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[毎日社説] 社説:またか朝青龍 厳正さ試される新体制
[毎日社説] 社説:またか朝青龍 厳正さ試される新体制
お騒がせ横綱・朝青龍がまたまたトラブルを引き起こした。
歴代単独3位の25度目の優勝を飾った初場所中の今月16日未明、酒に酔った朝青龍が飲食店で働く知人男性に暴行し、鼻の骨を折る1カ月の重傷を負わせていたことが場所後にわかった。
当初、「暴行を受けたのは朝青龍の個人マネジャーで、けがもしていない」と朝青龍サイドは説明、師匠の高砂親方も日本相撲協会の武蔵川理事長に同様の報告をしていたようだ。ところが暴行を受けたのは別人で、しかもけがをさせていた。刑事事件に発展する可能性もある。
プロの格闘家である横綱が「身内をこづいた」のと「第三者にけがをさせた」のでは大違いだ。穏便に処理してしまおうと虚偽の説明をしていたとしたら悪質度は増す。高砂親方が虚偽報告に積極的に加担したとは考えにくいが、いずれにせよ師匠としての責任は免れない。
事件が起きたのは午前4時ごろだという。本場所中、そんな時間まで横綱が酒を飲んで遊び回っていたことにあきれてしまう。たまたまその日に限って深酒したのか、それとも連夜の乱行だったのか。知人とはどんな交友関係だったのか。協会に虚偽の報告をした背景に別の事情があるのではないかなど、疑い始めるとさまざま疑問がわいてくる。
朝青龍は3年前、けがの治療を口実に夏巡業をサボってモンゴルに里帰りし、サッカーに興じていたことが判明し、横綱としては前代未聞の2場所出場停止、減俸30%の重い処分を受けた。高砂親方も監督不行き届きで減俸処分を受け、翌年の改選期に理事再任を辞退している。
ところが朝青龍はその後も横綱の品格を疑わせるトラブルを再三起こしている。「朝青龍に対する協会の対応は甘すぎる」。朝青龍の不行跡のたび厳しい言葉を投げ続け、今月25日限りで横綱審議委員を退任した内館牧子さんは横審委員としての最後の発言も朝青龍問題だった。
7年前の1月29日、横綱推挙を伝える協会の使者に朝青龍はこう言った。「横綱として相撲道発展のために一生懸命頑張ります」。間違えないよう何度も練習した成果が出て途切れることなく流ちょうに言い切ることができた。その時の口上を、朝青龍本人と、隣で正座して聞いた師匠もすっかり忘れてしまったのだろうか。
折から協会は2年に1度の理事選挙のさなかである。過去3期連続で無投票だったが、今回は定数10に対し11人が立候補し、02年以来8年ぶりに投票が行われる。看板横綱の不祥事を徹底的に調査し、協会として厳正に対処できるか。2月1日に発足する新体制は早速試される。
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