石井浩郎氏は圧勝で涙／参院選

　球界に一時代を築いたバットマンが、初の国政選挙で満塁ホームランを打った。自民党から秋田選挙区に立候補した元プロ野球選手の石井浩郎氏（４６）が初当選した。２期目を狙った民主党の鈴木陽悦氏（６１）に１０万票もの大差をつけて圧勝し、石井氏は真っ黒に日焼けした顔に、うっすら涙を浮かべた。「秋田をスポーツを通じて、何とか元気にしたい。国のため秋田のため、自分を捨てる政治家になります」と誓った。

　まったくの素人のまま２月に立候補が決まったが、あいさつ回りに不向きな革靴を履き活動を始め、２日で足が悲鳴を上げた。履き替えたひも靴も履きつぶしながら、４カ月で県を３周して６キロやせた。それでも１５年連続全国最悪の自殺率を減らすには、スポーツを通じた人々の交流が不可欠だとし生涯スポーツの普及を訴え、変革を望む県民の心をつかんだ。

　元プロ野球選手という過去はリセットした。党関係者に「失敗しても球界には戻らない。縁を切って頑張る」と告げ、谷垣総裁にも「できる限り野球の話はしないでください」と言った。「スタートラインに立った。元野球選手の政治家ではなく、昔野球をやっていたらしい政治家と言われるようになりたい」と力を込めた。【村上幸将】

　［2010年7月12日9時52分　紙面から］