「どうか僕に死刑をお願いします」と被告

　社会福祉施設で働く同僚の女性（当時２０）を殺害したとして、殺人の罪に問われた和歌山県串本町の施設作業員下馬歩被告（２５）の裁判員裁判の論告求刑公判が２日、和歌山地裁（柴山智裁判長）であり、下馬被告は最終陳述で「どうか僕に死刑をお願いします」と頭を下げた。

　検察側は論告で「『大嫌い』と言われたから殺害した身勝手極まりない動機」と指摘し、検察側は懲役２０年を求刑した。判決は５日。

　論告に先立ち被害者参加人として、女性の父親が「死をもって償ったとしても、どうしても許せない」と死刑を求める意見陳述をし、同席した母親が涙をぬぐった。

　一方、弁護側は「被告は統合失調症だった」とした上で「積極的に殺害しようとしたわけではない」と懲役１０年を主張した。

　論告などによると、下馬被告は昨年５月、和歌山県串本町の社会福祉施設で、同僚の女性の口に粘着テープを張り、手やビニールひもで首を絞め、窒息死させたとしている。（共同）

　［2010年7月2日21時54分］