2010年7月2日21時49分
日本で技術を学ぶ外国人研修・技能実習制度で来日し、茨城県潮来(いたこ)市のめっき加工会社で働いていた中国人実習生の男性(当時31)が急性心不全で亡くなったのは長時間労働が原因だとして、鹿嶋労働基準監督署は2日、「過労死による労災」と認定した。男性の弁護士によると、外国人研修・技能実習生の過労死による労災が認定されたのは全国で初。
労災認定を受けたのは、2005年12月に外国人研修・技能実習制度を利用して来日した蒋暁東(チアン・シアオトン)さん。潮来市の会社で働き始め、3年目の08年6月、就寝中に急死した。遺族が09年8月、鹿嶋労基署に労災申請していた。
同署は、蒋さんが亡くなる直前の3カ月間、月93〜109時間の残業をしており、過労死だったと判断。同署は、蒋さんら中国人実習生3人を違法に長時間残業させ、最低賃金を下回る時給400円の残業代しか支払っていなかったなどとして、この会社と男性社長(66)を労働基準法違反容疑(長時間労働、残業代不払い)で水戸地検土浦支部に書類送検した。3人に対する未払い賃金は計18万円という。
社長は朝日新聞の取材に「残業は強制してはいない。残業代が低いと思ったが、実習生を使う他の企業と足並みをそろえる必要があったため、仕方なかった」と話した。