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2010年6月1日(火曜日)

目に見えない敵との戦争は続く

細かい雨が降り続く。時折激しい風も伴って。
私は川南町の体育館で素裸になりパンツから用意された下着にはき替え、髪もタオルでしっかりと包み、防護服をすっぽりと頭から2重に着込んで、殺処分の現場にやってきた。
大変な作業だ。
現場では、今日も獣医さんが牛に蹴られて病院に担ぎ込まれている。
骨折など怪我も絶え間ない。
これまでに牛だけで1万3000頭、豚でも10万7000頭が殺処分されている。
それでも、新たに発生する患畜、擬似患畜が増えている。さらに殺処分を続けなければならない。
豚1頭の患畜で半日で豚1万頭を感染させるウイルスを発散し続けている。
恐ろしい目に見えない敵との戦争だ。
このままでは日本の畜産の深刻な危機を目の前に迎えている。
この地域にウイルスを完全に封じ込めなければならない。
私は赤松大臣とも相談してワクチン使用もやむを得ないと決断した。
そうなると、今回10キロ圏内の牛、豚にまで、すべてワクチンを接種して殺処分しなければならない。

私の家では、生まれた時から牛が家族の一員として飼われていて、物心ついたころから牛に馴染んできた。
かつて若い頃牛を400頭から飼い、豚だけでも年間8000頭から出荷した私にとっては、まさに苦渋の選択だった。
宮崎の農家にとっても、子牛を小さい頃から育てて、母牛(繁殖牝牛)は家族の一員として大切に育てている。
ことに年配の夫婦にとって生きがいなのだ。私が昨年12月30日に書いたブログ、韓国のドキュメンタリ映画「牛の鈴音」を読んでいただきたい。
映像であの牛の泪をみていただきたい。
これから、ワクチンを接種した10万頭の牛豚を、新たにすべて殺さなければならない。
「私の牛を殺すなら、私から先に埋めて欲しい」
そのような悲痛な叫びもすでに伝わっている。

殺処分の現場で、飼育の担当者から深刻な話を聞いた。
何でも感染した母豚から生まれた子豚16匹は2,3日もせずにすべて死んでしまったそうだ。横たわった豚のヒズメ(爪)が剥がれて赤く血に染まっている。発症しているのだ。

私も見せていただいたが、獣医さんたちが5,6人で子豚を両腕に抱きかかえながら、注射を打つ。子豚は瞬間足と股間をヒクヒクさせてそのまま息絶える。
息絶えた子豚を丁寧にボックスに重ねて置く。
たまらない風景だ。
・・・・・・・・・・・・・・
これ以上書くことはできない。
わかっていただきたい。
宮崎の児湯郡の畜産農家は大変な犠牲を払っている。
なんとしても、この地域だけで口蹄疫ウイルスを封じ込めねばならない。

埋却現場はぬかるんで作業中止との連絡が入った。
雨は一段と激しくなった。


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