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【連載企画】口蹄疫波紋・交通

(2010年7月13日)

 口蹄疫の非常事態宣言(5月18日)で停滞した人の流れは、県内の交通機関を直撃している。

 飛行機や貸し切りバスはキャンセルが相次ぎ、ガソリンスタンド(GS)の売り上げも減少。書き入れ時となる夏休みを前に、関係者は一日も早い回復を願う。

 県外からの客足が遠のいたことで大きな打撃を受けているのが空の便。スカイネットアジア航空(SNA)の宮崎発着便は、6月末までに約1600席がキャンセルされた。全日空(ANA)でも、発生から6月末までに約1万席の予約が消えたという。

 日本航空(JAL)は、本県関係主要路線の6月の搭乗者数は93〜95%(前年同月比)と低い下げ幅にとどまっているが、7月の東京発宮崎行きの団体予約は50%台(同)となる見込み。繁忙期の落ち込みに、「非常に厳しい。すべてが口蹄疫の影響かは分からないが、宮崎への旅行を延期しているのではないか」と懸念する。

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 影響は陸や海にも及ぶ。宮崎交通の貸し切りバスは、4〜9月のキャンセルが約530台に上り、約4千万円の減収。旅行部門全体でも同時期の取り消し・延期は約300件、販売額が約1億8千万円減った。みやこタクシー(宮崎市)も遠足や旅行などの中止が続き、5、6月の売り上げは前年同期比40%減となった。

 JRも5月の大型連休以降、近距離の乗客が減少。5月は前年同月比3・7%減、6月は同11%減と底が見えない。宮崎カーフェリーは発生から6月20日までに団体などを中心に約2200人のキャンセルがあり、損失は約1400万円に上るという。

 ガソリンもふるわない。約450カ所のガソリンスタンドが加盟する県石油商業組合(竹井左馬之亮理事長)は、県内全域で売り上げが2割程度減っていると予測。「こんなに極端に落ち込んだことは経験したことがない」と嘆く。

 西日本宇佐美九州支店10号新富SSの服部誠店長は、「県外ナンバーは半分以下になり、宮崎市から(児湯方面へ)来る車もめちゃくちゃ減った。でも、口蹄疫は仕方ない。どうしようもできない」。

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 タクシー、代行の利用も減り続ける。フラワー代行運転(宮崎市)は、1日の台数を減らしたり、居酒屋に割引券を置くなど営業努力を続けるが、黒字は見えない。新坂龍正代表(58)は「6月は過去最悪。限界が近い」と頭を抱える。

 繁華街から乗車する客が大半を占める宮崎第一交通タクシー(同市)もダメージは大きいが、「終息後に利用してもらえるよう、しっかりしたサービスが大事。今は踏ん張り時」と忍耐強く終息を待っている。   (随時掲載)

【写真】口蹄疫は県内の交通機関も直撃。客足が遠のいた宮崎市の繁華街・ニシタチでは客待ちのタクシーが並んでいる