2010年5月18日 18時8分
【ソウル西脇真一】韓国軍部のクーデターに抗議する市民と軍が衝突した80年の「光州事件」から30年となる18日、犠牲者が眠る光州市(南西部)の国立5.18民主墓地で記念式典が行われた。鄭雲燦(チョン・ウンチャン)首相が、李明博(イ・ミョンバク)大統領のメッセージを代読し「市民の犠牲があったから、韓国の民主化は平和的に成し遂げられた」とたたえた。
追悼行事は97年から政府などが行っている。この日は雨の中で約2000人が参列。メッセージで李大統領は「対話と寛容」の精神の必要性も訴えた。
軍の突入で、全羅南道庁にいた息子を亡くした「5.18光州民衆抗争遺族会」顧問の尹錫同(ユン・ソクドン)さん(84)は「体が悪く、きょうは行けなかったが、事件のことは一日たりとも忘れたことはない」と話した。
80年5月18日、急速に盛り上がる民主化運動に対し、軍が実権を握る政府は非常戒厳令を全国に拡大。光州ではデモ隊と軍が衝突し、その後、学生や市民の一部は銃を手に激しく抵抗した。道庁を占拠して立てこもったが、27日に鎮圧された。
政府発表では、死者は民間、警察、軍を合わせて193人。今なお正確な死者数や指揮命令系統などははっきりしない。