自然・科学
雑草から組み替え遺伝子検出 除草剤耐性菜種、野外で交雑か
(07/03 06:50)
三重県内の国道沿いに生えていたアブラナ科の雑草に似た植物から、特定の除草剤が効かないよう組み換えた菜種の遺伝子が検出されたことが2日、市民団体の調査で分かった。輸入した遺伝子組み換え菜種が輸送中にこぼれ落ち、国内に広く見られる雑草のイヌガラシと野外で交雑した可能性が高く、人為的につくられた遺伝子が近縁の植物を通じて生態系にさらに拡散する懸念がある。
組み換え菜種と通常の菜種など栽培用植物との交雑は従来もあったが、野生植物との交雑が確認されれば国内で初めて。
調査した「遺伝子組み換え食品を考える中部の会」(名古屋市)の河田昌東・四日市大非常勤講師は「組み換え遺伝子が野生植物にまで広がる可能性が出てきたことで、生態系への影響が懸念される」と話している。
組み換え菜種の使用に際しては、生態系影響の評価など国の承認審査が必要だが、交雑が懸念される植物にはイヌガラシは含まれておらず、国は審査の見直しを迫られる可能性もある。
イヌガラシは草地や農地などに生息する在来種で、菜種と同じアブラナ科。同会は6月中旬と下旬、三重県の津市と四日市市、鈴鹿市の国道23号沿いで、イヌガラシに近縁の植物と似た計14株を採取。13株から化学メーカーのモンサントやバイエルクロップサイエンスが開発した組み換え菜種の遺伝子やタンパク質を検出した。
道内では2002年にオホーツク管内の畑で遺伝子組み換え大豆の試験栽培が行われ、05年には空知管内長沼町の畑で、米国産の種子に混入していたとみられる組み換えトウモロコシ約30本が生育しているのが見つかった。
その後、道は一般作物などとの交雑を防ぐため、06年に組み換え作物の屋外栽培を規制する全国初の条例を施行。組み換え作物を栽培する場合は道への届け出に加え、「一般作物と一定以上の距離をあけて栽培する」「周辺住民への周知徹底」などを義務付けており、道によると条例施行後、道内で組み換え作物の栽培が行われた事例はない。
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