病気の父を見舞うためにブラジルに帰省していたグランパスの日本代表DF田中マルクス闘莉王(29)が14日、帰国した。再検査のため帰国が当初の予定より遅れたが、闘莉王は「顔を見られただけでもよかった」と安堵(あんど)の表情を見せた。15日にチーム練習に合流し、帰国会見を行う。
胸のつかえが一つ取れたようだった。闘莉王から、南ア出発直前に見せた不安な表情は消えていた。ブラジルで父親の回復を見届け、少し気持ちを落ち着けて名古屋に帰ってきた。
「良くはなっています。まだ完全じゃないけど。顔を見られただけでもよかった」
心臓を患い緊急入院した父・パウロ隆二さんを見舞うため、大会後に単身チームを離れてブラジルへ直行。「(活躍を祝福するため)訪ねてくる人は多かったけど、それどころじゃなかった。ゆっくり家にいることもできなかった」と看病に励んだ。退院後も再検査を見届けるためチーム合流が遅れたが、尊敬する父からは「よかったんじゃないか」と大会での奮闘をたたえられた。
約2週間にわたって帰省していたため、調整不足は明らか。17日・大宮戦(NACK)の出場は難しそうだが、闘莉王は「(15日の練習合流後に)監督と相談して決めたい」と含みを持たせた。
全身全霊をかけたW杯で4試合2失点の堅守の立役者となり、大会直後には完全燃焼の感を漂わせていた。その状態から完全に脱したわけではない。「まだ整理がついていないところもある。これからどういう気持ちで取り組めるか、しっかり考えたい」。完全に気持ちを切り替えるにはもう少し時間がかかりそうだが、いつまでも立ち止まってはいられない。 (塚田陽一郎)
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