「大相撲名古屋場所4日目」(14日、愛知県体育館)
横綱白鵬が阿覧を寄り切りで退け、初日から4連勝。初場所14日目からの連勝を「36」まで伸ばし“角聖”双葉山(元横綱)が1944年に達成した史上4位の記録に並んだ。また朝青龍を抜いて、平成では最多の連勝記録となった。存亡の危機に揺らぐ角界を、一人横綱が力強くけん引する。大関琴欧洲も無キズ4連勝。全勝は平幕の鶴竜、豊真将の4人となった。
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白鵬が盤石の相撲で、連勝記録をまた一つ伸ばした。鋭く踏み込んでもろ差しを奪い、右下手投げで阿覧の体勢を崩す。がっぷりの右四つに組み合うと、豪快につり上げながら寄り立てた。会心の力相撲に「最後は落ち着いてつりましたね」と満足げに息をついた。
初場所14日目から続く連勝街道は、まだまだ止まりそうにない。この日の勝利で36連勝となり、双葉山が1942年から44年にかけて達成した史上4位の記録に並んだ。かねて目標の力士として挙げる“角聖”と肩を並べ、「ヘヘッ、光栄です」と顔をほころばせた。朝青龍を抜いて平成では最多連勝となり、「そう言われたらね。うれしい限りであります」と、さらに相好を崩した。
今場所13日目まで勝ち続ければ、大鵬の45連勝に並ぶ。さらには、双葉山が持つ“不滅の大記録”更新にも期待がかかる。双葉山が69連勝を達成したのは、23歳から26歳にかけて。25歳4カ月の白鵬は「今が旬か?」と問われると、「そういうことになるでしょうね」と即答。黄金時代到来への手応えを、十分に感じ取っている。
場所前の混迷からは脱しつつある。野球賭博問題で角界は未曾有の危機にひんし、自身も花札賭博への関与が発覚。一度は休場を覚悟するなど、表情は絶えず硬かったが、日がたつごとに和らいできた。「昨日、今日の動きは初日、2日目より動いている」と、調子も上向き気配だ。
土俵入りの際に、観客から「相撲を守ってくれ」と声が上がった。「そういうプレッシャーはありますけど、いい意味で土俵に集中しています」。国技を守り抜くため、横綱が一つ一つ、勝ち星を積み重ねていく。