京都国立近代美術館のTwitterアカウント「@MoMAKyoto」、担当者解雇に伴い停止に
トゥギャッターのまとめで初めて知ったのですが、京都国立近代美術館のTwitterアカウントが、担当していた職員の解雇に伴い終了になった、という出来事があったそうです。
「わずか8カ月の短い期間でしたが、みなさまのご協力に心から感謝いたします。ありがとうございました」――京都国立近代美術館のTwitterアカウント「@MoMAKyoto」の更新が、7月8日に終了した。4000人以上のフォロワーとこまめに交流しながら情報発信するアカウントで、「国立美術館として先進的な取り組みだったのに」と惜しむ人も多い。
ねとらぼ:「先進的な取り組みだったのに」――惜しまれつつ終了した京都国立近代美術館のTwitter - ITmedia News
トゥギャッターのログはすでに削除されていますが、キャッシュから改めて読み返してみると、
- Twitterアカウントの中の人は主にWebの担当として雇用されていた人。解雇に伴いアカウントは停止
- 停止の大きな理由に館職員の無関心があると指摘。それゆえに自由にやれた面もあったが(契約以上に入れ込んで運用する)現担当者の解雇後、後任はいない
- 停止にあたって抗議メールもあったようだが、Twitterに肯定的だった人への風当たりが強くなる可能性もあり、やめてほしいとのこと
といったことのようです。
国立美術館という非常にお堅そうな施設の職員がネットやTwitterに無関心、というのは何となく想像しやすい事態ですが……。関連して思ったことを2つほど。
定性的な成果をうまく伝えることを考えたい
4000人以上のフォロワーがいて、惜しまれつつの閉鎖となったそうですから、そこには、いくつもの定性的な成果——言ってみれば「いい話」が生まれていたのではないかと想像します。一方で、4000フォロワーほどでは目に見える定量的な成果は出なかったそうで、それもそうだろうな……と想像します。
ソーシャルメディアマーケティングで、いきなり定量的な効果がドンと出ることはまずないことで、担当者はひとつひとつの定性的な「いい話」を成果として大事にして、うまくアピールしていくことも仕事の1つとなるのではないかと思います。
担当者さんは日々「今日はTwitterを見てこういう人が来てくれてこうした出来事があった」というような報告を行い、来館者もアンケートに「Twitteで知りました」とか書いたりして、それでも成果が認められなかったのかもしれません。
先ほどauの「IS01」のテレビCMを見て、Twitter(らしきもの)が大フィーチャーされていることにちょっと驚いたのですが、ソフトバンクモバイルがTwitter対応を謳ったり、ちょっと前に「Twitterドラマ」で売り出したドラマがあったりもして、Twitterはまだまだメジャー方向に進みつつあります。そこらへんもことあるごとに推してみたけど、やっぱり美術館の偉い人には響かなかったのかもしれません。
というか、トゥギャッターのまとめを見た感じだと、成果を認める=人件費増になるという問題があり、しかしWeb担当のポストを6月一杯で廃止すべきという結論が最初にあって、「無関心」のさらに前の問題で停止になっていて、成果をうまくアピールしたらどうこうという問題では全然ないような気もしますが……。
しかし、もう少しネットに理解のある職場であれば、定性的な成果をうまくアピールすることで、状況をよくできる可能性ると考えられます。
では、どうアピールするか。手っ取り早いのは「ソーシャルメディアで発信力のある人に語ってもらい反響を増やす」ということになると思うのですが……。この件に限らず「いいことは語られない(うまく行って当たり前)、問題があった時のみ声を上げる」といった現在の風潮を打破すべく、いいことがあった/してもらった時にこそ声を上がることをひとりひとりが心がけることが第一歩となるかもしれません。
抗議って難しい
アカウント停止に伴い、美術館に抗議メールが届いているという話。これはどういう内容の抗議なのか気になります。
「抗議者 vs. 美術館の人」という対立の図式になるような抗議では、お互いに不幸であり不毛です。「抗議者&美術館の人 vs. Twitterで情報を得られなくて不便だよという問題」という図式になるように話を作れれば、それが実を結ばないまでも「肯定的だった人への風当たりが強くなる」ようなことはなく、むしろそうした人たちを応援できると思います。
そういう書き方をするのは面倒だし、発散的な書き方もできないので書き上げてもたいしてスッキリしないしでなかなか難しいですが、敵の選び方を間違えるとろくなことにならない、という点には気付いておきたいものです。
- 2010.07.13
- [ネット社会]