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国税訴訟と裁判管轄

2010-05-22 19:40:08 curialeの投稿
テーマ:ブログ

国税訴訟と裁判管轄

-国税訴訟の被告は誰か-


国税裁判の被告は税務署長ではありません。平成17 年4月1日施行の新行政事件訴訟法によると、処分行政庁が国の機関の場合には被告はすべて国となります。
また、「国の利害に係る訴訟についての法務大臣の権限法」というのがあって、国を相手にするときは、すべて法務大臣が代理人(実際は法務大臣が指名した者=訟務検事ほかの公務員)になることになっており、被告代理人のところには5,6名の名前が書かれます。
前記の施行日以後の判決をみると、それまで「被告 〇〇税務署長」とされていた部分は「被告 国」「上記代表者法務大臣 〇〇〇〇」「処分行政庁 ××税務署長 △△△△」と記されています。

-原則的な管轄裁判所は東京地裁-


行政事件訴訟法は被告所在地管轄裁判所を原則的な訴訟提起裁判所と規定しています。従って、被告は国なので、全国で発生するすべての国税訴訟の訴訟提起先は首都東京を管轄する東京地方裁判所ということになります。

-処分税務署を管轄する裁判所にも-


しかし、すべての税務訴訟が東京地裁に限定されるということは、地方の原告にとって事実上裁判の途が閉ざされるということでもあるので、当然ながら地元裁判所への提起も可能とされています。
よって通常の場合は、処分行政庁である××税務署所在の管轄地方裁判所が原則的訴訟提起先となります。

-さらにもう一つ訴える先がある-


前記の施行日以後のことですが、管轄裁判所が拡大され、被告側の管轄ではなく、原告在住地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも訴訟提起できることとされました。
なお、これは訴える側の任意の選択肢でもあるので、例えば、京都市在住の原告が京都下京税務署長の処分の取消訴訟を提起する場合は、東京地裁、京都地裁だけでなく、原告在住地管轄高裁が大阪高裁なので、その地を管轄する地裁たる大阪地裁に訴えてもかまわない、と言い直せることでもあります。
また、過去3年分に亘っての更正処分について取消訴訟をする場合、有利判決を期待できる裁判所への移送の可能性を視野に入れつつ、異なる裁判所に年次別に提起するという試みもあることになります。


裁判を勝つための、戦略(法廷前)と戦術(法廷内)に関して、法廷前であれば無料相談に応じれます。

日々の疑問など、お気軽にお問い合わせください。


※ 出典 エムエムアイ daily コラム


相続税課題納付で市役所に国家賠償責任(税務署のツケを市役所が支払!?)

2010-05-22 18:49:17 curialeの投稿
テーマ:ブログ

「相続税過大納付で市役所に国家賠償法の責任」

最高裁で勝ってしまった (H21.10.2)

共産党から自民党まで全ての市議会会派が市長を支持した裁判での敗訴が最高裁で最終的に確定しました。

勝ったのは一納税者です。負けたのは鎌倉市です。

この事件は、固定資産税評価額が過大だったことにより、相続税が過大納付になってしまったことに対し、市長に過大納付相続税分の損害賠償を請求したものです。

「税務署の仇を市役所に討つ」


発端は、相続税の申告の12 年経過後に、土地の固定資産税評価額がどうみても高すぎるように思い、市役所に調査依頼をしたことです。

その結果、市役所は評価上の色々な補正割合の適用に原則的な誤りがあることを発見し、12 年前からの評価額を洗い直し、固定資産評価審査委員会の決定に基づき12 年前から過大納付であった固定資産税を返還しました。


調査依頼人は同時に、12 年前の相続税の申告と納付についても、新しく修正された12 年前の土地の固定資産税評価額に基づき、相続税評価額を計算し直し、1,956 万円の相続税過大額につき、税務署に対し更正の請求をしました。

しかし、税務署は、更正可能期間が既に経過しているとして減額修正の請求に応じませんでした。

(脱税などの悪意がない限り更生請求の時効が5年のため)

それで、市長に対して国家賠償法上の請求を提起したわけです。

そもそも、税務署が市の誤った評価に基づいて課税したのですから、その基の判断をした市に責任を取ってもらおうとしたのです。


国家賠償法

第1条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

市という団体を代表しているのが市長なので市長が訴えられています。


当然にこれは係争となり、裁判にもちこまれました。


「大岡裁きの連続」


平18-05-17 横浜地裁 認容・鎌倉市控訴
平19-09-26 東京高裁 棄却・鎌倉市上告
平21-10-02 最高裁 上告棄却

地裁判決は、市は守るべき規範である評価基準等に従って評価額を決定すべきにもかかわらず、職務上通常尽くすべき注意義務を怠り漫然とそれをしていたのだから、国家賠償法上の過失及び違法性が認められる、としました。

税務署が過納税金を返えしてくれないから市役所に腹いせの請求をした、という印象のある事件だったので、地裁での納税者勝訴の判決が出たときには、意外な大岡裁き判決と思われました。
ところが、高裁でも納税者が勝ち、最高裁でも勝ってしまいました。鎌倉市の弁償額は相続税過大額に年5%の利息相当額約1,752 万円を加えた計約3,708 万円です。


住宅・マンションを購入する時の固定資産税評価が間違っていることなど、なかなか疑いようもありませんが、国といえども作業をしているのは一人間です。

その後ずっとその誤った税率が適用されると、相続後の子孫にまで迷惑がかかります。

一度、妥当であるかどうか、調べられてはいかがでしょうか。


簡易調査でよろしければ弊社でもお手伝いさせていただきます。


※ 出典 エムエムアイ daily コラム

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