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国会議員削減 拡散する民意どうする


 参院選は結局、みんなの党に代表される第三極の勝利だったと言えるのではないか。大敗した民主党はもちろん、改選第1党となった自民党も比例代表の得票率は大幅に減らした。

 民主党は前回に比べて8ポイント減の31・56%、自民党も4ポイント減の24・07%。二大政党の合計は55・63%にすぎない。前回2007年からは実に12ポイントの減少となった。

 一方、第三極を目指す新党は、みんなの党の13・59%を筆頭に、たちあがれ日本、新党改革も2%余を得て議席を獲得した。古くからの第三極も公明党13・07%、共産党6・10%、社民党3・84%と一定の存在感を示した。

 最近の国政選挙では、二大政党以外の得票率は30%余りにとどまっていたが、今回は一気に40%台まで急増した。いかに民意が拡散したかが分かる。

 有権者の選択基準が、それだけ多様化しているということだ。民主、自民という二者択一の枠に収まらない少数意見が常にあることを認識しなければならない。

 今度の参院選では、主要9政党のうち、6政党が国会議員定数の削減を掲げた。

 民主は参院定数を40程度、衆院の比例定数を80削減。自民は6年後に両院の3割を削減し、合わせて500人にするとした。

 みんなの党、たちあがれ日本、新党改革も大幅削減をうたい、公明は民意を反映する制度にした上で削減すると主張した。

 選挙の大きな焦点は、待ったなしの財政再建だった。各党ともムダを排除することに重点を置き、まずは「身を切る」姿勢を有権者に示したものだろう。

 これからその動きが加速するかは分からない。だが、国会議員の削減と、多様な民意をくみ取ることが両立するかは疑問だ。現行の選挙制度では少数政党はさらに議席獲得が難しくなる。

 特に民主が主張する衆院の比例代表削減は、それに拍車を掛ける。目標は二大政党制だとしても、第三極が大きく票を伸ばした今回の選挙結果を見れば、あまりに乱暴すぎないか。

 二大政党制のお手本とする英国では、下院で単純小選挙区制を採用しているが、選挙制度の是非を問う国民投票を来年行う予定だ。

 5月の総選挙で第三極の自由民主党は労働党の29%に迫る23%の得票を得ながら、議席はわずか8%。労働党の5分の1にとどまり、大量の死に票が問題となった。

 二大政党だけですべての国民の「受け皿」になれないことは、わが国も変わらない。性急な削減論の前に、多様な民意をできるだけくみ取ることのできるシステムの議論が必要だ。

 政治は、いまだに「政治とカネ」の問題から抜け出せない。国会のムダ削減を言うならば、企業・団体献金に頼らないためにつくった政党助成金をなくした方がよほどすっきりする。

村井康典(2010.7.14)

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