〔チャイナマネー〕中国への海外資本流入減で、人民銀行のオペに変化も
[上海 14日 ロイター] 中国の金融市場では海外からの資本流入が減少しているため、流動性のひっ迫が長期化する可能性がある。その結果、金融市場の金利が高止まりし中国人民銀行(中央銀行)は、資金吸収オペを資金供給オペに切り替えざるを得なくかもしれない。
公式データによると、不動産セクターの過熱防止策と株式市場の低迷を受け、海外資本の流入が著しく鈍化。人民銀行は過去10年に比べ外貨の購入ペースを落とし、銀行システムへの人民元供給額を絞っている。
エコノミストは、この傾向がすぐに変化するとは見込んでいない。そのため、大手銀行の大規模な資本調達や株式発行によって過去2カ月に生じた資金ひっ迫が、一時的な現象にはとどまらないとの見方が広がっている。
ファースト・キャピタル証券のエコノミスト、Wang Haoyu氏は「5月以降、中国への資本流入が急激に鈍化している明確な兆しがある」としたうえで、「人民銀行が最近大規模な資金供給を行っているにもかかわらず、マネーマーケットにおける流動性の低下トレンドに歯止めがかかっていない」と指摘している。
外貨買い入れに関するリポートによると、人民銀行や金融機関が6月に外貨を吸収するために投じた資金は、わずか1170億元(170億ドル)にとどまった。これは5月の1320億元、上半期の平均である2140億元を大幅に下回る水準で、金融危機のさなかだった2008年11月以来の低水準となる。
流動性のひっ迫により、マネーマーケットの流動性を測る指標とされる7日物債券レポ金利の加重平均CN7DRP=CFXSは、2%あるいは2%を上回る水準を維持すると予想されている。この金利は5月末ころまで1.8%以下、昨年は1.5%以下の水準で推移していた。
トレーダーは、政策金利の早期引き上げや全般的な金融政策スタンスの変更は予想していないものの、人民銀行手形の利回り<0#CNTBFIXBMK=>も上昇するケースがたびたび起きると見込んでいる。
人民銀行のオペについても変化が現れるとの見方が出ている。
ファースト・キャピタル証券のWang氏は「資本流入の減少により、人民銀行は今後、流動性管理の方向性を変更せざるを得なくなる可能性がある」と指摘する。
人民銀行は過去数年にわたり、大量の外貨購入によって生じた過剰流動性を吸収してきたが、体系的に市場に流動性を供給するオペの実施を求める圧力が高まりそうだ。
今後数年間は、人民銀行は満期を迎えた手形をロールオーバーせず、発行額を徐々に減らしていく可能性があるが、長期的には、民間銀行からの債券買い入れやレポを通じて資金を供給していくことが必要となりそうだ。
外貨買い入れに関するグラフは、以下のアドレスをクリックしてご覧ください・
(Lu Jianxin、Jacqueline Wong 記者: 翻訳 長谷部正敬)
© Thomson Reuters 2010 All rights reserved.
米景気下振れリスクで株安
FOMC議事録で米景気下振れへの警戒感が強まり、株高の持続性に懐疑的な見方が浮上している。 記事の全文