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選挙:参院選 日医の組織力、急落 3候補全員落選、特定政党支援から撤退も

 日本医師会(日医)の政治団体「日本医師連盟」(日医連)が参院選比例代表で推薦・支援した3候補がいずれも落選し、74年以来守ってきた「組織内議員」の議席を失った。しかも、3人合わせても07年に落選した武見敬三氏1人分の得票に及ばず、組織力の急落ぶりを印象づけた。親民主を掲げた原中勝征会長(日医連委員長)と反原中派による分裂選挙の末の敗北は、医師会内に大きな傷を残した。【鈴木直】

 14日の会見で日医連は「今後は、政府与党および野党に対しても力強い働きかけを行っていく所存です」とする原中委員長名のコメントを発表し、「民主支持一辺倒」の姿勢を改めた。横倉義武副委員長は「一党に偏することなく私たちの医療政策を理解する与野党の国会議員を支援する」と述べ、今後組織を挙げて推す候補を擁立しない可能性に触れた。原中氏は「都合がつかなかった」(横倉氏)との理由で、会見に姿を見せなかった。

 かつて日医は政府の医療政策を左右した。初めて参院選旧全国区に擁立した組織内候補は74年。77年に福島茂夫氏が日医史上最高の127万票を獲得した。その後も80万票程度を集め2議席を維持し、非拘束名簿式が導入された01年以降も一定の集票力を示した。

 しかし、会員の政治意識が変わりトップダウンの縛りが利かなくなったのは日医とて例外ではない。07年には武見氏が20万票を割り込んで落選した。今回は、民主公認の安藤高夫氏、自民公認の西島英利氏、みんな公認の清水鴻一郎氏の合計得票でも武見票より1万6000票少ない。同じ医療系業界団体の日本歯科医師連盟などが候補を1人に絞り議席を確保したのとは対照的な結果となった。

 今後は民主支持にかじを切ろうとし、支持候補の分裂を招いた原中氏に対する責任論が噴き出すのは確実だ。3人の推薦・支援を決定した5月の執行委員会では、「3人とも落選したらどう責任を取るのか」とただされ、原中氏は返答に窮した。西島氏を支援したある県の医師会長は「原中氏の責任を追及する」と意気込む。

 原中氏は今後の政治活動方針について、「是々非々」を強調する。しかし、ある日医関係者は「力のない団体の要望など政党が聞くわけがない」と話した。

毎日新聞 2010年7月15日 東京朝刊

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