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麻生も唸った!書家・緒形拳の腕前…夕刊フジ独占秘話

54歳で初個展“54点”完売

 俳優の緒形拳さん(享年71)が生前、あまり周囲に語らなかった書家としての一面を“恩人”が初めて夕刊フジに明かした。演技と同様に味わい深く、歌舞伎役者の坂東玉三郎から麻生太郎首相まで、意外なファンが多かったという。

 緒形さんの書家デビューとなった初個展は1991年10月18−25日、東京・赤坂游ギャラリーで開かれた。当時54歳だった緒形さんの年齢にちなみ、額装、軸装、屏風など54点を展示。30万−120万円の値段がつけられた作品は完売し、大成功を収めた。

 「字を見て、すごく面白いなあと思ったんです。力強くて、味があってね」

 ギャラリーのオーナーで個展をプロデュースした林隆宣氏(55)は、緒形さんの書を初めて見たときの感動をこう振り返る。

 幼少時から筆で字を書くのが好きで、画家で書家の中川一政に師事。89年に雑誌の企画で対談した玉三郎が「色紙がほしい」とリクエスト。その仲介をした編集長が、色紙をひそかに見せた相手が林氏だった。

 翌年8月、緒形さん本人から「作品を見てもらっていいですか」とギャラリーに電話がかかってきた。快諾すると、緒形さんは「今から行きます」と話し、ジャンパーに運動靴というラフな格好で、100点もの作品を持参して現れた。

 「緒形さんはものすごく緊張していて、礼儀正しかった。僕がその中で認めたのは4、5点だけ。それでも緒形さんは、仕事で忙しいはずなのに作品を毎週持ってきて、評価を聞きたがっていた」と林氏。熱意に負け、個展に向けた二人三脚が始まった。

 書についての議論は1日3−4時間にもおよび、緒形さんは作品が認められないと、帰宅後に「なんであれを外すんですか」と電話をかけるほど熱心だった。

 「力強く、ごつごつとした匂いのある作品、緒形さんの役者人生そのものが刻まれた作品を2人で追求しました。延々と議論したけど、緒形さんは年下の僕に終始“ですます調”。ケンカにはならなかった」

 初個展には、一般の書道愛好家に加え、林氏の遠戚で、現首相の麻生太郎氏も駆けつけた。

 「麻生先生は以前から緒形さんのファンだったらしくてね。緒形さんは熱心に書のことを先生に語って、その後、お互いに手紙でやりとりしていたそうです」

 林氏は93年の緒形さんの全国展もプロデュース。緒形さんをパリに連れて行き、「市役所前のキス」などで有名な写真界の巨匠、ロベール・ドアノーに創作風景を撮ってもらった。

 緒形さんに、林氏がつけた肩書は“墨童(ぼくどう)”。「本当に楽しそうに書に取り組む姿を見て、思いついたんです」。

 2人が最後に会ったのは8年前。緒形さんは書について「同じものを繰り返したくない」と語っていたという。林氏は「今思えば、ちょうど肝炎を患うようになった時期。すべての時間を役者として全うしようと思ったのでは」と、ため息をつく。

 ギャラリーには、緒形さんの未公開作品が多数保管されている。林氏は「遺族の方々と相談して、遠くならないうちに展示しようかと考えている」と話している。

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ZAKZAK 2008/10/20

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