今朝の産経新聞は1面トップで、「参院議長ポスト大混乱」という記事を載せています。先の通常国会で民主党の強引かつ強権的な国会運営を容認し、あまつさえ首相問責決議案の採決を行わないために参院本会議を開かないという禁じ手まで使った江田五月議長(この人も北朝鮮工作員のシン・ガンス元死刑囚の釈放嘆願書に署名しています)を替えるということまでは、各党おおむね一致していますが、問題は次が誰になるかですね。
で、私はかねがね、このブログや産経紙面、他媒体などで、民主党の小沢一郎前幹事長が、参院議長ポストについて「今回の参院選で当選さえすれば、輿石東参院議員会長がなる」と〝約束〟していることを指摘してきました。
そうなれば、横路孝弘衆院議長(父の節雄氏は北海道教職員組合の結成に携わり、日教組副委員長も務めた)と合わせて、衆参両院議長を日教組の組織内議員が独占するという異常事態が出現することも繰り返し書いてきました。
衆参両院議長は、首相、最高裁長官と並ぶ日本国の「三権の長」であり、皇室会議のメンバーにもなります。その4人のうち2人までも、長年、国旗・国家反対運動を続けて国を貶め続けてきた日教組という特定政治団体の組織内議員が占めるわけです。こんな笑えない喜劇は滅多にありません。こんなことを国民が望むでしょうか?
実際、輿石氏は3700票という僅差で勝利しました。ただ、与党は参院で過半数の議席を失ったので、議長ポストは野党が獲りに行くだろうと少し安心していたら、公明党がひよりました。
山口那津男代表は12日、「(比較第一党の)民主党から議長を出すべきだ」と表明したのです。みんなの党の渡辺喜美代表が真っ先に、議長は野党から出そうと呼びかけていたにもかかわらず、です。
この山口代表の姿勢を見て、私は今年3月に覚えた「嫌な予感」を思い出しました。ある意味、「点」が「線」としてつながったなと。
それは、2月26日に、小沢氏が都内のホテルで公明党の支持母体である創価学会の首脳クラスと会談し、その席に輿石氏が同席していた件です。産経は3月2日付の紙面でこれについて「参院選後の民主党と公明党との連携も視野に入れながら、選挙協力の可能性についても意見交換したとみられる」と報じていました。
私個人は、「北教組による違法献金事件などで選挙が苦しくなった輿石氏が、何らかの譲歩、歩み寄りを条件に学会に票提供を要請したのではないか」と思っていました。実に嫌な感じだと。
それから4カ月余りがたち、昨日、ネットで読売新聞の山梨県版を見たところ、「山教組弱体化 業界、公明票が穴埋め」という記事が掲載されていました。以下、一部引用します。
《… 3745票の僅差(きんさ)で3選を果たした輿石氏の支持組織の中核は、出身母体でもある山教組だ。
山教組には「3日選挙」の伝説がある。「劣勢な選挙も短期間でひっくり返す」ほどの組織力を持つというわけだ。
だが、北海道教職員組合の違法献金事件などで、「先生と選挙」への世間の視線は厳しくなり、今回の参院選は、現職教諭の動きは鈍った。代わって法的に選挙活動の制限がないOBを中心に活動したが、結果は自民党の新人、宮川典子氏(31)にぎりぎりまで追いつめられた。
輿石氏陣営は今回、別の組織票を頼った。公明票だ。
「バーターしませんか」
輿石陣営幹部が複数の公明党議員らの自宅を訪ね歩いていた。同党が山梨選挙区の「自主投票」を表明した6月17日以降のことだ。
輿石陣営が「比例は公明」を指示する代わりに、公明支持者に「選挙区は輿石」を依頼するという非公式の選挙協力の打診だった。
ある公明党市議は証言する。「バーターに応じた。自民党側からは何の働きかけもなかったから」
読売新聞の参院選出口調査にも「バーター」の効果が見て取れる。公明支持層の約5割が宮川氏、2割以上は輿石氏に投票していた。今回、公明党の比例選の得票は4万7646票に上った。(中略)
だが、山教組幹部は意気盛んだ。「宮川氏を支持した自民党県議は来春の県議選で落選させる。選挙の恨みは選挙で晴らす」
山教組が再び「選挙集団」に戻るのかどうか。それを決めるのは現職教諭たちだ。》
…他紙の記事ですし、これが全く正しいかどうかは断言できませんが、「なるほど、やはりな」と頷けました。山教組のいやらしさがよくにじみ出ています。そしてまた、こういう選挙協力の実態があればこそ、山口代表の「議長は民主党から」発言が飛び出したのかな、とも考えさせられます。そりゃ、せっかくの輿石氏とのパイプは手放したくないでしょう。
そしてまた、そういういやらしさは、自民党側も似たようなものでした。読売の記事にもあるように、今回の選挙戦で、自民党県連は人にもよりますがおおむね消極的な活動しかしていません。
「新人の宮川氏が勝つより、むしろ与党大幹部として中央政府に強い影響力を持つ輿石氏が勝ってくれた方が助かる」という自民党系首長の話も聞いています。
民主も公明も自民も、そして行政もなれ合い、もたれ合っていて、その構図を輿石氏や教職員組合が利用しているという構図です。だからこそ、私は山梨県の政治・行政は古い日本政治の縮図であり、宿痾であると思い繰り返し取り上げてきたわけですし、今回もそこに風穴を開けてほしいと願っていましたが、果たされませんでした。
しっかし、それが政治の常とはいえ、公明党のやり方には神経を逆撫でするものがありますね。いつもきれいごとばかり唱える党ですが、結局、発想にあるのは組織維持だけで、国民のことなど毫も考えていやしない…。
公明党は、今年1月の人事でも、政界から引退していた小沢氏に近い市川雄一元書記長をわざわざ常任顧問に起用して将来の連携の準備をするなど、ホント、利にさとい露骨な党であります。
by siegfried
点が線へとつながった輿石氏の…