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「国家戦略局」菅首相が断念 実権ない知恵袋組織に縮小

2010年7月15日21時53分

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 菅直人首相は、重要政策の司令塔を担う目的で設置した「国家戦略室」について、政策決定の実権を持たない首相の「知恵袋」的な組織に縮小することを決めた。昨年の総選挙の民主党マニフェストに政治主導の予算編成や国家ビジョン策定を担う目玉組織として盛り込まれた国家戦略局構想は、大きく変質することになった。

 菅政権は2011年度の予算編成については、首相、仙谷由人官房長官、野田佳彦財務相、民主党の玄葉光一郎政調会長の4人で相談しながら基本的な方針を決めていく考えだ。政治主導で大胆な予算の組み替えが実現できるかが問われることになる。

 戦略室の役割について、菅首相は14日夜、国家戦略室メンバーとの会合で戦略室のあり方を見直す方針を説明した。これを受け国家戦略室長の平岡秀夫・内閣府副大臣は15日の会見で「戦略室は首相の知恵袋の役割を果たす。各省調整の役割もなくなる」と述べた。

 政権交代当初の構想では、財務省や外務省が握ってきた予算編成や外交方針決定の権限を、首相直属の「国家戦略局」に移すと想定されていた。官僚のおぜん立てに乗るのではなく政治主導で政権の基本方針を打ち出す狙いで、鳩山政権では、初代の国家戦略相を菅氏が、後任を仙谷氏が務めるなど重量級の閣僚が起用された。

 しかし、昨年末の10年度予算編成では、マニフェスト実現のための財源確保に手間取り、最後は当時の小沢一郎幹事長が裁定に乗り出した。当時国家戦略相だった菅氏は「総予算の全面的な組み替えを十分進めることが出来なかった」と、限界を口にしていた。

 首相はまた、英国で首相に政策を提言したり情報提供したりする「ポリシーユニット」と呼ばれる組織が日本にも必要だとの思いが強く、そうした役割を国家戦略室に任せる考えとみられる。

 参院選敗北による「ねじれ国会」で、「戦略室」を権限のある「局」に格上げする法案の成立にめどが立たなくなったことも背景にあるようだ。(鯨岡仁、岩尾真宏)

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