大阪・ミナミの道頓堀で8日未明、タクシーが暴走して通行人ら計7人が軽傷を負った事故で、タクシー会社が5日前にエンジン回転を制御するバルブやブレーキを乗務点検した際、異常がなかったことが分かった。同社は「年配者によくあるブレーキとアクセルの踏み間違いだろう」と指摘している。現場にブレーキ痕がないことも新たに判明。大阪府警南署も踏み間違いの可能性があるとみて調べている。
事故を起こした牧野元一運転手(73)が勤務する鳩タクシー(堺市北区)によると、牧野運転手は今月3日の乗務後、「エンジンが急に吹けて、おかしい」と申告。同社整備部の乗務点検で異常はなかったが、エンジンの回転数を抑える制御バルブを念のために交換し、その後の乗務でもトラブルはなかった。同社は「この車種で同じような故障は確認されていない。急に回転数が上がって、同時にブレーキも利かなくなることは考えられない」と話す。
タクシーが突っ込んだ観光案内所北側にある歩行者専用の太左衛門(たざえもん)橋(幅4メートル)付近で事故を目撃した複数の通行人らは、「時速30~40キロで橋にノーブレーキで突っ込んでいった」と話している。
しかし、牧野運転手は「ブレーキを踏んでも利かなかった」などと車両トラブルを訴えており、南署は車両鑑定などを進めながら、事故原因の究明を急ぐ。【阿部弘賢、安藤龍朗】
毎日新聞 2010年7月9日 2時30分