一人横綱白鵬(25)=宮城野部屋=は平幕の栃煌山を落ち着いて寄り切り、初場所から続く連勝を自己最多の34に伸ばした。大関陣は魁皇が朝赤龍を寄り切り、日馬富士も小結栃ノ心を寄り切った。琴欧洲は小結白馬を左すくい投げで退けたが、把瑠都は阿覧の注文相撲に送り出されて初黒星を喫した。関脇は稀勢の里が旭天鵬を寄り切り2連勝とし、琴奨菊は安美錦の寄りに屈して2連敗となった。
異常な雰囲気の中、淡々と連勝の自己記録を更新した。白鵬は立ち合いすぐに、栃煌山を得意の右四つに組み止めると、一気に前に出て寄り切り。「いつも通り。自分の形になったから、後は流れでね」と振り返った。
昨年初場所から夏場所にかけてつくった33連勝を上回った。感想を問われて、うすら笑いを浮かべた後、「場所が場所なんで」と口ごもった。だが「自分の持っていたもの(記録)を新しくしたんだから喜ぶべきだよね」と、納得の笑みを浮かべた。
「この2日は体と心が1つになっている」と、集中力をアピール。だが自身も含めた批判や意見がいや応なく目や耳に入ってくる中、平常心を保つのは容易でない。この日は、がらんとした館内が目に飛び込んできた。「地方場所ではまあ(よくあるから)ね。でもそれで気が抜けても。この場所はちゃんとしなければならない場所だから」と動揺を抑えた。
記者が質問したサッカーワールドカップ(W杯)の話にも「優勝アルゼンチン、2位ポルトガルと予想した。ポルトガルと(優勝した)スペインは隣の国だから、まあ近いかな」と応じた。「今までに経験したことはない」というプレッシャーの中、努めて普段と同じように振る舞おうとする白鵬。何事にも動じない、横綱としての真の強さが試されている。 (田中一正)