよな。」
「あら、もっと褒めていいのよ?」
「うん。調子に乗るからやめておく。」
「ふぅ・・・これで最後よ。本当にやるのね?」
「覚悟は足りてるよ先生。」
「そう。んじゃジン、アンタはしっかり白銀が馬鹿しないように見てなさい。」
「言われずとも。」
そして会話は終わった。後に残るのは行動のみ。
この日を境に英雄と呼ばれた男、白銀武大佐、そして元傭兵上がりの衛士、如月刃少佐は
その機体と共に消えた。痕跡も何も残さず消えた。当初は香月夕呼博士が大いに疑われた、
なぜなら彼女は両人と一番交流のあった者であるからだ。しかし、どんなに追求しようとも
彼女は飄々とした態度で全てかわしてしまい、次第に英雄の活躍も忘れられていった。英雄も
戦争が終わればただの危険物である。
そして今、過去を諦め切れなかった者による、運命への復讐が始まる・・・!
「なぁ、兄弟。」
「なんだ?」
「かわいい子いるかなぁ。」
「・・・。」
・・・・・・・・始まる・・・・!