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【社会】

大雨で岐阜の不明6人に 可児で車50台水没

2010年7月16日 夕刊

左上方からの土砂崩れで民家が倒壊、住民の救出作業が続く現場=16日午前9時6分、岐阜県八百津町野上で、本社ヘリ「まなづる」から(佐藤春彦撮影)

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 活発な梅雨前線による15日夜から16日未明にかけての大雨で、岐阜県可児市での行方不明が1人増え、同県での行方不明者は計6人となった。同市では可児川がはんらんし、名鉄広見線のガード下をくぐる右岸の市道で濁流に流されたり、水没した車は約50台と判明。警察などが行方不明になった市内の男女3人を捜索している。また、15日夜に裏山の土砂崩れで民家が倒壊した八百津町では、生き埋めとなったとみられる一家3人の救出作業が災害派遣された自衛隊員も加わって不休で続いた。14日以降の人的被害は、岐阜、広島、島根各県で死者5人、行方不明者8人となった。

 裏山の土砂崩れで倒壊した八百津町野上の民家では、石井直美さん(73)と妻の修さん(72)、長男英明さん(41)の3人の安否は、16日午後1時半現在、分かっていない。

 陸上自衛隊は県の要請を受け、名古屋市守山区から113人と車両20台を派遣。加茂署によると、土砂崩れの規模は長さ50メートル、幅6、7メートル。石井さん宅の建物3棟のうち東側2棟が消失した。

 現場の野上地区では、15日午後8時40分の避難勧告と土砂崩れの発生がほぼ同時で、避難が遅れた。「これまで大きな土砂崩れがなく、町のマニュアルに沿って判断した」(纐纈秀行総務課長)としている。

 町対策本部は、土砂災害警戒判定図の基準を超えた順に、同町東部の山間4地区は午後8時15分に、野上地区など町中心部に近い4地区は同40分に避難勧告を出していた。

 一方、可児市で新たに行方不明が判明したのは、同市緑ケ丘、会社員佐藤正二さん(54)。可児署によると、佐藤さんの妻から16日午前6時半ごろ、「昨日に出勤した夫が帰宅していない」と110番があった。佐藤さんは愛知県小牧市の会社に自動車で通勤し、15日午後7時ごろ退社。濁流で冠水した市道が通勤コースで、巻き込まれた可能性がある。

 ほかに、行方不明は同市広見、主婦細田由里さん(46)と、同市中恵土、会社員三宅秀典さん(26)。

 警察は名鉄のガード下を排水したが、3人は見つからず、範囲を下流に広げて捜索している。16日に現場付近では細田さん所有とみられる車が、三宅さんの車は現場から1キロ近く離れた可児川でそれぞれ見つかった。

    ◇

 岐阜県内のその他の住宅被害は一部破損が瑞浪市などで2棟、床上浸水が可児市などで40棟、床下浸水175棟。16日午前11時半現在で、可児市全域で3万8000世帯の10万人に避難勧告が出ている。八百津町の避難指示は同日朝解除された。

 県教委によると、16日は可児市や八百津、御嵩両町で小中高校の30校が臨時休校し、23校が自宅待機や始業を遅らせた。

    ◇

 愛知県では床上浸水が犬山、小牧、春日井3市で計5棟、床下浸水が3市のほか、岩倉市、豊山町の4市1町で計16棟あった。犬山市では土砂崩れが2カ所で発生し、冠水などによる道路の通行止めは4カ所だった。15日夕に犬山市東部に出た避難指示は16日午前7時25分に解除。今井小学校体育館に避難した住民118人は全員が帰宅した。そのほか小牧市などに出ていた避難勧告も早朝までにすべて解除となった。

 

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