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「典型的な口蹄疫症状」…獣医師ら証言

7月15日8時9分配信 読売新聞

 厳戒態勢で口蹄疫(こうていえき)に対峙(たいじ)していた宮崎県で、口に赤い斑点のある牛が、検査も国への報告もなされないまま埋却処分されていた。

 県の担当者は「口蹄疫ではないと信じている」と正当性を主張するが、その場に居合わせた獣医師らは「少しでも疑いがあれば調べるべきだった」として、県の対応を疑問視している。

 「教科書で見たような、典型的な症状だった」。同県新富町の肉牛農家で6月25日、殺処分にかかわった男性獣医師(34)は、こう振り返る。

 読売新聞の取材に応じた複数の獣医師によると、問題の牛は、殺処分中の同日午後4時頃、発見された。舌の奥に白い水ほうができ、赤い斑点が歯茎に数個浮かんでおり、現場に居合わせた別の30歳代の男性獣医師も「ついに出たか、と思った」と話す。

 当時、この牛の周囲には10人近い獣医師らが集まり、「血液を採って、検査すべき」との意見が相次いだ。しかし、現場にいた県の家畜保健衛生所の防疫員は、獣医師らに、「疑わしい牛がいたが、殺処分を続ける」と命じたという。

 問題の牛の殺処分をした男性獣医師は「注射しながらも、『検査するのが当たり前なのに』と疑問が頭から離れなかった」と話す。別の獣医師は「しばらく発生がなかった時期だったので、感染の事実を認めたくなかったのではないか」とも振り返る。

 動物衛生研究所(茨城県つくば市)によると、ワクチンを接種した家畜はワクチンが効果を発揮すれば、体内でウイルスの増殖力が失われ、臨床症状を示すこともウイルスを排出することもほとんどなくなる。しかし、ワクチンの効果には個体差があり、「症状が出ているということは、ワクチンが効果を発揮せず、ウイルスを排出していた可能性があった」(疫学情報室)という。

 県畜産課の児玉州男(くにお)課長は「唇に赤い斑点はあったが、疑わしい症状とまではいえなかったと報告を受けている」と説明。複数の獣医師らの所見を聞き入れなかった防疫員の判断については「県知事から委嘱を受けた家畜防疫員の現場での権限は大きい。その判断は絶対だ」としている。

最終更新:7月15日8時9分

読売新聞

 

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