現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 社会
  4. 裁判
  5. 記事

裁判員裁判の事実認定、二審は破棄 東京高裁判決

2010年7月14日13時42分

印刷印刷用画面を開く

このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

 同じ寮の男性を刺し殺したとして、殺人罪に問われた被告に対する裁判員裁判の控訴審で、東京高裁(小倉正三裁判長)は14日、一審判決が成立を認めた「誤想過剰防衛」を認めない判決を言い渡した。裁判員が加わった判決の事実認定を、裁判官だけで審理する控訴審が見直したのは全国で初めてとみられる。

 高裁は一審判決をいったん破棄したが、量刑は一審を維持し、改めて同じ懲役4年6カ月の判決を言い渡した。

 今年2月に裁判員裁判で言い渡された一審・横浜地裁の判決によると、無職伊作輝夫(いさく・てるお)被告(70)は横浜市西区の寮で昨年2月、同じ寮の男性(当時64)と口論になった。男性が包丁を手に取ったため、もみ合って被告が包丁を取りあげ、危害を加えられると勘違い(誤想)したまま、防衛に必要な限度を超えて男性の首や顔などを多数回刺して死亡させた、と認定された。

 一審では検察、弁護側とも、正当な反撃だと思い込んで反撃し過ぎた誤想過剰防衛が成立することについては争わず、そのまま事実認定された。さらに一審判決は、被告が心神耗弱だったことも認定した。

 しかし高裁は、台所にあった包丁を先に手に取ったのは男性ではなく被告だったと認定。「相手が包丁を持っている」という勘違いはなく、誤想過剰防衛は成立しないと判断し、一審の判決理由に不備があると述べた。ただ、心神耗弱状態だった被告の被害妄想で起きたとし、量刑は同じでよいと結論づけた。(岩田清隆)

PR情報
検索フォーム

おすすめリンク

秋田の裁判員裁判で「ギャンブル依存症」が量刑判断の一つになった。その実情に迫る。

八ツ場ダムの本体工事は中止で、かつて地域の再建に描いた夢は消え、未来は見えない。

「異端」と評される名古屋市長。就任から1年、その足取りを検証する。


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内 事業・サービス紹介