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【風の間に間に】論説委員・皿木喜久 「権力」に酔った揚げ句 (2/2ページ)
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中国側の会見申し入れは、1カ月前までにというルールからはずれていた。外務省、宮内庁とも断ったが、鳩山首相の指示で強引に割り込ませた。しかも小沢幹事長は抵抗した宮内庁長官に辞職を求めるという強権ぶりだった。
その小沢氏らの「政治とカネ」では、野党側の証人喚問や参考人招致の要求にも一切応じない。それどころか、捜査当局や検察審査会への圧力を思わせるような言動もあった。
菅政権になったあとも、衆参の予算委員会や党首会談を開かず、議論を封じ込める。参院での首相問責決議案すら採決しない。
まるで一党独裁のようなやりたい放題に、国民が「自民党時代でもこうひどくはなかった」と思い始めても不思議はない。
哲学者ニーチェは『権力への意志』で、キリスト教などを批判するのに「ルサンチマン」という概念を使った。下位の者の上位に対する怨念(おんねん)、嫉妬(しっと)といった意味で、それが人を動かすという。
民主党政権を見ていると、かつての自民党政権への「ルサンチマン」のあまり、権力を「乱用」しているのではという気さえする。政権交代を「革命だ」とはしゃぐ民主党議員も何人かいた。「革命」だから、何をやってもいいという意味だろうか。
さすがに参院選後には「謙虚で慎重な姿勢がわれわれに足りなかった」(原口一博総務相)といった「反省」も聞かれる。だがそれも、政権を担う真の自覚に基づくのかわからない。
今更ではあるが、日本には「実る稲田は頭垂(あたまた)る」という立派なことわざがある。