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法律と実態、危機意識… 知事と農相深まる溝
(2010年7月14日付)
高鍋町の民間種雄牛救済をめぐり、13日も平行線が続いた東国原知事と山田正彦農相。東国原知事は先週末から政府与党、特に山田農相への批判を強めている。10日には自身のブログで、5千字近くに及ぶ長文で山田農相への苦言を展開。13日の上京前には記者団に「子供のけんかはしたくない」と語ったものの、会談は物別れに終わり、溝は深まるばかりだ。
山田農相は6月23日、宮崎日日新聞社の単独インタビューで感染拡大について「第一義的には県の責任」と言明。今月7日には種雄牛の救済問題で「危機意識が県に足りないのではないかという気がしている」と非難した。
東国原知事は9日、参院選の応援で全国を回る山田農相に会談を求めながらも実現しないことにいら立ち、「らちが明かない。政府対策本部長の菅首相のところに直談判に行きたい」と“頭越し”の交渉も示唆。さらに「法定伝染病は国の責任でやってほしい」と不満を爆発させた。
山田農相が同日、「県の甘さがこれだけの被害を生んだと言ってもいいのではないか」と反論すると、東国原知事は翌日のブログで応酬。前任の赤松広隆前農相が再任を辞退した件に触れ、「なぜ連帯責任で辞めなかったのか不思議」とやり返した。
東国原知事の一連の不満には山田農相の言動以外にも要因がある。口蹄疫対策特別措置法で費用の国負担が「全部または一部」と明記された点だ。12日には「よく国会で通しますよね。どういう見識してんだろう」と怒りの矛先は国会にも向けられた。
口蹄疫対策で県は多額の基金を取り崩しており、国から12月にも交付される特別交付税(特交)での穴埋めを見込んでいる。しかし、特交の総枠は約1200億円。他県で大規模災害が発生した場合などは、それに充てる必要もあり、県が当て込む147億円が全額手当てされるか不透明だ。「県の財政がつぶれる」と東国原知事はこぼす。
山田農相は13日の会見で「違法な状態を、知事はあえてやっているということにしかならない」とあらためて批判。東国原知事は「実態に合わない」と家畜伝染病予防法や特措法の不備を指摘し、柔軟な対応を求める姿勢を崩さない。児湯地域の移動・搬出制限解除予定が16日に迫る中、両者が歩み寄る気配はない。
【写真】口蹄疫問題で、山田農相との会談を終え厳しい表情で記者会見する東国原知事(右)と会談後に記者会見する山田農相=13日午後、農水省