絵画購入のローン契約をめぐって顧客2人から現金をだまし取ったとして、名古屋地検特捜部は15日、「ニホン画廊」(名古屋市中区)の元社員片岡仁一(よしくに)容疑者(35)を詐欺容疑で逮捕し、発表した。特捜部によると、片岡容疑者は「借金の返済のためにやった」と話しているという。顧客2人が特捜部に告訴していた。
発表によると、片岡容疑者は2006年4月30日ごろ、同社から絵画をローンで購入した男性客に「ローン残高分210万円を会社に入れてくれれば、2カ月後に45万円を上乗せし255万円にして返す」とうそを言って、現金210万円をだまし取った。また08年3〜4月、別の男性客からも同様の手口で計122万円をだまし取った疑いがある。
この日、特捜部は同社の関係先を家宅捜索。本社事務所のある中区大須4丁目の雑居ビルには、午前10時半ごろ、係官数人が捜索に入った。
同社をめぐっては被害対策弁護団が結成され、弁護団によると、架空の絵画売買を持ちかけられ、ローンを組まされたのは数十人で、被害額は9千万円以上という。愛知県は07年8月、社員が不当な勧誘を繰り返し、高額な絵画を買わせたとして、同社に3カ月の業務停止命令を出した。今年2月にも県は、社員が顧客の意に反する契約をさせたとして是正勧告をしている。
同社社長は今年1月、こうしたローン契約について、取材に「社員がやったことで使用者責任は感じるが、会社としては身に覚えがない」と説明していた。