イラクやアフガニスタンに展開するアメリカ軍の兵士の多くが精神的な不調を訴えるなか、アメリカ政府は、兵士に対するPTSD=心的外傷後ストレス障害の認定基準を緩和すると発表し、戦闘が長期化するなか、兵士の不満を和らげるねらいがあるものとみられています。
アメリカの退役軍人省は12日、兵士がPTSDの認定を受けるための新たな基準を発表しました。これまでは精神的な不調の原因となった戦闘など、具体的な証拠の提出が求められていましたが、新たな基準では、戦闘地域での任務と専門の医師による診断があればPTSDと認定されることになります。武装勢力によるテロが頻発するイラクやアフガニスタンでは、後方支援の部隊の中にも精神的な不調を訴える兵士が多くおり、今回の基準の緩和によって、こうした兵士に対する認定のための時間が短縮されることになります。アフガニスタンでは先月、これまでで最悪となる60人のアメリカ兵が死亡するなど依然として激しい戦闘が続いており、今回の政府の対応は兵士の不満を和らげるねらいがあるものとみられています。一方、アメリカ国内では、すでに40万人以上の退役軍人がPTSDと認定され、政府の補償を受けているため、基準の緩和によってさらに多額の費用がかかると懸念する声も上がっています。