今年上半期(1~6月)に県警が摘発した暴力団犯罪の件数(暫定値)は113件(摘発人数77人)で、過去5年間で最も件数の多い昨年同期63件(40人)の約2倍になることが13日、県警暴力団対策課への取材で分かった。下期になって増加傾向を示した昨年1年間の224件(156人)を上回るペースで推移している。県警は暴力団の資金源となる犯罪が増えているとみて各自治体や企業などと連携した取り締まりを強化。9月の県議会定例会に「県暴力団排除条例」を提案する方針だ。(吉川毅)
今年上半期の暴力団犯罪をみると、暴力団の資金源につながる犯罪が増加。特に覚せい剤取締法違反の摘発が17件・9人で、前年同期比7件・3人の2倍以上。県警は、覚せい剤取引が新たな犯罪の資金源になったり、暴力団などの犯罪組織に吸い上げられたりする恐れがあるとして警戒を強めている。
また、県警は今年2~5月にかけて、伊是名村で不正に住民票を異動させていたとして、電磁的公正証書原本不実記録・同供用の容疑で暴力団組員ら13人を逮捕。そのほか、けん銃3丁と実弾数十発を南風原町内の民家に保管していた銃刀法違反(所持)容疑や、虚偽の登記簿を用いて金融機関から約3千万円をだまし取った詐欺容疑で、それぞれ暴力団幹部が逮捕される事犯もあった。
県警のまとめでは、暴力団の摘発は、2005年が149件(127人)、06年が166件(140人)、07年が133件(114人)、08年が172件(160人)で、この5年間は増加傾向にある。
県警暴力団対策課は「県内でも、多くの暴力団員が活動を続けている。暴力団と取引する事業者を根絶し、資金源を絶つことが重要だ」として、暴力団排除条例の策定を急いでいる。条例には、暴力団の威力を利用した事業契約の禁止や暴力団から危害を加えられる恐れがある人の保護などが盛り込まれる予定。
県警によると、暴力団対策法で規定する県内の指定暴力団は2団体。構成員と準構成員を合わせた人数(3月末現在)は、三代目旭琉会が約340人、沖縄旭琉会が約540人。そのほかの暴力団としては、東亜会誼興業が約30人となっている。
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暴力団排除条例 暴力団を排除するための総合的な条例として、今年4月に全国で初めて福岡県で施行され、6月に初適用された。民間事業者が商取引を通じて暴力団に利益供与することを禁じ、悪質な違反に刑事罰を科すことが定められている。愛媛県は罰則なしで8月に施行する。