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【風の間に間に】論説委員・皿木喜久 「権力」に酔った揚げ句 (1/2ページ)
このニュースのトピックス:民主党
政権交代からまだ10カ月というのに、民主党は膨大な国民の信頼と支持をなくしてしまった。
参院選の敗北をめぐり、菅直人首相自身が認めたように、消費税率アップを唐突に持ち出したためとの見方がある。前首相と前幹事長の「政治とカネ」や普天間飛行場問題の迷走もあった。だがそのせいだけではあるまい。
もっと根本にあるこの政権の体質、初めて権力を手にした者の傲慢(ごうまん)さのようなものが、国民に見透かされ、嫌われた。そんな気がしてならないのだ。
昨年9月の政権発足で、内閣や与党民主党の中枢に座ったのは、小沢一郎幹事長らを除き、それまで国家権力とは遠い距離にあった人たちだった。ほとんど野党暮らしだったからである。
ところがその瞬間から、権力のうまみを嫌というほど味わうことになる。
野党時代は歯牙にもかけてくれなかった官僚たちが、平身低頭で従ってくれる。自民党支持だったはずの業界団体が次々とすり寄ってくる。マスコミへの露出も格段に増えた。
たちまち、政府・与党のみんながこの権力という蜜(みつ)の味に酔ってしまった。
鳩山由紀夫首相は、国会で自民党に財政政策を批判されて「あなた方には言われたくない」と「暴言」をはく。菅直人副総理ら閣僚にも、野党の質問者を小バカにしたような答弁が目立った。
政策面でもそうだ。政権発足直後、群馬県の八ツ場ダム建設問題では「マニフェストに書いてあるから」の一点張りで、地元の声を抹殺して建設ストップを決める。事業仕分けも、ほとんど「問答無用」である。
極めつきは昨年12月、天皇陛下と来日した習近平中国副主席との会見問題だった。