2000年4月8日放送
東京都中野区・大浦邸

―猫と住む 23坪 和の趣漂う木造家―
1999年4月完成
敷地面積 75平米 (23坪)
延床面積 79平米 (24坪)
木造2階建て
建築費:2290万円 坪単価:96万円


狭い路地に面した住宅密集地。セットバックした部分に緑を植えています。モルタルに丸窓、木の格子がアクセントになっています。

木製の玄関扉は、米松の無垢材。建築家がデザインしたもの。横スリットが入り外の様子がうかがえます。

洗面・浴室の天井・壁・床は全てヒノキ。木の香りが漂い、無垢の肌触りがよく、とても快適です。

アクリルの障子、紙ヒモを編んだクロス畳で猫のツメ対策。壁には猫のツメが滑るMDFを部分的に使っています。


ご主人の書斎兼寝室。隣室との間仕切りの黒い引き戸は建築家のデザイン。


猫用の扉も設けました。玄関が開いている時でも、ここから出入りしているそうです。

階段ホールは、天窓と、障子付のジャロジー窓で、安定感ある光を採り込みました。

階段を上ると正面にキッチン。カウンタータイプで居間が見渡せ、手元が隠れる造りを希望しました。

居間の広さはおよそ8畳。フローリングの床に掘り炬燵をつくり、床暖房も設備しています。

障子戸を開け放てば大空間。天井や床をフラットにつなぐことで居間との一体感を高めました。掘り炬燵の床をはめ、居間の机と合わせれば大人数で使えます。


居間の延長上に6畳のテラス。木製ベンチとコーヒーテーブルを造り付けています。。


建設会社から、猫の家をプレゼントされました。

 大野正博
1948年 東京葛飾柴又生まれ
1966年 都立墨田工業高校卒業
1973年 DON工房設立
1974年 日本大学芸術学部美術学科卒業
連絡先 DON工房 03−3980−6023

猫対策をほどこした建物です。猫たちにも、そして飼い主にも心地よい空間づくりをめざしています。
ちいさな土地のちいさな建物だからこそ、効率よく使えて且つ伸びやかな空間を獲得しなければなりません。洗濯乾燥室をつくって目ざわりな洗濯物を隔離してしまえば、デッキはいつでもリビングの一部となります。とじれば独立する和室も、開いた状態でデザインしておけばワンルーム空間の拡大に貢献します。こうすることで、ちいさな家でも広々と感じさせることができます。
ファサードも路地裏だからこそ光った存在にすべきです。ここでは円窓をつかって自己主張しています。
建築は状況におうじて姿、かたちを変えるものです。

夫婦、お母さん、猫ちゃんたちが穏やかに生活できる建物、落ち着きある建物ですね。機能性も然ることながら、必要に応じて部屋を広くも狭くも使えます。居間を生活の中心として、ここで皆が集って時を共有されている訳ですが、各々の個室も確保し、自分を取り戻す時間も持てるのです。それが、この決して大きくない建物の中で可能なのですね。