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世襲に元アナが挑む、「保守王国」島根

<激戦区ルポ>

 長年続いた「保守王国」が激戦に揺れる。島根選挙区(改選数1)。自民党“参院のドン”青木幹雄氏(76)が突然の病に倒れ、秘書の長男一彦氏(49)が急きょ後継出馬した。世襲を隠さず「青木ブランド」を押し出すが、知名度は不透明。一方、攻める民主党新人は地元テレビ局の元アナウンサー岩田浩岳(ひろたか)氏(34)。取材経験や若さばかりか「地盤、看板なし」を逆にウリにし、市民目線で走り回る。死守したい青木、牙城に迫る岩田。王国で「政権交代」は起きるのか。

 雨が降る6月26日の夕方、島根県東部、雲南市の街頭に青木一彦氏が登場した。髪をぬらしながらビールケースの上に立つと「父青木幹雄の辞退、その後を受け立候補いたしました」と第一声。「本当に厳しい選挙戦ですが、古里島根を守るため、何としてでも勝たなきゃいけない。石にかじりついてでも、24年間父が守った大事な自民党の1議席、しっかり守っていこうと考えております」と必死の表情で続けた。父、そして「世襲」を隠すことのない演説だった。

 人通りも少ない場所だったが、集まった聴衆は100人前後。「父の地盤」の強さが垣間見えた。島根は故竹下登元首相時代から続く保守王国。陣営が配布したパンフレットには「父の背中を見て育ちました」という一文があった。

 突然の出馬だった。幹雄氏が5月13日、脳梗塞(こうそく)で入院。党県連は17日、幹雄氏の秘書を約12年務めた長男一彦氏の後継擁立を発表した。同氏は当初迷ったが「これは運命だ。命懸けで父の議席を守る」と決意したという。

 一彦氏は父の地盤を引き継ぎ、多数の支持団体を固めたとされる。ただ不安要素もある。選対幹部は「非常に厳しい戦いだ。『保守王国』というが、支持層は高齢化しているし、一彦氏の知名度は低い」。実際、不況や公共事業縮減で、幹雄氏の支持組織が弱まっている現状もある。

 翌27日、一彦氏より15歳若い民主党新人岩田氏は、松江市中心部にいた。地元山陰中央テレビの元局アナで、ニュース番組キャスターも務めた「顔」だ。隣に付きそう美女は、同じ元同局アナで、妻の美知さん。取材経験豊富な「現場主義」を打ち出し、キャッチフレーズは「まっすぐ。」。元局アナカップルは「握手5万人、街頭演説5000回」を目標に、二人三脚で県内を走り回っている。

 岩田氏は「本当に厳しい戦い。私は、親族に政治家がいるわけでも、お金、地盤があるわけでもない。でもそういう人たちが今、国造りに参加しているんです!」と演説すると、妻とスポーツタイプの自転車に乗り、遊説に出発した。

 だが「青木ブランド」の牙城は甘くない。岩田氏選対幹部は「まだ追い越してはいない。相手は『参院のドン』の息子。一方、岩田には地盤、看板もない。ゼロからの挑戦なんです」。青木家地元出雲市では、住民からパンフレットを突き返されたこともある。

 王国は終わるのか、死守されるのか。「一彦氏とはほとんど会話できていないはず」(一彦氏選対幹部)という、病床の幹雄氏の胸中はいかに。 【広部玄】

 [2010年7月2日7時32分 紙面から]


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