空き巣に入ったアパートで火をつけたとして窃盗や放火などの罪に問われた男の裁判員裁判で、東京地裁は放火罪について認定せず、ほかの罪について懲役1年6カ月の実刑判決を言い渡しました。
岡本一義被告は去年9月、東京・葛飾区のアパートに窓ガラスを割って侵入し、現金1000円を盗んだうえ、灯油をまいて火をつけたとして住居侵入と窃盗、放火の罪で起訴されました。放火の罪については物的証拠がなく、岡本被告は否認していました。8日の判決で、東京地裁は「被告が放火の犯人である可能性はかなり高い」と指摘しました。一方で、「犯人と認定するには合理的な疑問が残る」として放火罪を認定せず、懲役7年の求刑に対し、懲役1年6カ月の実刑判決を言い渡しました。
裁判員経験者は判決後の会見で、「白か黒かではなく、グレーと伝えることで問題はないと思う」と述べました。東京地検は「放火の認定がなされなかった点について訴訟手続き及び判決内容を検討し、上級庁とも協議して対応を決めたい」とコメントしています。