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きょうのコラム「時鐘」 2010年7月16日
テレビの生中継が中止になったので、大相撲のダイジェスト番組を時々見る。勝負の結末は分かるのだが、なぜか物足りない
省かれたのは、決まり切った四股(しこ)の所作や仕切り直し。勝ち負けに直接関係はないが、そんなしぐさも楽しんでいたことに気が付いた。大相撲は、ショーの味付けたっぷりの格闘技なのである 時代遅れのまげにまわし姿は、スポーツ選手というより不思議な芝居の役者のようである。仕切り直しも、時間の浪費のように思えるが、無駄や遊びのような振る舞いも、相撲の楽しみである 取組前に土俵入りがあり、豪華な化粧まわしを披露する。力士は勢ぞろいすると、くるりと背を向け、丸出しのお尻を客に向ける。見ようによってはおかしな姿である。化粧まわしは、役者の美しい衣装に似る。人並み外れた足腰をさらすのは、力士の誇り。勝負事と興行という二つの魅力がよく分かる 不祥事で土俵に上がれない力士が何人も出て、角界立て直しの取り組みが続く。ファンはさぞ不愉快だろうが、場外で延々と続く協会の仕切り直しの方が、ダイジェスト版よりもよほど面白い。 |