外国人研修制度で来日し、技能実習生として茨城県潮来市の金属加工会社「フジ電化工業」で働いていた中国人男性=当時(31)=が死亡したのは、長時間労働などによる過労死だったとして、鹿嶋労働基準監督署(同県鹿嶋市)が労災を認定する方針を固めたことが2日、分かった。外国人研修生問題弁護士会によると、外国人実習生の過労死が認定されるのは全国で初めて。
同労基署は同日、労働基準法違反容疑で同社と男性社長(66)を書類送検した。
同労基署によると、同社は2008年3月1日〜5月31日、中国人男性に1月最大98時間の残業をさせ、ほか2人の外国人実習生も含め、1時間当たり400円の手当しか支払わなかったという。
また、虚偽の退勤時刻が記録されたタイムカードと賃金台帳を作成、実際の時刻が記録された台帳などはシュレッダーで廃棄していた。
中国人男性は05年12月、「外国人研修・技能実習制度」で来日。同社でメッキ処理などに従事していたが、08年6月、寮で心不全になり死亡した。
男性の代理人で同弁護士会共同代表の指宿昭一弁護士は、「これは氷山の一角。外国人実習生の問題を象徴しており、二度と繰り返さないために実態が明らかになったことはよかった」と話した。
フジ電化工業は取材に対し、「本人の希望もあって、残業させてしまった」などとしている。
[時事通信社]