2007年の選挙
重み増す公明票 自民とバーター協力 2007/7/24 00:00
五月二十七日、自民党徳島県連の定期大会に訪れた中川秀直党幹事長は大会後、徳島市内のあるホテルに向かった。自民党県連が用意したホテルの一室には、公明党県本部の長尾代表、大西章英幹事長の両県議、同党の支持母体である創価学会の幹部が待っていた。 「大変だと思いますが、選挙区よろしくお願いします」。中川幹事長が選挙協力を切り出すと、公明サイドは「うちは基本的にバーターですので、ぜひとも幹事長から県連に伝えてほしい」。中川氏は快諾し、会談は二十分ほどで終わった。 それから間もない六月五日、県郷土文化会館で開かれた公明党時局講演会に北岡さんの姿があった。比例代表に公明党公認で出馬する山本博司さんの事実上の決起大会。北岡さんは、詰め掛けた公明支持者に訴えた。「この厳しい状況の中、皆さまにぜひともお助けいただきたい。私も力いっぱい山本先生を支援させていただき、ともども勝利したい」。二日後、公明党は北岡さん推薦を正式決定した。 選挙区で公明が自民候補を支援し、比例代表で自民が公明に投票する「バーター」。この選挙協力は、自公連立政権が発足した一九九九年十月以降、選挙のたびに行われてきた。今選挙でも、公明が北岡さんを支援する見返りに、北岡さんら県関係の国会議員六人が公明の比例候補の票をとりまとめる約束が交わされた。 県選出の自民党国会議員の一人は「前回衆院選を上回る公明への票を要求された」とこぼす。公明党県本部の関係者は言う。「徳島選挙区の自民候補は四万の公明票が加算される一方、自民から公明の比例候補に流れる票は二万にも及ばない。これでは支持者から文句が出るんです」 接戦になればなるほど重みを増す公明票。自民県連幹部は「公明と選挙協力することで離れていく票も多い。ただ、バーター協力が常態化し、公明の支援のない選挙は考えられなくなった」と話す。 一方、民主の中谷陣営は自公選挙協力を痛烈に批判する。今月八日、徳島駅前で街頭演説した仙谷由人代議士は「公明党という中途半端ないんちきな政党がいる。何が平和の党だ。何が福祉の党だ。どこかから命令が下りたら三日間で五万票が動く。こんなでたらめな民主主義があるか」。 花岡陣営の選対本部長の上村秀明共産党県委員長は「自公の選挙協力は無節操な取引だ」とけん制する。「自民の支持基盤が崩れ、自力では勝利がおぼつかなくなった証拠だ。一方、公明は前回衆院選で自分たちの票を得るために郵政造反組とも手を組んだことから分かるように、政策で協力して政治を進めようという考えは毛頭ない」と反発している。
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