アメリカ、イラクで白燐弾を使用(BBC)
アメリカ軍は白燐弾をひとつの兵器としてファルージャにて使用したとアメリカ関係当局は語った。
「敵兵に対する焼夷兵器として使われました。」バリー・ベナブル中佐はBBCに「民間人に使われたものではない」としながらも認めた。
アメリカは最初この皮膚を焼け爛れさせる物質を単なる照明弾だとしていた。
BBCの軍事記者のPaul Woodは、このアメリカ当局による(白燐弾の焼夷兵器としての使用を)否定した事実を撤回したことは、アメリカへの世論の風当たりを強めることになろうと語る。
白燐弾が、燃焼する化学兵器ではない、とベナブル中佐は否定する。
アメリカは民間人に対するSubstance(薬物・物質)の使用を制限する条約に調印していない。アメリカ当局は最初白燐弾は、ファルージャで、照明の目的で限定的に使われていたと語っていた。
ベナブル中佐はこの発表について、情報が少なかったため、と理由を述べている。
焼夷弾
バクダッドの西部にあるスンニ派勢力の拠点であるファルージャへのアメリカ主導の攻撃は、30万人の住民を強制退去させ、残された建物の多数は破壊された。
「アメリカ陸軍は白燐弾をターゲット用のものとして主に使っていた」
ベナブル中佐はBBCのラジオ番組で語る。
「しかし、それ(白燐弾)は焼夷兵器であり、敵兵に対して使われたかも知れない。」
そして彼はそれがファルージャで使われていたことを認めるが、「それは通常兵器であって、化学兵器ではない。」とも語った。「禁止されているものでも、非合法なものでもない。」
アメリカ軍は、白燐弾を敵の兵を威嚇して隠れていたところが引き出すために使っていたと彼は語る。
(中略)
極めて残酷な兵器
白燐は引火しやすい物質で、酸素に触れると発火する。この物質が皮膚に付着すれば、酸素がなくなるまで燃え続ける。
軍事関連サイトであるGlobalsecurity.orgは次のように語る。
「白燐は皮膚の深くまで苦痛を伴い燃え続ける・・・。これらの兵器はきわめて残酷な兵器である。なぜなら、白燐はそれが燃え尽きるまで燃焼するからだ・・・まさに骨まで達するのだ。」
イギリス国防省のスポークスマンは、白燐弾が戦場では一般人がその標的エリアにいないときに許される、と語る。
しかしブラッドフォード大学の平和研究所のポールロジャース教授は、故意に一般人に使われるのであれば、化学兵器として認定されるべきだと主張している。「通常使用される限り化学兵器条約に抵触しないとしても、それは法的に微妙な問題だ。白燐弾が対人兵器として使われるのであれば、化学兵器に分類されてもおかしくないだろう。」
イタリアのドキュメンタリー番組(「ファルージャ隠された悲劇」)がイラクにおける白燐弾の使用を暴露したことにより、イタリアの反戦の機運を劇的に盛り上げ、ローマにあるアメリカ大使館にデモが行われている。
原文
戦争犯罪の中の戦争犯罪が白燐の煙の背後に(Gurdian)
メディアは白燐の問題について勘違いをしていたわけではなかった。
新しいニュースに入る前に、私はこのファルージャにおける問題について、事実関係を整理しておきたいと思う。
白燐が民間人に対して使用されたという明確な証拠はない。これは、イタリアのRAIによって、「ファルージャ、隠された虐殺」と題された番組によって主張されたものだ。
この番組では映像とともに次のように説明している。『奇妙な負傷が見られる。あるものは骨まで焼け、あるものは皮膚が剥がれ落ちている・・・
顔は完全に溶けおちてしまい、体の一部分のようになってしまっている。服は奇妙にも無傷である。』これらの主張は、生物学の学位をもった人権擁護家達によってなされたという。
私自身も生物学の学位をもっており、心臓切開手術をするのと同じぐらいに、人の死の原因を判断する資格がある。そこでシェフィールド大学法病理学教授のChris
Milroy氏に映像を見てもらうように依頼したところ、「特に死体に燃えたような形跡は見られない」、死体が黒くなり皮膚がないのは「腐敗によるもの」と答えてくれた。これらの人々がどのように死んだのかは今のところまだわかっていないのである。
しかし、白燐がファルージャで兵士に対する兵器として配備された明確な証拠は存在する。
このコラムでは先週の火曜日、歩兵将校が武装勢力に対して威嚇目的で使われていたことを告白したことをレポートした。そして、ペンタゴンのスポークスマンは、BBCに「白燐は焼夷兵器として敵の戦闘員に使われた」と語ってもいる。ただし「それは化学兵器ではなく、非合法なものではない」とも注釈している。
このスポークスマンによる否定は、メディアのほとんどが受け入れた。タイムズ誌は、国連の条約では「民間人への使用は禁じられているが、兵士には禁じられていない」としている。しかし、この「民間人」という制限は、化学兵器条約には記載されていない。毒性の化学物質を兵器として使うことは、誰をターゲットにするとしても違法なのである。
ペンタゴンは、白燐は中毒させるというよりは、燃焼効果があり、これらはアメリカが批准していない焼夷兵器に関する条約で規制されているものである、と主張する。しかし、白燐には焼夷性と中毒性の2つの効果がある。白燐のガスは、目や肺の粘膜に作用する。化学兵器禁止機関のピーター・カイザー氏が先週BBCに語ったように、「もし・・・白燐の毒性物質、また腐食性物質が明確に兵器として使われるのであれば、もちろん禁止されるべきだ。なぜならば・・・人間や動物に対して使われる化学物質が毒性により死や疾病をもたらすものであれば、化学兵器としてみなされるべきだ。」
アメリカ軍は違法だと知っていながらこの兵器を使用している。
特派員David Traynier は、カンサス州フォートワース アメリカ指揮幕僚官校 US Command and
General Staff College が発行した戦術書に、白燐の対人使用は陸戦法に反すると記述されていることを発見した。
また、昨晩、ブロガーであるGabriele Zamparini氏は、1991年4月に機密解除された国防省の書類から、「白燐化学物質
phosphorus chemicalの使用の可能性」と題されたものを発見している。※1
『クルド人の反乱に対する残酷な弾圧行為において、サダム・フセインに忠誠を誓うイラク軍は、白燐化学兵器 white phosphorus
(WP) chemical weaponsをクルド反乱者とErbilの民衆に使い・・・イラクのDohuk県でも使っていた可能性がある。白燐化学物質は、火砲とヘリコプターにより打ち込まれた・・・・白燐科学兵器による攻撃の情報は、すばやく広まった・・・数十万人のクルド人がこの2つの地域から脱出した。』
ペンタゴンは間違いなく、白燐が違法な化学兵器として認識していたのである。
武装勢力は、もちろん他の兵器によって殺されたのかも知れない。他の火器とあわせて使われたから、このことはどうでもいい問題なのだろうか?それは問題なのである。第一次世界大戦の追悼礼拝において目が見えなくなった退役軍人のならんだ姿の写真を見たものは、国際法の重要性とそれがないがしろになってしまうことの危険性を知るはずである。
しかし我々は決して忘れてはならない。化学兵器の使用は、戦争犯罪の中でももっとも重い戦争犯罪であることを。イラク侵攻とファルージャへの攻撃はともに違法な侵略行為であることを。ファルージャを攻撃する前に、海兵隊は「戦闘可能な年齢」の男子を町から逃げることを許可しなかった。さらにたくさんの女性と子供がフィルージャに残っていたことを。ガーディアンの特派員は3万人から5万人の市民が残されていたと推定している。海兵隊はフィルージャの住民が戦闘員であるかのように扱った。彼らは町の建物という建物を廃塵にし、イラクの赤十字の救援を拒否し、国連の特派員によれば、『食料と水の剥奪を一般市民に対しても強要した』という。
原文
※1
◇10年前のペンタゴンは、ファルージャで使用された白燐弾が化学兵器だと認めていた?
◇機密解除文書の原文
◇米軍はファルージャ攻撃に「化学兵器を使った」
-Falluja, Apil 2004-the bookより
2004年11月、米軍がファルージャを攻撃した際に白燐兵器を大量に投下したという有力な証拠が新たに昨日あきらかになった。米軍は、この兵器でゲリラと民間人を殺し、遺体にはこの兵器を使ったことを示す恐ろしい焼け跡が残された。
この攻撃----西側ジャーナリストはまったく報道しなかった----のときから、米軍がファルージャに化学兵器を使ったという噂は広まっていた。
昨2004年11月10日、イスラム・オンラインのウェブサイトには、次のようにある:「米軍兵士たちはイラク人抵抗の拠点であるファルージャに対する大規模な攻撃の中で化学兵器と毒ガスを使ったことが報じられている。1988年にサダム・フセインがクルド人に毒ガスを使ったとされる事件を思い起こさせる忌まわしい行為である」。
◇2004年4月と11月にファルージャに対して用いられた兵器
-Falluja, Apil 2004-the bookより
国際法によれば、人間または動物を傷つけたり殺したりするために用いられる化学物質はいかなるものであれ、化学兵器であるとみなされる。化学兵器禁止機関(Organization
for the Prohibition of Chemical Weapons)のピーター・カイザー氏(Peter Kaiser)の言葉を借りれば:
「人間に向けて、あるいは動物に向けて使用され、その毒性によって危害を加えたりもしくは死をもたらす化学物質はいかなるものであれ、化学兵器であるとみなされる。そして、危害を加えることが目的である限りは、禁止行為である。」
◇英国も白燐を使用――「用途は煙幕」(16日BBC)
-Falluja, Apil 2004-the bookより
英軍が、イラクにおいて、白燐を使用していた――ただし煙幕を作るためだけに限られる。ジョン・リード国防大臣が明らかにした。
白燐は物議をかもす物質であり、米軍が以前は否定していたのを翻し、ファルージャで白燐を使用したと認めたことで、英国会下院議員たちは懸念を募らせていた。
白燐は肉を焼くことができ、下院議員の一部は、白燐の使用は、イラクの反乱勢力にプロパガンダ上の勝利を手渡すことになると述べている
◇ビルマ軍による白燐弾の使用
-blog「駄文」より
95年2月、ビルマ軍はタイとビルマの国境にあったカレン民族同盟(KNU)の要塞ワンカー(コームラ)基地を攻撃したことがある。ビルマ軍は最初のうちは通常火器を使用して攻撃していたが、要塞が堅固でビクともしなかった。困り果てたビルマ軍は中国人教官たちに応援を頼み、白燐弾など数種の化学兵器を投入して攻撃に転じた。カレン軍兵士たちは、これら化学兵器によって皮膚が焼けただれ、目を開けることもできずに塹壕から這い出して基地を放棄するしかなかった。その時、カレン軍が持っていたウォーキー・トーキーが「点火できないぞ、早く中国人を呼べ」など、大勢の中国軍人が関与していたことを示すおびただしい交信を傍受している。
◇国会での質疑(麻生外相答弁)
-blog「駄文」より
仁比氏は、昨年十一月の米軍によるイラク・ファルージャでの「掃討作戦」で二千五百度もの高温で百五十メートルの範囲で人も動物も焼き尽くす「白リン弾」の使用が最近明らかになったことを指摘。「白リン弾は迫撃砲で市内に撃ち込まれ、住民は炎の雨が降ってきたと証言している。このような攻撃を行えば多数の民間人が犠牲になるのは明らかだ。ジュネーブ条約で禁じられた無差別攻撃にほかならない」と指摘しました。
麻生太郎外相は「米国政府は民間人を攻撃の対象としたことはないと説明している。白リン弾は通常の武器で非合法ではない」「掃討作戦は治安維持のために必要だ」などと答弁。仁比氏は、乳児が犠牲になった写真を掲げながら、「実際に罪のない民間人が犠牲になっている。日本政府は検証もせずに米国政府発表の言うがままだ」と批判しました。
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